あみやき亭による決算早期化(4月2日9時開示)の凄さについて解説したい
あっという間に春ですね・・・。
世の中としては待ちに待った、球春到来ですね。
そして、それは3月決算の企業の皆様、監査法人の皆様にとって、繁忙期に突入していくことを表すのだと思います。
休日出勤やGW中に出勤をされる方もいらっしゃるのかもしれません。
そんな中、同じく3月決算会社である、あみやき亭が、4月2日朝9時ジャストに決算発表をしていました。
こちらの凄さについて、少し解説してみたいと思います。
あみやき亭が決算短信を発表するまでの流れについて
まず、あみやき亭が決算短信を発表するまでの流れについて、把握しておきましょう。
こちらは、あみやき亭のコーポレート・ガバナンス報告書に記載されています。
すなわち、あみやき亭では、決算短信を開示するには、経理部が連結決算をとりまとめ、決算短信を作成し、情報取扱担当者である経理部長、情報取扱責任者である管理本部長に報告され、取締役会の承認決議を経ることが必要なわけです。
さらに、東証の有価証券上場規程を確認してみましょう。
(決算短信等)404条1項、(会社情報の当取引所への説明)413条
この二つの条文がとても重要です。
実務上、413条に定める会社情報の東証への説明は、10日~数日程度前に実施されていることが多いと思いますが、
あみやき亭の決算発表については、4月1日しかタイミングがないため、自然と4月1日の夕方頃には、413条の東証担当官への説明を実施されているのではないか、と推察します。
これらの手続を終え、あみやき亭では、4月2日の遅くとも朝8時頃までに、取締役会の承認決議を経た上で、TDNETに決算短信をアップし、東証担当官による確認を得たうえで、4月2日の9時ジャストにリリースできているのではないか、と思います。
なぜ、決算を早期化できるのか考えてみた
思いつく限り、9項目くらいあるのではないか、と思ってます。
①決算早期発表を重視する経営陣の明確な考え
②決算早期発表に対応できる優秀な経理部
③開示書類の金額を百万円単位にしている
④決算早期化に対応できるシステム設計
⑤利用している開示システムに対する正しい理解
⑥重要性の原則の上手な活用
⑦事前相談含む、監査法人とのコミュニケーションが良好
⑧完璧な事前準備
⑨やり切る気持ち、あきらめない気持ち
上記について書き始めると長文になるので、いつか別記事にまとめます。
最後に・・・
日本の3月決算開示は、GW明けの5月10日や15日に大きく偏っているようです。
ここで、もう一度東証の有価証券上場規程を確認してみましょう。
第2節 会社情報の適時開示等
日本の3月決算開示が、5月10日や15日に集中するという話ですが、本当に適時に(東証の有価証券上場規程404条1項でいうところの「直ちに」)開示できていると言えるのでしょうか。
もしかすると、間違った決算開示をしてしまうことが不安なので、監査法人に数字を見てもらってから(場合によっては会社法監査報告書を入手してから)開示したい、という話なのかもしれません。
しかしながら、それは、東証開示規則の定めや、決算早期開示によって得られる投資家保護の趣旨とは逸脱した話になってしまいます。
また、決算早期開示に努めている会社が、仮に重要でない箇所について、後日、開示を修正することがあったとしても、それに対して周りがシャーデンフロイデのような気持ちを抱くことはあってはならないと思います。
決算早期開示に努めている会社には、素直にリスペクトすることが大事だと思います。
これからも、あみやき亭の決算早期化への取り組みや姿勢に、積極的に学んでいきたいですね。
最後になりますが、3月決算企業の経理の皆様、監査法人の皆様は、これからお忙しい時期が続くと思いますので、どうかご自愛ください。
上記の記事、少しでも参考になりましたら、望外の喜びでございます。
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