『生と死のキョウカイ』1巻−vol.04 2月のマンガ・リハビリ・エクササイズ③

最近マンガ読まなくなったけど、月に5冊キンドルで買って読もうのコーナーマンガリハビリ。2月の面白かったマンガ紹介パート③。『生と死のキョウカイ』1巻について。

『AUTO MAN』1巻
柞刈湯葉/講談社・コミックdays

『生と死のキョウカイ』1巻小倉孝俊/集英社・となりのヤングジャンプ

『メタモルフォーゼの縁側』1巻
鶴谷香央理/KADOKAWA・コミックNewtype 

『アトムザ・ビギニング』2巻
コンセプトワークス:ゆうきまさみ、漫画:カサハラテツロー/小学舘クリエイティブ・ヒーローズコミックス

『アマゾネスキス』1巻
意志強ナツ子/リイド社・トーチweb

まず感想、嗚呼ウェブマンガ!!って感じ。となりのヤングジャンプ連載作品なので、かつてのウェブマンガとは事情が違うけれど、ぼくたちが大好きだったウェブマンガがここにある!って感じ。

どういうことかっていうと、荒削りで絵も特別うまい訳じゃないけれど、アイデアとやりたいことがすごく伝わってくる感じ。商業誌で連載するにはお話もそうだし絵もちゃんとしてないとだめで、すごく総合的な能力が必要で。そこを飛び越えて愛のある面白いアイデアのマンガが登場してきたのはウェブマンガのおかげだと思っている。たとえばワンパンマンなんかとても面白いけど、原作のoneさんの絵ではいきなりジャンプには連載されないはずだ。

で、このマンガは、ドラクエ以降RPGで定着した「死んだら(教会で)蘇生できる」世界観を描く作品だ。主人公である教会で働く聖教徒・エステルが、教会の司祭・クマ神父、冒険者を生き返らせる蘇生士・ハッツと、「この冒険者は生き返らせるかどうか」という最後の審判を行う物語だ。

つまり、冒険者を必ず生き返らせるわけではない。冒険の内容、死にかたなども審判の判断を左右させる。高齢だったり死んでからの時間が長かったりすると、復活しても免疫不全を起こしてしまったりする。なにより、復活の回数は12回と決まっていたりする。

RPGあるあるな世界観を、すこしコメディタッチで描いていてそれだけでも面白い。しかしこのマンガのアイデアはもう一重ある。一巻の途中で明らかになるんだけど、さだめられた蘇生回数を超えた13回目の蘇生が問題なく出来てしまう。ウェブマンガはなんとなくそういう傾向にあるけれど、宗教や前提を問う作品は意欲にあふれていて面白い。『生と死のキョウカイ』でも、復活回数への疑いから、作中の宗教や思想が問われることになる。「宗教が自分たちの都合や意図で、復活者を制限・選別しているのではないか」という問いとエステルは向き合うことになる。教会への疑いを明らかにして、世界の真実を知るため冒険に出るエステルの活躍に二巻以降も目が離せない。