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父と娘という関係性。

「父とデートするのが夢だった。」

幼い頃、両親が離婚して、父親の記憶はない。母が再婚して、2番目の父ができたけど、受けいれられずにつらく当たったことを後悔している。2回目の離婚からしばらく経ち、もう会うことはほぼないけど、毎年季節の挨拶にお菓子を送り合っている。

実の父とは、20歳になって再会した。30歳を迎え、ようやく父と娘水入らずの旅が実現した。仙台に単身赴任中、お店を開拓して交流関係を広げてきたらしく、何軒も行きつけに連れていってくれた。行く先々で、お店の人からもお客さんからも歓迎され、愛されているところが父らしい。理想的な関係で羨ましいと賞賛の嵐に、自慢げ。色んな話をして、ゲラゲラ笑い、30年の時は埋まっていく。ポジティブ、行動力、独特の世界観で我が道をゆく。食の好み、美しいと思う景色やテイスト、こだわりが強いところまでそっくり。昔から変わってると言われてきたけど、この親あって、この子あり!と納得。

「娘と飲めるなんて、幸せ。」「人生楽しければそれでいい。」

あの晩、何度幸せだと言っただろう。一緒に暮らし、日々のことを共有することは叶わなかったけど、こうして30年経って、親子という関係を超越した、特別な絆を築けて最高に嬉しい。ずっと憧れていた父との時間。過去に何があろうと、そこには知らなかった事実があろうと、たったひとりの父親を憎むようなことはない。何かをして欲しいわけではなく、近くにいても離れていても、ただ父という存在自体が、味方がいる、守ってくれていると心強く思えるものだ。娘にとって父親とは、ただ存在しているだけでいいのかもしれない。

3.11から10年を迎えようとしている、陸前高田の奇跡の一本松。いつも見守ってくれてありがとう。強く、生きよう。

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