京のくらし

京都国立近代美術館で開催されている「京のくらし」展を見てきた。二十四節気に沿った京都のくらしを、近代美術館のコレクションである絵画や工芸作品で紹介するという展示。

初夏から始まり、展示室ごとに季節が移る。季節ごとの神事や行事の映像もあり、展示を一巡すると京都の一年を体感できるようになっていた。

四季をさらに6つずつに分けた二十四節気で追いかけていくと、1年はあっという間。冬はとことん冷え、夏はとてつもなく暑い、住みにくい京都だけど、めまぐるしい季節の移ろいを観察して愛でることで様々な芸術が生まれるのかな。

展示の中で目を引いたのは、安藤緑山の作品。大正から昭和にかけて活躍した彫刻家で、象牙の彫刻(牙彫)で有名です。

展示されていたのは、象牙を彫り、着色して作られた野菜や貝。それが、彫刻だと言われるまで見抜けないほど、どこからどう見ても本物なのである。みかんの皮のブツブツ、皮を剥いた中に見える果肉、とうもろこしのヒゲの繊維、柿の枝についた葉、タケノコの薄皮、よく見ると生えている産毛などなど、象牙で作ったなんて、とてもとても信じられない。自身の超絶技巧を見せつけるかのようなリアルすぎる作品なのです。安藤緑山の人物像は謎らしいけど、相当変わった人だったんじゃないだろうか。

二十四節気でいうと、今は白露。昼間はまだ暑いけど、夜は冷えてきて、草木に朝露が宿りはじめるころ。今も窓の外から秋の虫の声が聞こえている。

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