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「魅せる」はもはや普通に使われているからいいのかな?

先日、ある記事を校閲していたら、「魅せる工夫も必要です」なる表現が目にとまり悩んでしまいました。

「魅せる」はスポーツ・芸能ニュースの見出しや、書籍のタイトルにも普通に使われている表現ですが、実はこのような動詞はありません。

えええええっ!?

と驚かれるかもしれません。実際、使われてますからね。

魅せる!現場 ~現場を支える人々編~

出典:魅せる!現場 ~現場を支える人々編~|現場見学・出前講座|国土交通省近畿地方整備局

『耳をすませば』清野菜名&松坂桃李が魅せる実写映画の最新情報が解禁

出典:『耳をすませば』清野菜名&松坂桃李が魅せる実写映画の最新情報が解禁(アニメージュプラス) - Yahoo!ニュース

鈴木は4打数1安打1盗塁 脚力で魅せる

出典:鈴木は4打数1安打1盗塁 脚力で魅せる - 産経ニュース

と、きりがないのでこの辺りで止めておきますが、もはや「魅せる」が使われるのは日常茶飯事です。

ところが、驚きの事実かも知れませんが、日本語に「魅せる」はありません。「魅了する」と「見せる」を合成したか、「魅力的に見せる」を短縮して「魅せる」という表記が生まれたのでしょう。

さらに驚いたことには、ATOKでも「みせる」と入力すれば「魅せる」と変換されることです。

ところが「魅」の動詞は「魅する」なのです。文法的には「他動詞サ行変格活用」で、以下の様に活用します。

み・する【魅する】 他動詞サ行変格活用
形式名 活用形 下接語例
未然形 み・し {ない}
    み・せ
    み・さ
連用形 み・し {ます/た}
終止形 み・する {。}
連体形 み・する {とき}
仮定形 み・すれ {ば}
命令形 み・しろ {。}
    み・せよ

出典:み・する【魅する】 他動詞サ行変格活用 - 広辞苑無料検索 学研国語大辞典

しかし、もはや「魅せる」は市民権を得ていて、「他動詞下一段活用[サ行]」と考えた方が良いのかもしれません。

すなわち(正しくはありませんが)、以下の様に使われるようなったのだと。

形式名 活用形 下接語例
未然形 み・せ {ない}
連用形 み・せ {ます/た}
終止形 み・せる {。}
連体形 み・せる {とき}
仮定形 み・せれ {ば}
命令形 み・せろ {。}
    み・せよ

結局、私は赤字を入れませんでしたが、皆さんはどう思われますか?

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