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「忘れられたくない」

鬼北町の日吉商店街は古き良き昭和の雰囲気が残る場所。その一角にある常行菓子舗はの字のタルトや栗饅頭が名物商品。現在は道の駅をメインに販売を続けている。

取材のため作業場に入らせて頂くと優しい甘い香りになんだか懐かしくなった。今でも故郷の味を懐かしみ地元の方はもちろん、東京など遠方からの字のタルトなど注文が入る。そう語るのは現店主であり2代目の祖父の孫でもある香さん。

職人の技を受け継ぎ、続けていくことは並大抵の努力ではかなわない。それでも香さんは3〜4年前から一人で丁寧にお菓子作りをしている。

きっかけは、香さんが語学留学から帰ってきてしばらく経ったころ、販売の制度が変わりお店を閉めるかもしれないと祖父から聞き、家族が女性ばかりなのもあって後継者と呼ばれる人もいなかったため香さんが手伝いをすることから始まった。

当時は仕事をしながら、職人技を盗む日々が続いた。とはいえ感覚で作業されていたものを身につけるのはとても大変だったと話す。
「こうやってこう」と言われるものを数値化したり出来ることからしていった。

お菓子作りは奥が深い。
あんこを練る作業や生地を焼くための重い鉄板など体力勝負であるということ。湿度や温度によっても素材の硬さなど異なるため微調整が必要であった。お菓子作りを知っていくほど女にはムリだと言われた理由が分かった気がした。

愛媛南予の名物赤いタルト

香さんは小柄で力仕事からは程遠く感じたが、多いときは90本、通常で60〜70本作っているという。作業の様子は職人そのもの。お話ししながらも、あんこの練り具合や生地を素早く巻く姿が、わたしにはかっこよく見えた。

タルトを巻いている様子

あんこに馴染みのない年代のお子さんに美味しいと言ってもらえることがうれしい。お菓子作りをする上でお客さまに喜んでもらえることが続く秘訣かもしれない。

取材の中で何度も言われていた言葉、「忘れられたくない。」
今でも常行菓子舗はここにある。香さんが受け継ぎ今も食べることができるとみなさんに知ってもらいたい。と。


歴史を感じるはかり
味のあるタン箱
愛媛南予名物タルト

そこで試行錯誤しながら生まれたのはフルーツ大福。不定期でいいフルーツをゲットした際に作られるそう。
軽やかに柔軟に、ときには女性目線を取り入れて、継承していく様子を身近で拝見できてとてもいい出会いとなった。

これからも、のの字タルトの優しい甘さはきっとみんなのお腹を満たし癒すだろう。Instagram @tsuneyukikashiho から最新情報を要チェック!

【お知らせ】

9月11日には近永駅周辺賑わい創出プロジェクト関連事業にぎわい塾にて
直接お話を聞くことができます。

詳細は「鬼北町 にぎわい塾」公式サイトをご覧ください。
サイトからのお申し込みも可能です!



令和6年度にぎわい塾チラシ


撮影、取材、チラシ制作:studio luonto なす しほ

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