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胸郭に影響を受ける呼吸

数回にわたり呼吸法についてまとめています。

今回は、アーサナで変化する胸郭と呼吸について。
当たり前の内容ながら、意外と流されがちかも知れないこと。

ヨガの呼吸というと腹式呼吸をイメージされがちですが、実際には胸式呼吸も多く、また両方を使うものも多くあります。
そしてこの2つの呼吸はアーサナの種類とも連動し自律神経の状態に影響します。


○腹式呼吸・胸式呼吸の解剖学的特色

腹式呼吸:肺の下に位置する横隔膜が呼吸に伴い収縮・弛緩することで腹部が動く。
胸式呼吸:横隔膜以外、胸郭周囲の筋肉も動員されての呼吸となる。


○吸気・呼気と胸郭の形状の関連性

吸気と呼気は胸郭の形状に影響を受ける。

胸郭が持ち上がると:形状的に広がり空気は肺に入ってきやすい。
          →吸気優位の呼吸となる。
胸郭が縮められると:形状的に狭くなり空気は出ていきやすくなる。
          →呼気優位の呼吸となる。


○アーサナの種類による胸郭の状態と呼吸への影響

前屈系のアーサナ:物理的に胸郭が広がりづらい姿勢となるため、呼吸に伴う肺の動きは横隔膜に依存しやすく腹式呼吸優位となる。
+α 前述のように呼気優位の呼吸となる。

通称:ダウンドッグ(Adho Mukha Svanasana)


後屈系のアーサナ:物理的に呼吸に伴い胸郭の動きが生じやすく胸式呼吸優位となる。+α 前述のように吸気優位の呼吸となる。

通称:アップドッグ(Urdhva Mukha Svanasana)


○前屈・後屈のアーサナと自律神経の関連性

前屈系のアーサナ:腹式呼吸優位、呼気が延長しやすく副交感神経優位となる。
後屈系のアーサナ:胸式呼吸優位、吸気が行いやすく交感神経優位となる。

なんとなく前屈系のアーサナでは意識が内に向き精神的にもリラックスしやすく、後屈系のアーサナでは意識が外に向き精神的にも明るく活動的となりやすいですが、このことは生理・解剖学的にも理に適っているのですね。

他にも、腹式呼吸では内臓へ多く分布する副交感神経効果器や神経細胞の存在する仙髄への直接的刺激による自律神経系への影響、胸式呼吸では胸椎に並走する交感神経幹への直接的刺激や網様体賦活系の賦活による自律神経的影響も考えられるかなあと個人的には思っています。


ご自身でヨガに取り組む際やレッスンをどなたかに提供する際には、上記のことを意識して呼吸法やアーサナの流れを組むことで、その効果を高めることが出来そうですね。

またセラピストの方が臨床場面で呼吸法やアーサナを取り入れることがあれば、上記の知識はクライアントの方の自律神経の状態に応じ適切な手段を選択することや、それらが行いやすい身体機能面の準備などにご活用いただけると感じています。



最後まで読んでいただき有難うございます。

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