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乳児への抗菌薬の使用と腸内細菌について

娘が1月末から17日間に渡り38℃前後の熱が下がらなかったのを機に調べたことです。(ちなみにその後1日下がったもののまた発熱し今も39℃。。。)

※注
私は”医療従事者”ではありません。
”健康に関わることを仕事とする一個人”の考えであることを大前提として読んでいただけたらと思います。
病院で抗菌薬を処方された際にはそれを必要と判断した理由があるはずなので、医師に必ず確認してくださいね!

先日娘の熱が2週間以上続き、近所の小児科で「さすがに熱が長引きすぎなので抗生物質を使いましょう」と言われちょっと強め(らしい)”トスフロキサシン”という抗菌薬が処方されました。
※今は抗菌薬という呼び方が一般的のようなので、以下抗菌薬とします。
後ほど調べてみたら、トスフロキサシンは症状が重い場合に用いる抗菌薬で、これは流石に今の状態では強いでしょ。。とびっくりしました。

私は生後11ヶ月の娘に抗菌薬を使うことにどうしても抵抗があり、結局処方された3日分のうち1日分を残してやめてしまいました。
その後熱は下がらず、血液検査をしてもらうために受診した別の小児科の先生には「飲み始めたら最後まで飲み切ること」と強く念を押されてしまいました。
万一抗菌薬を使わないと治らない疾患だった場合、途中でやめてしまっては身体に負担をかけるだけで病気を治すには至らない。ということを知ってはいたものの、本人はキャッキャと遊び元気そうにしているので、与える不安の方が優ってしまい。。

抗菌薬に抵抗があった理由は一つ。
『腸内細菌叢の乱れを引き起こすこと』でした。

○腸内細菌は食べ物の消化吸収のみでなく免疫機能や心理面にも関与しているということ。
○一生で住み着く菌の種類は1歳6ヶ月頃までにその90%が決まり、3歳以降はほぼ変化しないということ。(数は変動しても保持する菌の種類はほぼ変わらない)
○抗菌薬は短期間の服用でも多くの腸内細菌を殺し、細菌叢の組成を大きく乱すこと。

ざっくりとこれらの知識があったので、今まさに腸内細菌の種類を増やしている段階の娘に、菌を大量に殺してしまう薬を服用させることにものすごく抵抗があったんです。。

血液検査をしていただいた医師は抗菌薬について詳しく教えてくださりました。
そのお話には納得できたのですが、私が一番懸念している「死んだ腸内細菌は復活するのか。」については具体的な話を聞くことはできなかったので様々な研究論文を調べました。

現段階で分かった結論は
【乳児の腸内細菌叢が回復するかはわからない】
というものでした🙄
ネガティブに捉えれば、せっかくこの11ヶ月間の間にGETして住み着いた細菌は死滅したまま戻らない可能性も十分にあるということ。
乳幼児の腸内細菌叢はまだまだ研究途上のようです。
成人の腸内細菌についても未知のことが多いのに、そりゃそうですよね。
ただ、現時点でわかっている興味深い情報もあるので以下にシェアします。
ぜひもう少し粘って読み進めていただけると嬉しいです🙇‍♀️w

【情報①】
抗菌薬、中でもマクロライド系の服用と
○体重増加
○喘息
○炎症性腸疾患(特にクローン病)
○アレルギー性疾患
に強い関係性が見られたという研究結果が世界中で報告されていることです。

私自身、乳幼児期に小児ぜんそくに罹ったり、いきなりお腹が痛くなり立っていられなくなることが頻繁にあったり、アレルギー性鼻炎・結膜炎がひどかったり。。
乳児期から何度も高熱を出したり肺炎になったりして抗菌薬を服用する機会が頻繁にあったようなので、少なからず関係があったかもしれません。(あくまで可能性の話ですが)

ちなみに、マクロライド系の抗菌薬というのは
・咽頭、喉頭炎 ・扁桃炎 ・急性気管支炎 ・肺炎 ・中耳炎 ・副鼻腔炎 ・皮膚感染症(吹き出物とか)etc.
誰しもが罹る可能性がある身近な疾患に用いられているんですよね。。

【情報②】
『日本の抗菌薬使用頻度の高さ』です。
子どもの肺炎の原因で最も多い細菌が肺炎球菌によるもので、肺炎球菌のうち日本はその約60%もが耐性菌(つまり抗菌薬が効かない菌)になっているそうです。一方でオランダでは肺炎球菌の耐性菌は3%です。
日本の抗菌薬の使用量ははオランダの5倍。
つまり、使用頻度が高いことで、薬が効かなくなる菌も増えてしまっているということ。
細菌が遺伝子を変容させるスピードってものすごく早いみたいです。

「大人の腸内細菌は抗菌薬の服用後1週間後あたりから回復し始める菌もあるが全てが回復するわけではなく、また2年経っても抗菌薬に耐性をもった遺伝子を持つ細菌が残り続けていることもある(つまり2回目以降同じ抗菌薬が効きにくくなる)」という研究結果がありました。

つまり、抗菌薬を使うたびに腸内細菌の種類が減っていき
抗菌薬が効きにくい体になっていく可能性があるということですね。

【情報③】
抗菌薬を処方される細菌性疾患の中でも、実際は抗菌薬を必要としない場合もあるようです。
例えば中耳炎の場合、高熱を伴う「菌血症」や「乳様突起炎」を合併している時など重症の際は抗菌薬を服用して早期に治す必要がありますが、軽度の場合は使用ぜずとも治っていくことがあるようです。それでも「中耳炎→はい抗菌薬出しましょう」という病院も多いですね。。

⚠️注意⚠️
抗菌薬の使用は医師の診断ありき。
素人判断で処方された抗菌薬を服用しないというのは症状の悪化につながる可能性もあり危険です!!
ただ、血液検査を伴わない不明瞭な処方には疑問があります。私自身も、娘にも、検査の結果、抗菌薬処方の根拠が明確で使用しなければ重症化する可能性があるものに関しては抗菌薬を使用する必要があると思っています。

〈本日のまとめ〉
よほどのことがない限り(自己免疫では改善の見込みがない場合)娘への抗菌薬の使用は控えていこうと思っています。
一生の中で今しかない腸内細菌増殖期間を逃すのは本当に無念です😭
腸内細菌の多様性がいかに重要であるかを知っているからこそ、薬でせっかく住み着いた菌を殺してしまうのにはとても抵抗があります。
医師の診断に従うことはもちろん大事と思っています。
ただ、一番そばで一番子どものことを見ているのは親である私(と夫)なので。
娘の様子を見ながら必要ないと判断した場合は、たとえ処方されたとしてもその根拠が明確でない薬は(血液検査等をせずに見た目の症状のみで抗菌薬を処方された場合)与えないという選択もしていこうと思います。

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【参考文献】
atri Korpela, Anne Salonen, Lauri J. Virta, Riina A. Kekkonen, Kristoffer Forslund, Peer Bork & Willem M. de Vos,Intestinal microbiome is related to lifetime antibiotic use in Finnish pre-school children(2016)

赤川翔平、赤川友布子、辻章二、金子一成,乳児期における腸内細菌叢の形成とその乱れ(2019),小児臨床Vol.72 No.1

西尾壽乘,小児の抗菌薬使用と腸内常在菌叢(2014),The Journal of Farm Animal in Infectious Disease Vol.3 No.4

秋田博伸,各種抗生剤投与による腸内細菌叢の変動 (小児科領域にみられる影響について)(1982),感染症学雑誌 第56巻 第12号

土浦協同病院なめがた地域医医療センターHP
https://www.ndgh.jp/shinryo/syounika/syounika03/syounika03_08

ふかざわ小児科HP
http://www.f-clinic.jp/2015/06/post-91.html


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