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なぜ「富岡町」で「スナック」だったのか。

2ヶ月の前の事ですが、書いておきたかったので、遅ればせながらPCパチパチしております。

2019年8月14日(水)に、福島県富岡町のカフェ135にて、1日限りのスナックを開催しました。

この発表をしたときに「何で富岡?」「福島なら行ったのに!」というお声をたくさんいただきました。

あとはラジオDJ・フリーアナウンサーである私が「スナックのママ!なんで!?」というコメントも。

では、なぜ「富岡町」で「スナック」だったのか。

私は約6年間、縁もゆかりもない福島でラジオの仕事をし、沢山の方々にお世話になった。

移住直後に東日本大震災があったので、正直心細くなることもあったが、福島で新たにできた友人たちが助けれくれた。職業的に私が助ける側なのに。

そんな大切な人々は、私が福島を離れても連絡をくれ、変わらずに接してくれた。

年に数回、仕事で福島に行くこともあったが、仕事ではない形で、福島のお世話になった人たちに恩返しがしたいという気持ちが日に日に募っていった。

そんな日々の中、私は東京で一人飲みにハマった。

もともと一人で飲みにくことはあったけど、元来の出不精&人見知りの性格のため、ごくたまーにの話。

しかし、約2年前。仕事と恋人を同時期に失うということがあり、その直前に体にも大きな変化があって、もうすっかり自信を失い、引きこもりだった時期があった。

そんな自分を変えたい、外の世界に出て行きたい、という思いから飛び込んだ。小さな飲み屋。

カウンターだけの席で、店員はママさんだけ。狭い店内は常連さんでぎゅうぎゅうだったけど、女一人ということを珍しがってくれ、心良く席を空けてくれた。

見渡すと、仕事帰りのサラリーマンや老齢の紳士、カジュアルな服装の若者に、時々入ってくる外国人観光客。

何ひとつ共通点のない人々がお酒と美味しいおつまみを通して、屈託のない話をして盛り上がっている。

初めて会う人と立場に関係なく話をすることは、気を遣うこともなく、癒しと元気をもらえたし、自分の悩みなんてちっぽけで、外にはいくらでも世界が広がっていると感じた。

「あっ、私が求めているのはこれだ。」

そこで気づいたことは、その小さな飲み屋が、人種・年齢・性別・職業を超えたコミュニティであり、出会いの場(恋愛的な意味ではないよ)だということ。

私がラジオを通して作りたいと常々思っているのも、番組から派生した多種多様なコミュニティであり、新たな情報との出会い。何かラジオの仕事に通じるものを感じた。

と、同時に「この飲み屋のコミュニティを、富岡町で出来たらいいな」と思った。

福島県富岡町は、ご存知の通り、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、震災直後に全町避難となった。
2017年3月に、帰還困難区域を除く避難指示区域が解除されるまでは、居住はおろか、安易に立ち入ることも出来なかった。

避難指示解除後は、商業施設もオープンし、春には夜ノ森を見にくる人も沢山いたし、徐々に町は前進している。

だけど、長かった避難指示の影響で、思うように帰還が進んでいない部分もある。

「まだまだ夜に飲みに行ける場所の少ない富岡で、もし飲み屋をやったら、人と人が繋がる機会にもなるし、来た人に笑顔になってもらえるのではないか。」

私が福島に恩返しをしたいという気持ちと、一人飲みから得た癒しとコミュニティ形成が繋がったのです。

そこで富岡町で一番お世話になっている、大好きで大尊敬なNomadic Recordsの平山勉さんに相談し、カフェ135で一日限りのスナックを開催させてもらうことになった。

私の準備が遅く、告知は開催の1週間前。

平山さんからは「お盆の夜の富岡は人がいないから誰も来ないかもよ。」とお話もあって、勢いで決めた自分に大反省し、始まる前から申し訳なさでいっぱい…。

が、蓋を開けてみると、富岡在住の方はもちろん、お隣の川内村や南相馬市、二本松市などから沢山の方に来ていただき、一時は満席状態に!

福興浜団の上野敬幸さん、北海道から移住された浅利さんご夫妻など、福島時代からめちゃくちゃお世話になっている人も遊びに来てくれのが嬉しかった。

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遊びにきたはずの鳥藤の藤田大さんは、飛び入りで厨房に入ってくれて、美味しいつまみをいくつも作ってくれました。

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そして、「スナックやりたい」と言い出したのに、まともにお酒も作れないし、キッチンにも立てない私を全面的にカバーしれくれた平山さん。

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予想以上のお客さんで、一人一人とゆっくり話ができず、終始テンパってしまいましたが、帰り際や後日に「楽しかった!」「素敵な機会をありがとう!」と言ってもらえたことは、本当に嬉しかった。

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スナックと言えばカラオケだと思って歌ったけど、ほとんど聞いてなかった気が…。

改めて来てくれたみなさん、そして、場所を提供し、私の無茶振りに答えてくれた平山さん、本当に本当にありがとうございます。

そして、このスナックの利益分は10月26日に富岡町で開催される「とみROCK」に寄付させていただいた。

「とみROCK」は、去年から始まったこの富岡町の今の姿を音楽を通して発信していこうという音楽フェス。

平山さんが中心となって進めているフェスということもあり、この「とみROCK」を応援したいという気持ちもあって、今回の寄付先を決めました。

その「とみROCK」開催が迫っています!

とっても豪華なメンバー。当日仕事のため行けないのが残念でなりません(その仕事もめっちゃ頑張りたい素敵なイベント何ですが)が、本当に富岡町の今を見てもらいたい。

もし時間に余裕があるなら、さくらモールでご飯食べたり、桜の時期ではないけど、夜ノ森の桜並木を見たり、ふたばいんふぉで双葉郡の震災後の歩みに思いを馳せたり、東京電力廃炉資料館に行ってほしい。

私はお酒とトークを通じて、富岡で人と人が繋がれる場所を作りたかったけど、音楽はその何万倍も力があります。

※大雨の影響により『とみROCK』は開催中止となりました。来年の開催を期待しましょう!

このnoteを見て、富岡に足を運んでくれ人が増えれば幸いです。


そして、もし可能ならば、また来年も同じ時期に、スナック志芳ができれば。

それまでに、お酒も作れるようになるし、簡単なつまみも作れるようになります…。

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