1歳6か月 保育園と入院
4月から娘が保育園児になった。
初日は1時間、次の日は1時間半... と、じわじわ保育園での滞在時間を増やしていき、2週間ほどで夕方まで保育園にいられるようになった。
ネントレもせず、乳離れもせず、寝かしつけは添い乳一本槍の我が娘。人に預けたこともないし、四六時中私にベッタリ。その上、ごはんは全然食べない。こらゃ慣らし保育は苦労するぞ〜と覚悟していたけど、さすがはプロの先生方だ。娘は少しずつだけど着実に、新しい場所と、先生と、友達に慣れていった。そして私自身も、すでに先生方に全幅の信頼を寄せていて、いくら娘が泣いていても心を痛めることなく仕事へ向かえた。
3週間目の朝、先生に抱かれたまま、泣かずにバイバイする娘を見て、私のほうがじわっと涙ぐんでしまった。心配し過ぎて損した感じだ。娘は私が思っていたより、ずっと大きく成長していた。
慣らし保育も終わったし、いよいよ仕事も本格始動!と思った矢先、娘が発熱。クラスのみんなゴホゴホしてたし、当然うつるよな〜と思っていた。でも今回の発熱は今までとは違い、坐薬を使っても下がらない日もあり、下がってもまたすぐ40℃まで上がってしまう、という日が1週間続き、結局入院することになってしまった。
入院が決まったとき、正直ホッとした。
それまでの1週間、娘は食事がほとんど摂れず、オッパイだけをなんとか飲んでいる状態だった。ぐったりして、歩くこともできず、常に抱っこ。咳がひどくて、夜中に咳き込んで吐いたり、下痢になったりで、いくらオッパイを飲んでいるとはいえ脱水になってやしないかと不安だったし、寝ている間に痙攣したらどうしよう、こんなに長引くってことはただの風邪じゃなくて重大な病気なんじゃないか… 心配しすぎて私まで疲弊困憊だった。だから、せめて点滴につながって、モニタリングされている入院生活に入って、やっと安心できた。
といっても、付き添い入院もなかなか過酷だった。
まだまだコロナ禍体制の病院では、面会禁止、付き添いは1人まで、付き添いの交代は病室ではなくナースステーションの前で、というなかなか厳しい状況。幸い、ゴールデンウィーク中だったので、夜は私、昼間は夫、というシフトで交代しながら付き添った。
柵に囲まれた狭いベッドで、娘の横に体を曲げて添い寝する。夜中は看護師さんが何度も点滴を見に来てくれるし、同室の子たちもバラバラのタイミングで起きたり、泣いたりするので、これでもかというほど細切れ睡眠だった。ベッドに娘を1人残して離れると、この世の終わりとばかりに泣くので、トイレに行くのも、食事のトレイを返すのも、抱っこして、点滴とパルスオキシメーターを持って、移動しなければならない。腕が2本じゃ全然足りない。釜爺ぐらい腕が必要な日々だった。
それでも、点滴と薬で娘の体調がみるみる良くなり、グッスリ寝ている様子を見ると、自分の疲れなんかどうでもよくて、心底安心した。
入院してからの経過は良好だったので、3泊4日で退院となった。
久しぶりに家族3人そろって家に帰り、義母がお見舞いに届けてくれたイチゴを食べた。病院食は全く食べなかったのに、パクパクイチゴを食べて、ニコニコ笑っている娘を見ながら、健康が一番だねえと言い合った。コップのお茶をジャーッとこぼしたり、フォークをわざと落としたり、食品棚から海苔の袋を引っ張り出して、中の海苔を床にぶちまけたり、そんなことをできる元気が出てよかったねえと言い合った。久しぶりに娘の笑い声を聞いて、本当にうれしかった。
今回の一件では、いつも冷静な夫もさすがに心配していたようだった。退院の時、点滴が外されると、手の甲にたくさん針の跡と内出血の跡があって、さすがにかわいそうだったと言っていた。
だいぶ筋力が弱ってしまったようで、歩くのもフラフラ。足もホッソリしてしまっていた。それでも日に日に元気を取り戻し、以前にも増してよく食べるようになった。
慣らし保育もやり直しだなーと思っていたけど、久しぶりに行った保育園で、娘は先生のことも友達のことも、ちゃんと覚えていた。子供の適応力と回復力はすごい。
仕事と育児の両立の壁にさっそくぶち当たった感じの2か月間。いや、きっとこれから、もっと大変なことがあるんだろうな。職場のママさん先輩が、「子供がいたら思い通りにいかないことばっかりやから、バリバリ働こうなんて気負わずに!」と言ってくれたけど、ほんとにその通りだ。
今では、朝に保育園でバイバイする時も、娘はほとんど泣かなくなった。昼寝もちゃんと布団で寝ているらしい。迎えに行くと、両手を上に上げてパタパタと振る、娘のいつもの抱っこしてのサインをしながら、大急ぎでこっちへやって来る。抱きしめると、頭から蚊取り線香と給食の匂いがする。上のクラスの女の子たちが娘の名前を呼んでいたり、私がよく知らない隣のクラスの先生に、娘がニコニコと手を振っていたりする。私の知らない娘の社会が出来つつある。
たくさんの友達と、優しい大人たちと、緑いっぱいのこの園でこれから6年間、娘がどんな風に成長していくのか楽しみ。
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