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片頭痛のズキズキ、吐き気にに効く漢方:呉茱萸湯の解説

怒りのジャワカレー

こんな寒い日は鍋だとテレビで「鍋特集」の企画が増えてきましたが、私の今の気分は「カレー」しか頭にありません。

先日のカレーは高い値段のわりにはまずくもうまくもない、いわゆる「普通のカレー」の域を超えなかった。
レシピ通りに作ればもう少しおいしくなるのかもしれないが例えばよく耳にする次の工程、

・たまねぎをあめ色になるまで炒める
・具材を20分煮込む

たまねぎのあめ色は時間がかかるし、そもそも火をかけたままキッチンを離れることに抵抗があるので、どうしても煮込む時間は少なくなります。それが原因なのか。

与えられた、自分にできる条件で何とか我が家のカレーならぬ「オレのカレー」はできないものか。
オレのカレーとは毎回味が同じでおいしくて、それを食べた人は私の顔が思い浮かぶような、そんなカレーです。

理想のカレーに近づくために、まずルーをいつもの「ジャワカレー」に戻しました。
作り方は同じで「アレンジ」を変えてみようと思ったのです。今回思いついた私のアレンジは、

トマトカレー

うまい、おしいい等好評な意見が多かったので「いずれ作ってみたい」とは思っていたもののなかなかできなかったが、ついにその日がやってきた。
さてさて、どんな味なのか。「オレのカレー」にはなったのか。
いざカレーを口に入れて思ったのは、

カレーじゃないじゃん!

思い描いたカレーとは程遠かった。カレーというよりトマトの味がするカレー。しかも酸味が飛んでなくて少しすっぱい。

なじみのお店とは違い、新規開拓はリスクが伴います。当たれば大きいけれど当たるまでに時間がかかる。
「オレのカレー」までの道のりはまだまだ続いていきそうです。

片頭痛と緊張型頭痛の違い

振り返れば、私の市販薬解説のデビュー記事は「解熱鎮痛剤」でした。

解熱鎮痛剤の3大主症状は、「頭痛」「生理痛」「歯痛」です。
生理痛はすでに解説済み、歯痛は虫歯なので歯医者へ行け、そして今回で3回目の頭痛シリーズの解説記事になります。

脳梗塞などの病気が原因ではない頭痛を「一次性頭痛」、その中でも多いのがストレスや肩こりが原因の「緊張型頭痛」を前回の記事で解説しました。

緊張型頭痛は肩や首の筋肉が硬くなり血管が収縮することで生じる頭痛です。
他方で(この言葉を使いたかった)、血管が拡張することで生じる頭痛があります。

血管拡張による頭痛が片頭痛です

片頭痛の特徴として、

・ズキンズキンと脈打つように痛む
・吐き気や嘔吐を伴う
・光や音に敏感になる
・体を動かすと頭痛が悪化する

その中でも病院を受診した頭痛患者の症状として次の二つが多く報告されています。

手足の冷えと胃の不調

漢方の考え方として、冷えは「気」「血」が体をめぐるのを邪魔します。
そして胃に溜まった「水」(漢方でいう水)が上に上がって頭痛を引き起こす。

今回解説する「呉茱萸湯」(ごしゅゆとう)の効能効果に次の説明があります。

・手足が冷えて肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの次の諸症:頭痛、頭痛に伴うはきけ・嘔吐、しゃっくり

気と血が体をめぐらないから、末端まで血がめぐらずに手足が冷える。
みぞおちの場所には胃もあるので、みぞおち膨満とは胃に水が溜まっているとも考えられます。
胃に水が溜まると、不調をきたして吐き気や嘔吐を伴います。

以下呉茱萸湯の成分表です。
成分成人1日服用量6錠中、呉茱萸湯エキス(1/2量)から下記生薬を抽出しています。

・呉茱萸(ごしゅゆ)1.5g:気を降ろして、体を温める
・人参1.0g:気を補う代表生薬
・大棗(たいそう)2.0g:気を補い、胃腸を整える
・生姜(しょうきょう)0.5g:気を補い、胃腸を整える、体を温める

大棗生姜のコンビは胃腸を整える作用として、最近続けて登場しています。


●呉茱萸湯エキス錠 48錠2640円(参考価格)

・用法用量その他
次の量を1日3回、食前又は食間に服用(水でもいいが、できればお湯で)
冷えによる症状を改善するなら、なるべくお湯を飲みましょう。
・15歳以上1回2錠
・15歳未満は服用しない

体力は中等度以下が対象
1ヶ月くらい服用しても症状がよくならないときは服用を中止して、医師や薬剤師にご相談ください

そして大事な呉茱萸湯を使ってはいけない人たち

・15歳未満
その他注意事項は各自でご確認ください

片頭痛と呉茱萸湯、そしてエビデンス

今回、呉茱萸湯を解説するにあたりいろいろと調べましたが、とにかく「エビデンス」というカタカナが目に付きました。

エビデンスとは元々は証拠という意味で使われますが、医療業界で使うエビデンスは「研究報告」だと私は理解しています。

これは一例ですが、病院で頭痛治療に来た患者に「呉茱萸湯」を処方して2週4週と経過を見たところ6割とか7割とか、多くの人が「軽くなった」「よくなった」など呉茱萸湯を使ったことで頭痛が改善されたそうです。

特にエビデンスというワードを使って調べたわけではないのですが、それでもエビデンスが多数出てくるのはそれだけ報告が上がって有用性があるのでしょう。

呉茱萸湯は片頭痛だけでなく、緊張型頭痛にも効果ありとのエビデンスでした。
前回解説した「葛根湯」は体力があり、胃腸が弱くない人向けの実証タイプの漢方です。
他方で呉茱萸湯は体力中等度以下なので体力があるとはいえない、胃腸があまりよくない人向けの漢方になります。

頭痛がひどくて体がしんどい人は葛根湯ではなくてむしろ「呉茱萸湯」こそ向いているかもしれません。

頭痛だけならまだしも吐き気や嘔吐、体を動かすと頭痛がひどくなる等片頭痛は本来、病院受診レベルの症状です。
市販薬と医療用医薬品の違いは同じ成分でも「量」が違うことがあります。
市販薬で呉茱萸湯を使ってみて、それでも頭痛が続くようなら一度病院で診てもらったほうがいいかもしれません。

呉茱萸湯があなたの頭痛に効きますように。

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