マガジンのカバー画像

4 自然科学

23
4 自然科学
運営しているクリエイター

記事一覧

#120 死亡直前と看取りのエビデンス 第2版|森田 達也・白土 明美

施設職員向けに勉強会をすることになり再読中。 わかっていることとわかっていないことを噛み砕いて伝えたい。 多職種連携はお互いの立場を知るところからと自戒を込めて。

#116 正解を目指さない!? 意思決定⇔支援|阿部 泰之

ACPの勉強会を担当することになってある先生から借りた本。 著者は哲学とかも勉強されているようで内容が深い。 現場でのもやもやが丁寧に言語化されている感じ。 表題の「正解」というのがなかなか難しい。 そもそも「正解」があるのかという問いには、確固とした正解があるのではなく自分の頭で正解だと確信する行為が正解を選び取るということと答える。 正解ははじめからその人の中にあるのではなく話あいの過程で創られる。 これがACPの本質だと。 意思決定においては、「納得感」を指標にしよ

#113 実践SDH診療|近藤 尚己・西村 真紀

以前西岡先生の講演を聞いて感銘を受けて講演料をとおもって購入した。 執筆者が多いので印税なんてたかが知れているというかないかもしれないが。 積読になっていたが、院内学習会の司会を頼まれて慌てて読んだ。 スティグマとは、ある属性を持つ人にネガティブなレッテルが貼られている状態。 スティグマを負った人は自己評価を攻撃し自尊心低下や受診中断につながる。 医療者は「中断するような患者」というレッテルで差別を強化していく。 (無意識的な)偏見や言動が同じような困難を抱えた人をさらに

#105 これからの「お看取り」を考える本|名郷 直樹

昨日は第2回の読書会があった。 課題本はこちら。 読了が一年半前で手元に原本もないので読書メモを元に話した。 外来で「カツアゲ」してたことにハッとしましたとか。 関連本とかの紹介もあっていい感じだった。 一人では得られない体験になる。 で本書は課題本に推薦したけど落とされた方。 N氏が辿り着いた境地を、 一般向けに語ったのが課題本で、 ヘルスケアプロバイダー向けに語ったのが本書だ。 ヘルスケアプロバイダーは2冊セットで読もう。 次回は弱さとか正しさとかマイノリティと、

#103 レジデントのための神経診療|杉田 陽一郎

直近で一番勉強になっている医書。 オーソドックスな教科書的な章立てでありながら、 陥りがちなピットフォールが強調されていて読ませる文章。 かゆいところに手が届く神経領域の書籍がやっと出版されたという感じ。 著者プロフィールをみたら2015年卒でぶったまげた。 相当に優秀な先生なんだろう。 精読します。

#102 エビデンスをめぐる往復書簡|青島 周ー・名郷 直樹

前回の読書会で、往復書簡形式の本は初めて読んだ、という声があって、確かにと思いつつ、自分の読書ノートで検索かけたらヒットした。 2022/7/22の記録だ。 『急に具合が悪くなる』にインスパイアされて書かれた本だった気がする。 「非日常、必然、因果、依存から、日常、偶然、現象、出会いへ」がテーマになっていたようだ。 本書は『急に具合が悪くなる』の副読本だ。 ケアとかナラティブとか言葉とかをテーマに選書を続けねば。

#100 患者の意思決定にどう関わるか?|尾藤 誠司

版元ドットコムの書影が使えなくなってしまった。 重宝していたのに残念。 ヘッダー画像は適当にあてがうしかない。 ということで100回目。 先日の読書会で勧められた本。 事前にリクエストしていてタイミングよく到着。 B氏のYoutube動画の語りとは違いかなりまじめなテイスト。 さすが医学書院。 Authenticな教科書というかんじ。 意思決定アジェンダは「決める」ものではなく、「決まる」もの。 だから意思決定に関するやり取りをする者が行っている行為は「支援」ではなく「

#95 まるっと!ACP アドバンス・ケア・プランニング|宇井 睦人

HEPTを受講した。 グループワークではACPと臨床倫理についてディスカッション。 暗い話になりがちだからこそ、生きがいや希望などポジティブな側面を話題にするように意識している、と循環器医が言っていて感服し、反省した。 自分の発言を機に本書のノートを復習。 「医療者による医療者のためのACPになっていないか?」 ほんとうにこれ。 様々な立場の方が分筆されていて読みやすい。全医療スタッフにおすすめ。

#85 腹痛の「なぜ?」がわかる本|腹痛を「考える」会

まず、著者名をみて、「なぜ?」となります。 つぎに、版元をみて、間違いないとなります。 そして、読んでみて、これまでの診療を反省します。 痛みを内臓痛、体性痛、関連痛に分けてとらえ、 病態を考えてアプローチしようというのが本書のコンセプトです。 やっぱり解剖生理がだいじですね。 さいごに、胆石発作の9割は持続痛です。よろしくお願いします。

#75 もしあと1年で人生が終わるとしたら?|小澤 竹俊

エンドオブライフ・ケアの世界でご高名な小澤竹俊先生の著書です。 意外にも本note初登場でした。 印象的だったフレーズのメモです。 あと1年で人生が終わるとすると本当に必要なものだけが浮かんでくる 苦しみに直面し悩むことで初めて人生にとって大切なことに気づく 反復や沈黙が「この人は私の理解者だ」という信頼関係を生む タイトルの問いにまだ現実感がありませんが、今を犠牲にしない生き方を模索しようと思いました。

#68 外来診療によく効くBATHE法|生坂 政臣

珍しくよい訳本の医書に出会いました。 「BATHE」は以下の頭文字をとったもので、患者中心の医療面接を実施する上で有用なフレームです。 Background 「最近の生活はどうですか?」 Affect 「どう感じていますか?」 Trouble 「最も困っていることはなんですか?」 Handling 「どのように対処しましたか?」 Empathy 「それは大変でしたね」 Troubleに関する質問で患者に立ち止まって考えさせることがミソのようです。 このフレームを駆

#67 病棟指示と頻用薬の使い方|松原 知康

いままでありそうでなかった「病棟指示」の本です。 通読したところ付箋だらけになり勉強不足が露呈しました。 特に第2章「持参薬はどうする?」はかゆいところに手が届く内容でした。 新研修医のみなさん。 これがあれば病棟業務がかなり捗ります。 買っておきましょう。 その他の医師のみなさん。 漫然とやっていたプラクティスを見直す機会になるはずです。 買っておきましょう。

#60 コンサルテーション・スキル ver.2|岩田 健太郎

前回#59は交渉の話でした。 医師同士での交渉といえばコンサルテーション。 ということで本書です。 岩田節は相変わらず健在ですが、実践知が詰め込まれていて読み応えありです。 コンサルテーションは「患者のアウトカム改善」という上位目標を達成するための手段の一つであり、コンサルトする方もされる方も同じ方向を向いているという前提が当たり前ですが大切ですね(そしてときに難しい)。 「上位目標」のために真摯に働いているか? などと考えだしと悶々としてしまったので今日はこのへんで。

#54 また来たくなる外来|國松 淳和

前回の本に関連して、著者の先生の単著を一冊ずつ取り上げてみます。 まずは國松先生。 多様なテーマで医書を量産しているとんでもない方です。 どれも非常に勉強になります。 今回紹介する本は主に外来診療の心がまえについての論考です。 初診での関係性の築き方、対症療法の考え方、再診のつなげ方。 このあたりが丁寧に解説されており、また読みたくなる本です。 と言っておいてまだ一回通読しただけの、明日も外来を控えた私に向けて、エールになりそうな一節を引いて終わります。