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やきもの(陶芸)の頭脳戦 2

やきもの(陶芸)には3つの戦いがあると紹介しました
1 作る
2 詰める
3 焼く
前回は、
・窯詰めの重要さ
・窯詰めの時考えていること
・窯詰めの時、私が大切にしていること
を書いてみました。(半分愚痴っぽい…まだまだ未熟者です)
今回は実際の窯詰めについて淡々と(?)書いてみます。

窯の構造

紫峰窯は元々焔倒式の穴窯でした。
先代(加藤光治)が病を患ってから、窯を増築し、
現在の2室の焔倒式の登り窯になりました。
1室目を穴、2室目を登、と呼んでいます。

1室目は全長約4M最大の高さは約1.6M。
燃焼室一体型。
2室目は全長約1.5M、最大高は約1.6M。
焚口あり。
煙突は総レンガ造。

本来であれば2室目は小さくなるものですが、
闘病しながらの築窯で紆余曲折があり、かなり大きなものになっています。
かなりの量が入ります。
どうやって焚いていいのかいまだに試行錯誤中。
先代が存命中には2回しか焚いていません。
どんな焼きを目指していたのか、
じっくり話す時間もなく先代は旅立ちました。

2024年の窯詰め

ここからは、ほぼ備忘録です

穴・火床

呼んで字のごとく火の床です。
投げ込んだ薪のすぐ横になります。
コの字型に配置されており左右正面とそれぞれ違った表情を見せます。
薪がぶつかって割れたり、
直接炎にあたって松灰が溶けすぎたり、
隣の作品とくっついたり、
灰の中に埋もれたりと、一番過酷な席。
必然ですが、生き残るのは10%以下。
ならばおかなければ?って思いますよね。
いやいや、ここが大本命。
地球誕生!って感じの
荒々しく、生きる力をみなぎらせた面白い子になります。

火床の作品

ぐい呑み・花器・片口・抹茶碗・水指

穴・火前

焚口からみて一番前の段
ここは炎が直接当たるので、高温になりやすく自然釉が最も溶けます。
しっかりと底上げしないと棚板にくっつきます。
作品の下に高めに座布団を入れて、ひっつき防止マスト。
窯の中で一番硬度が高く焼けますが、
自然釉がガラス質になりやすいので、テカリが強く出ます。
あまり備前らしさがない気がする…
ので、あまり好きな焼きではないです(笑)
他の土のほうが相性がよさそうかも。

座布団って?
道具土と呼ばれる荒い粘土。土の組成分が違うため焼成後はぽろっととれる

下段はスカスカに
上段はツメツメに
窯全体の温度差をなくすために火の通り道を作ります。
通常、炎は上に向かい、煙突に流れます。
炎:どりゃー、煙突まで一気に行ったる(上に流れる)
作品:ここは通さんよ(行く手を阻む)
炎:え、マジで…どうしよう(うろうろする)
作品:通しません(行く手を阻む)
炎:仕方ないなぁ、じゃあちょっと下から通るか(下の段に流れる)



炎:あ、ここスカスカじゃん!ここならいけそうじゃん
みたいな感じ、最後に炎は最下段から流れを作ります。
ちなみに炎と作品の会話は完全に私の妄想(笑)
薪窯ではそんなに火の流れは単純ではありません。
薪をくべた瞬間に空気が入り、温度が下がり、炎は下に流れ
燃焼が始まると、温度が上がり、炎は上に流れる
これを繰り返しています。

火前の作品

背の高い・手つきの水差し・丼・背が低く広めの花器
棚板の数:10枚
段数:5段
設置空間:6段分

穴・中央

棚組した真ん中の列
一番安定していて普通の焼きになることが多い
上段にいくほど灰がかかり、最上段は灰が溶ける
下段は炎の誘導に失敗すると焼けが甘くなる

ひたすらツメツメする列。
これまでの経験値の色合いが出やすいので、
作品の用途やイメージに合わせて詰めていきます
窯の最大高の列なので、たくさん入れなければ…
中腰作業がきつくなってくるころ(笑)

中央の作品

背高の作品(水指・ウォーターカラフェ)・鉢類・碗類・カップ類・明かりとり・コーヒードリッパー・皿類
棚板の数:10枚
段数:5段
設置空間:6段分

色味のネコさん軍団

サムネの写真のように、うちの色味はネコです(笑)
かわいいだけでなく、焼き具合を教えてくれる強い味方
色味を時間かけて作る陶芸家って、よほどの傾奇者でしょうね
でもいいんです。
かわいいし、やる気になるから

色味って?
作品の焼き締まりや自然釉の溶け具合を確認するもの
窯焚き中に作品の状態を確認できないため色味を使います。
色味穴から鉄棒を入れ色味の輪っかにひっかけて、外へ出します。

長くなってきたので今回はこれまで
次回
やきもの(陶芸)の頭脳戦3 に続きます

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