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詩吟事業「吟猫(ぎんねこ)」の設立趣意書・定款・SWOT分析

趣味かつ特技の詩吟を活かし、昨年2023年の誕生日に開業届を出しました。

屋号は「吟猫(ぎんねこ)」
込めた気持ちは「自由に楽しくのびのびと、詩吟を広める活動をする」というものです。

そこから今日でちょうど1年経ちましたが、つい先日、私が毎日聴いている木下斉さんのVoicyで「ジブン株式会社」に関する配信がありました。

内容をざっくりまとめると「ジブン株式会社の設立趣意書・定款・SWOT分析をしましょう。そうすれば軸が定まります。」というものです。

ということで、早速書いて整理してみました。


1.吟猫の設立趣意書

(自分の26年の詩吟人生を振り返ります。長いので、適当に読み進めてください🙇‍♂️)

私が詩吟を始めたのは10歳の頃です。
母がアメリカに3ヶ月行くことになり、3姉弟の中で一番手のかかる自分が一緒についていくことになりました。
「せっかくアメリカに行くのだから、何か日本的なことをやっておいた方がよいだろう」という母の考えから、近所で開催されていた詩吟教室に勧められて、詩吟を始めることになりました。

やらされ感はあるものの、結果としてそれから26年間詩吟を続けることになります。
一緒に習い始めていた姉たちはもうすでに辞めてしまいましたが、僕だけ未だに続けています。

詩吟を始めたころは、正直、あまり楽しいものではありませんでした。
しかしその一方で「こんな珍しいもの、誰もやらないだろう!」という感覚が自分とっては貴重でした。
なぜなら、私は珍しいもの好きのあまのじゃくな性格だったからです笑

人がやっていないということは、競合が少ないということ。
競合が少なければ、多少頑張るだけで大会で勝てるということ。
また、子供が少ないので、大会に出るだけでちやほやされること(笑)
最初から全てを計算していたわけではないですが、あまのじゃくな性格が結果として功を奏し(?)、継続するモチベーションになりました。

とはいえ、それだけで吟が上手くなるわけではありません。
むしろ、中学生の声変わりの時期に、部活の忙しさもあって、本当に詩吟を辞めようとした時があります。
でも、その時に、たまたま縁があって詩吟の先生が別の人に変わり、私の詩吟人生を決定づけました。

その先生は実力があり、視野が広く、そして非常に熱心に僕にマンツーマンの指導をしてくれました。
今までちやほやされるだけの練習をしていた僕でしたが、その熱量と、詩吟の面白さ(の入口)に惹かれて、負けじと練習することになります。

結果として、高専時代の5年間を雨の日も風の日も大雪の日も台風の日も休まず外で発声練習を続け、実力がみるみるついていきました。
そのかいあって、数年前には全国大会で優勝することもできました。

一方で、詩吟に対して疑問を感じる事も増えていきました。

詩吟の大会に参加すると、言い方は良くないのですが、あまりに吟の形になっていない方が一定数いるのです。
もちろん、それを自覚している人もいますが、全く自覚せず、指導者もそれを良しとしているようなケースも見られました。

文学部の高校生が全国から集まる全国高文祭に出場したときも同じ感覚がありました。
同じ高校生の年齢で、感覚も似ているはずですが、素人が聴いても「この吟を人前で披露するのはあまりに・・・」と思えるような吟がいくつかあったのです。

詩吟初心者が大会に合わせて準備をしたといえばそれまでなのですが、それでも「一般の感覚からして、この吟を人前で披露する感覚」というのが自分には理解できませんでした。

これは、僕が「吟のスキルが低い人をディスりたい」のではなく、「そんな吟でも良しとする指導者の、世間とズレた感覚」に強い違和感を持ちました。これでは、詩吟を知らない人が聴いたとしても全く魅力的に映らないからです。つまりは、人を惹きつけない、人が増えていかない、詩吟が衰退する、ということにつながるからです。

詩吟をさらに続けていくと、疑問はますます強まりました。一番感じたのは、言ってしまってはアレですが、全国大会で優勝した時のことです。

レコード会社主催の全国大会の予選を勝ち抜いて、決勝に出て優勝したわけですが、優勝者にはトロフィーのみで、むしろさらに支出を求められそうになりました。

「自費でCD出しませんか?」

これを言われて「???」となりました。
そもそも、予選を勝ち抜くたびに大会参加費が追加で求められる逆インセンティブ設計にも強く疑問を持っていたのですが、これで確定的になりました。

このころは夫婦で不妊治療をしていたりと金銭的・時間的にも余裕が少ない中で詩吟をやっていたので、この組織的な仕組みには強い違和感を覚えました。

頑張れば頑張るほどに、時間とお金がますます取られてしまう。
頑張った分だけ報われるような仕組みになっていない。
これでは、時間とお金にシビアな若者が入ってくるハズがない。
こう感じたのです。

そしてあともう一つ、書き記したいことがあります。
それは、「詩吟業界の組織の堅牢さ」です。

詩吟には数多くの流派が存在しています。
そして、大きな流派は組織を作っていて、色んな支部に分かれています。

僕は高専を卒業後、地元を離れて大学に行き、さらに別の地に就職し…という経歴だったのですが、地元を離れてから10年近く、地元の教室から籍を移すことが出来ませんでした。

籍を移すには、移す先の会長と、私の所属してる組織の会長が手紙や電話でやり取りし、OKが出た上で私が相手の会長に手紙を出し、承認を得るという手続きが必要だったのです。

この異動の大変さには、正直な所、違和感しか感じませんでした。
時代に全く合っていないと思ったのです。

このような違和感を持ったままコロナ禍に入り、副業活動の中で詩吟を発信していく中で「詩吟で事業をする」という意識が芽生えてきました。

最初のころは音声配信サイトで詩吟について発信していましたが、音声配信サイト自体がマイナーであり、そこから詩吟を聴こうとする奇特な人はごく少数だったので、なかなか伸びませんでした。

そこから配信先をYouTubeに移してから、次第に認知されるようになっていきます。2022年にYouTube配信を始めて、1年後にチャンネル登録者数が1000人となり、2年後の現在は1850人まで増えました。
増えるペースは全く加速しませんが、減速もしません。本当にコツコツと着実に増えていきます。

チャンネル登録者が1000人を超えた頃から、ようやく詩吟でマネタイズができるようになりました。
また、YouTubeメンバーシップ(YouTube詩吟教室)も始めて「オンライン上の非同期型詩吟教室」というものを始めました。

YouTubeの発信では
・詩吟を学び始めたが先生の指導内容が難しくて分からない
・詩吟に興味があるものの学び方が分からない
といった方にとって、役立つ内容を意識しています。
当時の僕が苦しんだので。

また、YouTube詩吟教室では
・場所、流派、吟のレベルに限らずだれでも詩吟が学べること
・お手軽な値段で気軽に詩吟が学べること
・学んだことはコンテンツとして残り、後から見返せる仕組み
・非同期型コミュニケーションにして、時間を合わせずとも継続できる仕組み
を意識しています。

そして、発信活動では素性を明かしていません。
吟を聴いたら流派とかはバレバレなのでしょうが、自分で流派や所属の組織は名乗っていません。
これは、「詩吟の組織から離れた位置から、詩吟を盛り上げたい」と思っているからです。

詩吟が上達するほどに組織に取り込まれて、時間とお金がかさみ、ますます動きにくくなります。これだけは本当に避けたいのです。

こうした活動が多少形になった昨年の2月に、詩吟事業「吟猫」で開業届を出しました。

冒頭でも書きましたが、吟猫に込められている意味は
「自由に楽しくのびのびと、詩吟の面白さを広めたい。」です!
(※僕が単に猫好きで、猫の生き方が好きというのもありますが笑)

非常に長くなりましたが、とりあえず設立趣意書的なものはここまでです(本当はもっとブラッシュアップすべきなのでしょうが…)

2.吟猫の定款

定款とは「何を行う会社」なのかを定義することです。

私の詩吟事業「吟猫」の定款は
「詩吟を楽しめる人を増やすこと」です。

これを深堀すると以下の5つになります。

  1. 詩吟を気軽に学べる環境を提供する

  2. 詩吟の悩みを気軽に相談できる場所を提供する

  3. 詩吟の面白さに触れられる機会を提供する

  4. 詩吟に興味関心を持つ人を増やす

  5. 詩吟実力者が詩吟で稼げる選択肢を提供する

例えば、YouTube詩吟教室では、詩吟教室をYouTube上にすることで、詩吟を"気軽に"学び、相談できる環境を提供しています。

詩吟の面白さに触れられる機会としては、YouTubeの発信もそうですが、最近ではWeb3×伝統芸能のコミュニティ「Senju DAO」に所属し、詩吟を和声素材として作曲家に提供し、新たな詩吟の創出に携わったりしています。

今後はショートムービー等にも動画を配信して、詩吟に触れる機会が皆無だった層にも、詩吟の魅力が伝わる形でアプローチしていきたいと思っています。

また、若年層だけでなく、高齢者層にも詩吟の面白さを伝える活動を進めています。具体的には老人ホームやデイサービスで健康目的の詩吟講座を行うべく、現在営業活動中です。

私自身、詩吟を26年続けてきて、子育てというライフステージに上り、人生経験が少し増えたことで、詩吟の味わい深さを感じられるようになりました。これが10年20年30年…と続くと、もっと面白いのだろうな、というのが想像できるようになりました。

つまるところ、詩吟は年配の方にとって、とても自然でなじみ深いものなのだと理解しました。年配の方が非常に多いのは、若者が少ないからという理由だけではないのです。

ですので、アクティブシニア層に詩吟の魅力を伝え、健康目的でも、生き甲斐でも、学び目的でも何でもよいので、詩吟に携わってもらえればと思っています。必ずしも詩吟教室に入る必要はなく、組織に所属する必要もありません。例えば僕のYouTube配信で一人黙々と学んでも良いと思うのです。
そんな「ライトな詩吟ユーザー」がもっと増えることで、詩吟そのものが活気付いてくると僕は思っています。

5つ目の「詩吟実力者が詩吟で稼げる選択肢を提供する」ということにも思い入れがあります。

正直な話、僕よりも詩吟が上手い若手は沢山います。
僕なんか足元にも及ばないくらい素晴らしい吟をする人がいます。
でも、そういった方は、詩吟の組織に取り込まれて、詩吟が負担に変わっていくのです。詩吟に捧げていくようになるのです。

詩吟に人生を捧げるのが好きな人はそれで良いと思うのですが、そう思わない「詩吟実力者」の方が多いと思うのが自然です。
そういった方は、負担が増えるにつれて、詩吟業界から離れていきます。
「いくら頑張っても、お金と時間の負担が増えるだけ。詩吟教室を開いても稼げるわけではない」というのが最大の壁です。

これは、詩吟業界にとって恐ろしいほどの損失です。
せっかく小さい頃から詩吟を学んで、鍛えて、実力をつけて今まで続けてくれたのに、その先が無いために辞めざるを得ないのです。

そういう人たちにとって、「詩吟でもこのようなやり方をすれば収入になり、詩吟を現実的に続けることができます」という道筋・選択肢を提供したいと思っています。まだ月額数万円程度ではありますが、今後は10万、20万…と増やしていく予定です。

3.吟猫のSWOT分析

吟猫事業について、SWOT分析をやってみました。

SWOT分析をざっくり言うと、横軸に強みと弱み、縦軸に機会と脅威のマップを作って、立体的に事業を分析する手法のことです。
お恥ずかしい話ですが、この分析手法は名前だけは知っていましたが、実践するのは初めてです。が、やってみることに価値があると思っています。

ということで、まずは強み・弱み・機会・脅威をリストアップするところから始めました。

吟猫事業の「強み」

  1. 詩吟業界の中では比較的若い

  2. 詩吟の実力がそれなりにある(一般の方から見てそのように見える)

  3. 詩吟の実績がある(全国大会優勝)

  4. 詩吟業界内ではネットやSNS、最新技術に比較的詳しい(多分)

  5. YouTubeでの集客・発信実績をもっている

  6. 匿名&個人活動なのでフットワークが軽い

  7. ネット上で複数のコミュニティに所属しており、色んな人と繋がりを持っている

  8. 詩吟上達のための言語化が得意

  9. 競合がほとんどいない。

吟猫事業の「弱み」

  1. 本業と育児の合間で活動しているので作業時間が非常に限られる

  2. 自分よりもっと吟が上手い人がいる

  3. 匿名なので信頼性が多少下がる

  4. 性格的に細かい作業や手続きが苦手

  5. デザインセンス・動画編集センスが無い

  6. 対象とする高齢の方は、パソコン操作が苦手な人が多い

吟猫事業の「機会」

  1. 詩吟に興味を持ちそうな「アクティブシニア」が増加傾向にある

  2. ネットやSNSを使う年齢層が年々上がっている

  3. TikTokやショート動画でのアルゴリズムの後押しが強い

  4. AI技術の発達

  5. 日本へのインバウンド需要の高まり

  6. 和楽器バンドの鈴華ゆう子さんの卓越した影響力

  7. SenjuDAOというコミュニティでの伝統芸能に関するつながりと新たな試み

吟猫事業の「脅威」

  1. 家庭を蔑ろにして家族からの信頼を失う

  2. 睡眠不足による体調の悪化

  3. 身バレによる詩吟業界からのバッシング?

  4. 多くの魅力的なエンタメ・娯楽の台頭により伝統芸能への興味が減る

  5. 自分より詩吟が上手な人が発信活動を始める


一気に羅列しましたが、こんな所です。重複しているところ、本題からズレているところもあるかもですが、まずはこんな感じ。
では次に、それぞれを掛け合わせて分析していきます。
(本来なら図でまとめるべきなのでしょうが、今回は文章で失礼します)

強み×機会 : がんがん進めて成長につなげる

  • アクティブシニア層を対象とした詩吟のオンライン・オフラインでの営業活動

  • SNSやショート動画、AI技術を活用してのコンテンツ作り

  • AI技術を活用しての外国人向け詩吟コンテンツ作り

  • インバウンド需要を活かした外国人観光客向けの詩吟体験講座

弱み×機会 : 弱みを補強・克服して機会を活かす

  • パソコン操作が苦手な人向けにわかりやすい操作マニュアルを充実させる

  • 優先度の・やらないことを決めて、少ない時間でも活動できる習慣作り

  • 匿名性による信頼低下を補うための継続的発信活動とオフライン活動の充実

強み×脅威 : 強みを生かして脅威を回避する

  • 身バレしても怯まない実績の積み上げと覚悟。

  • 多様な興味関心に埋もれないように、ペルソナをピンポイントで狙い撃つ「ピンホールマーケティング」の実践

  • 家族から信頼を失わないように、日々の生活においてやるべきことをやる(家族との時間の確保、記念日を大切にする、料理がんばる!!)

弱み×脅威 : 対処して影響を小さくする

  • 時間を無理やり作ったり、体調不良を増やしたりして、家族に負担がいってしまうことを避けるために、体力作り・睡眠時間確保・家族とのバランス・時短家電の導入・外注化などを実践する

  • 自分より実力もセンスもある人が台頭した場合は、競合ではなく共同する立場となって、詩吟業界を一緒に盛り上げていく


SWOT分析がこれで合っているのか分かりませんが、とはいえ自分がガンガン頑張るべきポイント、守りとして押さえておくべきポイントが見えてきました。

脅威についてあまり書けていないのがちょっと気にかかりますが、とりあえずはこんな感じで。

今まで使ったことのない頭の使い方だったので結構疲れましたが、トータルで2~3時間くらい。いい勉強になりました!

定期的にこのnoteを見返して、活動の軸を思い出したり、swot分析で見えたことを実践していこうと思います!!


長々と最後まで読んでくださり、ありがとうございましたー!
「吟猫」二期目、がんばりますー!!



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