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#279 キャリア安全性・主体性を深堀る7ー企業が取り組む「3つの資本」

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織づくり、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。この番組が面白かった、あるいは参考になったら、フォロー・コメントなどいただけると嬉しいです。


キャリア安全性を測る「3つの資本」

いまですね。キャリア安全性・主体性について深堀っています。

昨日は、「3つの資本で考える」ということで、ビジネスの世界では、人が幸福に過ごすためには「3つの資本が必要なんじゃないか」と。

3つの資本というのは、人的資本、金融資本、社会資本の3つです。

人的資本を端的に言うと「個人のスキル」。金融資本は「お金」。社会資本は「人とのつながり」という3つです。これがあると、人が「幸せだ」と感じられる。

ということは、人的資本とは、ある程度スキルがあり、周囲に貢献できる何かがあり、それによって「ありがとう」と言われるということ。

金融資本とは、いま持っている現金とか、株とか、そういう資産はもちろんそうなんでしょうけど、僕の意見では「稼ぐ力」って言った方が、わかりやすいかなって思っています。ですから、必ずしも、いま現在、現金がそこになくてもいいと思っています。

社会資本とは人とのつながりですよね。「あの人だったら信頼できる」という。

この3つがあれば、確かに、将来を考えた時に「なんとかなるな」っていう安心・安全な気持ちが得られるんじゃないかと思います。

人事・経営戦略としてのキャリア安全性

これまで、キャリア安全性・主体性・オーナーシップを考える時に、どちらかというと「個人に対するメッセージ」が多かったと思うんですよね。「個人でなんとかしろよ」というか。

というのも、企業とはどちらかというと「いかに、うちの会社に尽くしてくれるか?」というのが、いままでの会社のあり方だと思います。つまり、キャリア主体性とは、どちらかというと逆のベクトルですよね。

極端な話、キャリア主体性とは、いま、所属している会社じゃなくても「なんとかなる」みたいなところがありますから、ベクトルとしては逆でした。

けれども、いまのような「これからの世の中って、社会がどうなっていくのかよくわかんないよね」っていう時には、会社の中に所属していながらも、ある程度「社会との接点」を自分でつくる必要があるよね、と。

だけど、個人の力だけで作るのは難しいところもあるし、大変なこともあるから、企業としてもそういった人材を育てていくことによって、結果的に会社にとって、すごく魅力的な人材になることは間違いないし、そういった、主体性を持った人たちが集っている会社は、間違いなく魅力的な会社でしょうし、間違いなく成果が出る会社だと思います。

そう考えると、キャリア安全性・主体性は、人事戦略・経営戦略として、社内で構築していくことが大事なんじゃないかと思います。

3つの資本の中で「企業として何が取り組みやすいか」

資本を、人的資本、金融資本、社会資本の3つで考えた時に、「何をすべきか?」というよりは、会社の中では「何ができるか」という観点の方がわかりやすいと思いますが、企業の中で「何ができるか」ということを、この3つの資本で考えてみると、優先順位というか、できること/できないことが見えてくると思います。

人的資本、金融資本、社会資本に対して、会社の中で「こういう人材を育成する・育てる」ということを考えたとき、「できること・できないこと」があります。

そこで、3つの資本の中で、会社でできることは「このぐらいの割合なんだろう?」という気がしました。

企業の中で育てるのがもっとも難しい資本は?

もしも、企業の中で、育てるのがもっとも難しい資本があるとしたら、会社員として働いている場合、金融資本は「難しいだろうな」と思います。

なぜならば、単純に「お金を貯める」っていう資本作ることは、ひょっとしたらできるかもしれませんが、多くの場合、サラリーマンの収入はある程度限られているので、「お金を貯める」といっても、そんなに貯められないですよね。貯められますが、できても月数万円の世界だと思います。

また、いまから「投資をして増やせるか」といったって、企業として、それを社員に教える(社員を育てる)ことは、よほど、会社の中に、お金の運用や投資が得意な人がいればいいですが、まず、できないと思います。

そもそも会社員とは「一定の給与で、安定した生活を望む」という働き方ですから、金融資本を育てるのは、ひょっとしたら会社の中では難しいかもしれません。

金融資産は育てられなくても、人的資産なら育てられる

もしも、金融資産を会社の中で育てるんだとしたら、直接的に「金融資産を増やす」というよりは、おそらく、人的資本である「スキル」として増やしていく方が、多分やりやすいのではないかな、と思います。

個人で、ある程度主体性を持ってお金を管理していくためには、「自分で稼ぐ」ということもそうなんでしょうけど、「お金を稼ぐ」という金融資産よりは、お金の知識として「請求書を発行する」とか、「領収書をもらう」とか、「確定申告する」とか、そういった「お金の知識を身につける」という「スキル」であれば、人的資本として身につけることができます。

人的資本なら、会社の中で育てることはできます。

あとは、業務スキルもそうですよね。ですから、企業の中で、キャリア安全性を高めるために「3つの資本」を増やす取り組みをするためには、人的資本を増やこと。

企業なら、社会資本を育てるのも有効

それ以外に、会社の中で育ててく上で大切なのは、社会資本の方かなと思います。人とのつながりの部分で。

2024年1月1日に能登半島地震が起きました。その中で、いま、さまざまな取り組みをしている方がいらっしゃいます。

僕は、NPO法人を経営しながら、いま働いているサイボウズの中では「災害支援チーム」と言って、いま、現地に行って、ICTの分野で被災地を支援する取り組みをしているチームがあるんですよ。

このような、社会的な取り組みをしている人たちのつながりが、僕は比較的多い方だと思うんです。

このようなネットワークがあると、何が起こるかというと、震災のような「何かをやらなくちゃいけない」といったときに、会社に所属はしているんだけど「これはどうですか? あれできますか?」といった話が結構来るんですよね。

これは、人のつながりによって生まれるものですが、これって社会資本じゃないですか?

ですから、社会資本というのは、会社に所属していても作ることができるし、社会との接点がすごく生まれるから、キャリア安全性・主体性を考えると、企業として取り組むことができるし、社会資本を増やすことは十分できると思います。

なので、人的資本、金融資本、社会資本の中で、会社の中で比較的取り組みやすいのは、人的資本と社会資本だと思いますが、取り組む割合はどのくらいなのか?については、明日も続けてみたいと思います。

では、今日の話はこれで終わります。じゃあね、バイバ~イ!

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