やきもの(陶芸)の頭脳戦 3
やきもの(陶芸)の頭脳戦の最終回です。
前回に続いて、実際の窯詰めの備忘録
穴の奥列と、登を書いていきます。
窯詰め
穴・奥
穴窯の焚口から一番離れた位置です。
上へ上へと昇った炎は天井でぶつかり、作品を焼きながら下り、
奥列の最下段の穴(狭間穴)から
次の部屋へと流れていきます。
行き先が急に細くなるので、炎の勢いはなかなかの強さ。
ただ、焚口から遠い=温度が低め、です。
低めといっても1000度は余裕で超えますが(笑)
この列まで来ると火流に乗った灰も量がぐっと減り、
自然釉も完全には解けません。
ねらいは、ずばり、ざらざらした胡麻の景色。
だいたいは予想通りに焼けます。でも実は、アクシデントが起こると
一番影響が出やすい列です。
穴・奥の作品
背高の花器・カラフェ・明かりとり・中鉢・コーヒーカップ・マグカップー飯碗・湯呑・タンブラー・ビアマグ・小鉢
今回は、小鉢がお気に入り。
直径10㎝の大きさで思いついたらそのまま、イロイロ作りました。
思いつきで作っているので、1種類につき5個限定。
それでも15種類以上はあるので、奥の下段はラッシュ時の電車みたい(笑)
大丈夫だろうか…詰めすぎかなぁ
棚板の数:6枚
段数:3段
設置空間:4段分
登・左
焚口の左側は、穴窯と狭間穴でつながっていて炎が流れ込んできます。
本来は燃焼床になる部分ですが、前にもお話した通りうちの2室目はでかい…
なんか、なんでか、なんなんのだ、なのです。
ということで、登は実験場と割り切って
毎度毎度、詰め方が違います。
最近になってようやく納得できそうな色が出てきたので、
気合いれて窯詰する!と心に誓っていました。
登・左の作品
サヤ2個に色彩備前・色彩笠間・火襷ねらいの小鉢・ぐい呑み・飯碗
サヤの上に大き目のリム皿・平皿
ころがしで花器(小)・片口
登・右の窯詰め
右側は、煙突に一番近い場所。
焚口から煙突までの距離が短いため、火のコントロールをしないとそのまま煙突へ火が抜けてしまいます。
それでは作品は生焼けに。
なので、下段はみっちりきっちりの城壁作戦。
炎が作品をなめながら、上へ上へ昇ように誘導します。
登の火床はおかしな構造なので、最下段にジャストで薪が当たります。
窯焚きの際にかなり神経使いそうだなぁ…
登の最下段は実は隠れた穴場。
どうも地面に水分が多いらしくイイ感じにカセた景色が出ます。
前回は、白っぽい焼きになった作品があってびっくりしました。
登・右の作品
片口・ビアマグ・ぐい呑み・小型花器・小丼・中鉢・小鉢・コーヒーサーバー・マグカップ・飯碗・そば猪口・風鈴
棚板の数:6枚(ロングサイズ)+α(丸板3枚)
段数:3段
設置空間:4段分
窯詰めが終って
今回は、丸4日。
乾燥した状態の作品が一番割れやすいので、
運ぶのも、持ち上げるのも、詰めるのも、すべてが怖い。
そのうえ火の流れとか、灰のかかり方とか、ひっつき防止処理とか、
考えることがたくさん。
脳が風船のようにパンパンに膨らんで、
ちょっと触ったらパーンってはちきれそう。
ひたすら黒砂糖を舐めたい時間が続きました。
作品を詰めて、窯口を閉じれば窯詰めが終了です。
ようやくひと段落。人に戻ります。
手伝ってくれた人の存在に感謝し、
自分の体がボロボロなのに気づき、
やっと頭が休める、と思う。
なのに、実はここから窯に火を入れるまでがモヤモヤする時。
あれってやった?
あそこには、何置いた?
火の流れで倒れたらどうしよう・・・
とかぐるぐる頭の中を回ります。
挙句の果てに、
まだ修正効くよね…とか考える始末。
窯詰めしたら、なるべく考えないようにして、窯焚きの初日を迎えるように心がける・・・
毎回毎回そう思っているんですけどねぇ
窯詰め編は今回で終了です。
窯焚きが終ったら、窯焚きのお話を書きたいです。
ぜひ、聞いてください。