見出し画像

【リブリオエッセイ】ファミリーヒストリー


▼2024年2月 ふみサロ課題本

「先祖探偵」新川帆立 ハルキ文庫

▼本文

 (私の本名の)ファミリー・ヒストリー
        (注:横須賀はペンネームに付き、本名ではありません)

 私の本家は、宮家がルーツである。徳島県に多く見られる姓だが、地名や神社に残っており、奈良時代から存在していた。戦国時代に織田信長との戦いに敗れて以降、阿波では地方豪族として隠れ住んでいたが、男系は途切れず、現在の本家は大阪に移り住んでいると言う。

 私は数ある分家の一つに過ぎないが、明治初期、私の祖祖父は、四国の右下で呉服店を営んでいた。祖祖父は、秦氏の末裔で左官職人の第四女(名前はフデ)と結婚し、七男三女を儲けた。祖父は第四男であったが、跡継ぎは長男だった為、実家を出て実母の父に弟子入りして左官職人として独立した。祖父は、四男二女を儲けた。その長男が私の父であった。父は素直に親の仕事を継いで、左官職人になった。

 しかし、私は父の後を継がず、就職はコンビニ大手チェーンを選んだ。直感で選んだ結果、流通業界になったのだが、今になって思えば、ご先祖様が呉服店なのだから、その影響も少しはあったのではないかと感じている。現在の阿波踊りのスタイルを決めたのは、徳島県の中でも、同姓の分家であり、父の夢が歌手だった事等から考えても、芸術、芸能分野には、ご縁のある霊統だと思う。両親は本に興味を持っていなかったが、私は幼少期から本に興味があったのも、何代か前のご先祖様の影響があるのではないだろうか?

 祖父の母の名前は「フデ」という。お墓参りに行くと、祖父、父が眠っているお墓の隣に、母屋である呉服店一家のお墓があり、横に「フデ」ばあさんのお墓もあるのだ。最近は、祖父、父のお墓の前で熱心に祈るのはもちろんの事、「フデ」ばあさんのお墓の前でも、意識して祈るよう心がけている。日本は言霊の国。ご先祖様が一生の内、一番たくさん呼ばれていた言霊は「名前」だ。ご先祖様の名前を唱える事によって、ご先祖様のパワーを授かれるという話を聞いてから以降は、意識してご先祖様の名前を唱えるようにしている。

▼今回の作品の執筆意図

 ふみサロと言えば城村先生と後藤先生。後藤先生と言えば藤原氏。そして呉服店とも縁があり、無名の頃には左官のアルバイトをしていたとの事。私は、子供の頃、父について行って、左官の手伝いをしていた。この、後藤先生と自分との間の不思議な共通点って何だろう?と思いながらも、それを書いてみる機会が、ないままだった。なので、これを機会にガチで、それを書いてみようと思った。

 私は徳島県にUターンして以来、ずっと阿波の古代史を調べている。古墳時代に天皇家がいらっしゃった場所は阿波だ。天皇家が奈良に遷都したのは奈良時代以降である。真実を知っていらっしゃった明治天皇は、徳島県の眉山に神武天皇の銅像と明治天皇の銅像を、乃木希典に命じて建てさせた。(現存しているので、是非、観に来てください)また、京都から東京への遷都が終わった後、明治天皇は徳島県の神社まで参拝に来ていた。しかし、大切なことは隠すのが日本文化である。明治初期、阿波国風土記は禁書され、徳島県で古代史を調べると不敬罪で逮捕されるようになった為、明治以降、徳島県では古代史を語る人がいなくなった。それと同時に、明治に作られた教科書では、神武天皇は奈良の橿原に都を開いたと神話で描かれ、それが国民向けに教育された。それは、あくまでも神話であり、真実の歴史ではなかった。しかし、これからは徐々に、真実の歴史の扉が開かれていくだろう。

▼エッセイの流れ

①「起・興味」
私と同姓の方は、徳島県1700人、大阪府830人、香川県700人、神奈川県に600人、千葉県560人……と、たくさんいる。また、倭の中心だった阿波や讃岐に多い事と、古代に安房(アワ)の国のあった千葉県にも多い事から、阿波忌部との繋がりも深かったような想像もできる。古墳時代から一気に明治まで飛ばすのは、飛ばし過ぎだと思ったので、戦国時代のエピソードも挿入した。

②「承・納得」
戸籍謄本記載の情報より、去年初めて知った情報に基づいて。父が去年亡くなり、不動産の名義書換えの為に戸籍謄本をとってみたところ、明治以降については詳細が分かった。幼少期に、地元で同姓の呉服店に行く時、父がいつも、その呉服店の事を「母屋(おもや)」と呼んでいた。子供の頃、私は母屋の意味が分からなかった。しかし、この年齢になってからやっと父の言っていた「母屋」の意味が分かった(遅すぎるのだが、解って良かった)
※過疎化の為、残念ながら現在では母屋の呉服店は閉店してしまっている。

③「転・共感」
以前「鬼子の刃」というエッセイで書いたとおり、私は両親の影響をあまり受けず、勝手に勉強していた為、放置されていました。しかし、同姓の神社では、文学芸能の神、弁舌・声の神、財宝神、水の神などが祀られています。両親が文学に興味を持っていなくても、ご先祖様の中に文学に興味を持っていた方がいらっしゃったのではないか?と勝手に想像しています。

④「結・信頼」
 祖父を産んだ母の名前が「フデ」であるという実話。父の名前も祖父の名前も秘密にしておきたいので書いてないのだが、「フデ」まで秘密にすると、エッセイが成り立たなくなるので、この部分だけは公開にした。

▼戸籍の真実を知り、また、このエッセイを書いてみた感想。


 祖祖父は、七男三女を儲けた。→祖父は、四男二女を儲けた。→父は、二男一女を儲けた。その長男が私。→私は、一人息子を儲けた後、離婚し、妻に親権を譲り、独身に戻った。
 このように振り返って書いてみると、少子化社会を具現化している現実そのものが私である事に気づき、愕然としてしまった部分もある。しかし、私自身は、分家の身である。世代を繋いでいくという事に関しては失敗してしまったが、その分、良い書物を次世代に向けて遺していくという目標について、今後は気持ちを切り替えて、全力投球するようにしていきたいと願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?