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記事一覧

#129 組織が変わる 行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法 2 on 2|宇田川 元一

気づいたら2冊目の宇田川先生の本がでていた。 本書は新たな対話の方法論について言及されている。 2on2の人選を考えていたら頭を抱えてしまったが、組織の問題であるというときの組織は実体がなく、目の前の具体的な問題を一つずつ解決していくしかないこと、まずは自分自身が問題の一部であると気づくこと、などまさにまさにという感じだった。 とりあえず『他者と働く』をみんな読もうよ。

#127 家族と話し合いをしてますか?|斉田 栄子

ちょうど一年前に読んだ本を読書メモで復習。 本書をきっかけに家族会議を開くようになったのだった。 定期的に行いたいところだが体調不良で延期になることもしばしば。 間隔が空きすぎると意見や不満が膨張するような気がしてよくないかも。 仕事の会議もそうだけど日程相談のコストが高いので定例化してしまおう。

#124 聞く技術 聞いてもらう技術|東畑 開人

最近は読書が捗らず昔の読書メモを見ながら復習がてら書いている。 売れている書き手で著作も多いがちゃんと読んだのはまだこれだけ。 コミュニケーションの本だと思ったら、ケアの本だった。 専門知と世間知の話が興味深い。 専門知が世間知の限界を補い、世間知が専門知の暴走を制御する 両者のせめぎあいで複雑な事情を複雑なまま理解しようとするのが心のケア ケアの主役は民間セクターである(アーサー・クラインマンのヘルス・ケア・システム) 家庭医療の実践で民間セクターに歩み寄っていくこ

#122 親子の手帖 増補版|鳥羽 和久

昔聞いていたポッドキャストで知って買ってもらった。 あまりにもよくて家人にも読んでもらいたくて結局買った。 最近別のポットキャストで、「大学受験は本人の受験、高校受験は本人と親の受験、中学受験は親の受験」というフレーズがでてきて本書を思い出した。 まだそんな年頃ではないけど親のエゴには自覚的でありたいなと。

#118 3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術|伊藤 守

医師の燃え尽き症候群という本の参考文献になっていたので借りてみた。 借りては読まずを繰り返していたがようなく読めた。 実際に人の行動に影響を与えるのは、会話そのものではなく、会話の後にここの内側で続くセルフトークである。一回の時間は短くても、部下の今の生の声をこまめに聞いてコミュニケーションを密にとること。それ自体が部下のためであり組織のためでもある。 今年度後半は組織について考えさせられる時間が多かったが、 結局コミュニケーションの問題にいきついてしまう。 また来年度

#117 心理的安全性のつくりかた|石井 遼介

来年度は心理的安全性の高い職場づくりを目指したいと考えている。 ということで何年か前に読んだ本書の読書メモを読み返してみた。 心理的安全性とは、対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だと思える度合いのこと。 べき論や「正しさ」が強調されすぎると、脱線が許容されない雰囲気となり、心理的安全性の低下を招くのではないかと感じている。 「絶対的な正しさは存在せず、自分のフィルターを通してしか現実は見られないからこその協働なのではないか?」とメモってあった。 チームで診療する強

#115 なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか|古屋 星斗

セレンディピティがあるので必ず確認するようにしている新刊コーナーで発見。 若手が前向きに同じ職場で働き続けるには、 「心理的安全性」だけでなく「キャリア安全性」も大切という話が印象的だった。 キャリア安全性とは、自身のキャリアがいまの職場で働くことでどの程度持続的で安全な状態を維持されるかと認識しているかということ。 まあ当然気になるところですよね。 研修の質の担保には私自身のレベルアップが必要。わかります。

#109 問題解決大全|読書猿

推論の梯子2021年に読んでいたようだが、このキーワードで思い出して当該部分を再読。 人はなにか行動を起こすときには次の梯子の上にいるというメタファーだ。 行動 確信 結論 推論 意味 選択 事実 一旦この梯子を降りて、上りなおすことで、 推論のプロセスが内省され、行動に変更の余地が生まれる。 前回の「コミュニケーションの齟齬」と構造は同じ。 まあ構造理解と実践の間には大きな壁があるのだが。 「問題解決」には「問題定義」なしには始まらないなと改めて確認できた

#108 MBA問題解決100の基本|グロービス 嶋田 毅

コミュニケーションの難しさに直面しているときに、 本書の「コミュニケーションの齟齬」というコラムが目に止まった。 言ったは聞こえたでない 聞こえたは聴かれたでない 聴かれたは理解されたでない 理解されたは同意されたでない 同意されたは納得されたではない 納得されたは行動がとられたでない 激しくうなずく。 重要なのは相手の納得がえられるか否かだけど、 そこまでの道のりは案外長い。 これを呪文のように毎朝みんなで唱えれば、 もう少し穏やかな職場になるんじゃないかし

#107 謙虚なリーダーシップ|エドガー・シャイン

副題に惹かれた。 近隣の図書館にありそうでなかったので相互貸借制度を利用した。 仕事が速くて助かる。 信頼して率直に話し合える関係をいかに築けるかが組織存続の鍵だという。 もう本当にこれ。 互いのことを知ろうとする機会が減ってしまった影響もあったりなかったりするのか。 組織のダイナミズムに翻弄され続けるこの頃。 さて、どうする?

#106 「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?|上村 紀夫

著者は産業医でコンサルティングファーム代表の方。 離職のメカニズムとその対策について書かれている。 マイナス感情の類型は、心身コンディション、働きやすさ、働きがい。 この順番に下からピラミッド構造をつくっている。 働きがい低下などで不満はあるけど転職しない人・できない人のことを「ぶら下がる人」と呼ぶらしい。 ぶら下がる人が増えることは離職者が増えることよりも組織の活力低下を招くため問題となりやすい。 働きやすさを改善する施策はむしろぶら下がる人の増加を招く。 いろいろ心

#97 父ではありませんが|武田 砂鉄

図書館の返却日が迫ると慌てて読み出して、これはおもしろいと付箋をぺたぺたはる。 しかし時間切れになってなくなく読書メモを残すことなく付箋を剥がして返却。 久しぶりにそんなことになってしまった本。 『目的への抵抗』という本があったけれど、本書のメッセージは、「普通」への抵抗だ。 「普通」は押し付けられたくもないし、押し付けたくもないもの。 「普通」を盾に話してないか。 その暴力性に自覚的でありたい。

#83 自由と成長の経済学|柿埜 真吾

「a scope」で著者の存在を初めて知り手に取りました。 本書は『人新生の「資本論」』の批判本となっています。 ここまで明確に一つの本を批判した本を読んだことがなく新鮮な読書体験でした。 詳しく知らないテーマの本を批判的に読むのは難しいことですが、この2冊のように主張が真っ向から対立する本をセットで読むと、テーマに対する視点が増えて、解像度が深まるような気がします。

#81 何もしない|ジェニー・オデル

やる気のなさそうな装丁(失礼)が目を引きます。 おかげでヘッダーが書影にみえません。 資本主義に基づく注意経済への抵抗として「何もしない」をいかにするかについての本です。 生産性という近代的概念が、実際には生態系の自然な生産力の破壊の枠組みになっていると指摘したうえで、非商業的な活動や思考、ケアのためにもっと時間を使おうといいます。 「慣れ親しんだ世界とは異なる規模と速度で知覚することを促す芸術作品は、異なる領域内で注意を自在に操る方法を教えてくれる」と、「何もしない」処