「健康」と「家族」を大切にするネアカな中国滞在記(上海編)

この3連休を利用して中国の上海に行ってきました。旅の簡単なレポートをnoteにアップします。

中国は、日本にとって、アメリカと並ぶ最も重要な国の一つだと思います。日本の大学で働く自分にとっては、訪日留学生の約4割を占める国として特別な意味も持っています。

レポートでは、特定の企業・団体・個人に関することはほぼ省略しています。通訳をしてもらった呉さんに迷惑がかかるといけないので。

異国を旅する最も大きな効果は、その国との心理的距離が近くなることだと思います。今回も中国(人)との距離が一気に縮まりました。ディナーは大学の学食だったりして、バケーションだったら物足りないと感じますが、今回の目的に合ったとても価値ある時間でした。

快く送り出してくれた妻には感謝です。本当に。

■旅の概要
日程:2019年1月11日から14日(3泊4日)
行き:成田発⇒上海着
帰り:上海発⇒成田着
宿:NEW WORLD SHANGHAI HOTEL
費用:総額 8.8万円
 (内訳)
 飛行機 往復 1万円
 (ANAマイレージ17000ポイントで往復チケットを確保。1万円は空港使用料などの諸経費が別途必要だったため)
 ホテル 3泊 3万円
 通訳ガイド料 2日間 1.8万円
 食費・各種入場料ほか 3万円

■主な行程
(1日目)自宅⇒成田空港⇒上海浦東国際空港⇒昼食⇒ホテルチェックイン⇒ホテル周辺散策&夕飯⇒就寝
(2日目)朝食⇒ホテルロビーで通訳さんと待ち合わせ⇒中山公園⇒本屋⇒昼食⇒外灘⇒ギャラリー⇒東方明珠塔⇒上海城市歴史発展陳列館⇒復旦大学⇒復旦大学の学食で夕飯⇒新天地⇒ナイトカルチャー体験(JAZZ BAR等)⇒ホテル⇒就寝
(3日目)朝食⇒ホテルのロビーで通訳さんと待ち合わせ⇒豫園⇒法蔵講寺(天台宗系の寺院)⇒田子坊⇒昼食⇒人民公園⇒人民広場⇒デパート⇒スーパー⇒ホテル⇒就寝
(4日目)朝食⇒中山公園を散歩⇒旅のメモ⇒チェックアウト⇒上海浦東国際空港⇒昼食⇒成田空港⇒自宅

■通訳ガイドについて
通訳ガイドを引き受けてくれた呉さんは上海の隣の蘇州在住。中国の大学と大学院で日本語を修了しており、立教大学大学院に4か月間の留学経験がある。蘇州でビジネスする日系企業(超大手メーカー)で約2年通訳・翻訳として働いた経験があり、2日間で約18時間通訳とガイドをしてもらった。呉さんの話からは多くの学びがあり、依頼してよかった。とても高い価値を感じた。

呉さんは、テクノロジーの進歩によって通訳という仕事は将来なくなると思うと言っていた。僕は「通訳」はなくなっても政治・経済・文化・歴史などを紹介する「ガイド」という職業はそう簡単にはなくならないだろうと思った。少なくとも通訳という職業よりはずっと長く生き延びるに違いない。

呉さん、もしこのnoteを見ていたら、心からありがとう!

■旅のメモ(抜粋)
-飲食店では想像していた以上に英語が通じない
-お酒は特別な時以外は飲まない人が多い。コーヒーよりお茶
-中国人は健康大好き
-広場ダンスが大流行。広場があれば、ダンスあり。土曜日の午前中に中山公園で自分は見たが、夕飯食べた後19時とかにも中国全土でやっているらしい
-中山公園では年齢で輪切りにされた2グループが陽気にダンスしていた
-4日間を振り返り、全体的に中国人はネアカな印象がした
-中国人は家族を超大事にしている。幸福は親孝行
-夢は家族みんなで住める広い家を所有すること
-中国人は自分の家族が一番大事。家族が第一で、そのための周りの人に嫌われても構わない
-中国国内ではフェイスブック、LINE、Twitter、インスタグラム、gmail、メッセンジャー、google、wikipediaなどは使えない
-人民公園がお見合いの場と化していた。数百人の、主に結婚適齢期の娘を持つ親が、結婚相手を探していた。娘の学歴・所得が上昇し、それに見合う結婚相手が見つかりづらくなっている。中国人は結婚に熱心らしい←家族を大事にする文化が影響?
-中国の若者は独身であればルームシェアしていることが多い。呉さんも大学院時代の友人(南京大学で日本語教師をしている)とルームシェア
-中国は政府の権力が大きい。極めて優秀な人材を必要とする。政府に入った優秀な人材が、腐敗せず、正しい仕事を行うかどうか。国の繁栄はこれにかかっている
-中国に比べれば、日本は民間の力が大きい。中国寄りは民間に優秀な人材が集まる傾向
-山本「日本の若い人たちは「幸福」とはなにか、分からなくなってしまっているように思う。中国の若者たちは、何を幸福と考えている?」⇒呉さん「家を買うことと親孝行。家は家族みんなが住む家。親も一緒に。あとは親を旅行に連れて行きたい」
-経済が急速度で成長した。その結果、若者たちの価値観やライフスタイルは彼らの親世代のそれとは大きく変わりつつある。まず住んでいる家が違う。木造の古民家⇒マンション
-中国は一人っ子政策の影響で既に人口減少中。今は一人っ子政策はやっていないが、出生率はあまり上がっていないとのこと。一方で、大学の数は増やしているので、大学に入りやすくなった。今では約8割が大学進学する。共産主義国なので、ほとんどの大学が国立大学。多くの学生は寮で生活している。学費は年10万円程度
-上海に唯一ある天台宗系のお寺に行く。1月13日は旧暦で12月8日。8の付く日ということでおかゆが無料で配られていた。ありがたくいただく
-「家族を大切にする価値観」と共産主義は相性がいいのかもしれないと思った。家族はある意味で"共産"主義だから
-復旦大学は、上海No.1の国立大学。中国のTOP10に入る。とにかくキャンパスが大きかった。メインの建物は10年位前に建て替えたのか高層ビルだった
-ベトナム人は中国人が嫌い。(歴史的にそりゃそうだ)

<日本について>
-日本製品は人気がある。ただ、中国国内で買うには日本で売っている以上のお金を払う必要がある(輸入品の物価は日本の2~3倍。例えば日本で1000円のオーストラリア産ワインが中国では3000円以上。メイドインジャパンも輸入品だと同じくらい)
-日系企業はすきや、吉野家、ローソン、ファミリーマート、サイゼリヤ、ニトリ、ユニクロなどを上海市内ではよく見かける
-世界の人口の1/4を占める巨大な国内市場。しかも、まだ物が行き渡っていない。また、中国沿岸部の人たち=裕福な人たちはメイド・イン・チャイナに満足していない
-日本のアニメはテレビで放送されていて人気がある。スラムダンク、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん、一休さん、ドラえもん
-日本の東大生が毎年南京大学にやってくる。日本人の観察力にびっくりした。本屋で立ち読みしている人の「姿勢」まで見ていた。中国人は普通気付かない
-本屋に行った。東野圭吾が人気。中国人はミステリーが好き。ただ、ミステリーを書くのは苦手。だから翻訳。他に夏目漱石、太宰治、芥川龍之介、渡辺淳一、村上春樹などの本が平積みされていた。ちなみに太宰治は中国人には暗すぎるらしい。日本の小説はかなり翻訳されているとのこと。また「サピエンス全史」「ホモデウス」が日本と同様にベストセラーに
-明るく、率直で、健康大好きで、家族を優先する中国人。一方で、中国人に比べれば暗く、ハイコンテクストで、お酒好きで、世間を優先する日本人といったところだろうか。日本はどちらかというと「中国ではアウトサイダーな人たち」に愛される国?
-日本に来ている中国人留学生は、経済的に豊かで国際感覚ある大人に育つために日本に留学しているか、中国の有名大学に入れなかったか、日本が好きか、日本と何かしらの縁があった人たち。中国の学費と比べると、日本の大学の学費はとても高い

■これから上海に行く方へ
もし4泊以上できるなら、1日目と2日目は上海、3日目は蘇州、4日目は南京、5日目に帰国というスケジュールがおすすめ。上海は中国の中で特別な都市なので、蘇州と南京にも行くと、中国という国に対する理解が深まると思うから。

それから、もし可能なら、通訳ガイドをぜひ。日本人が一人で、または日本人だけで旅するよりも中国に対する理解が深まるから。僕は駅でオジイサンに話しかけられて、通訳さんに話の内容を確認したら「電車に乗りたいがお金が足りないので、1元(約17円)くれないか」という話だったりした。丸2日も異国をウロウロしていれば想像できないことが起きない方がおかしいわけで、通訳ガイドさんがいなければ、起きていることに気付かないまま終わってしまうことも多い。(少なくとも僕はそう。)

通訳ガイドは旅の魅力を引き出してくれる心強い味方なので、特に非英語圏の国に初めて行く時は1日か2日手配すると良いと思う。初めて中国に行く際はぜひ通訳ガイドを。(韓国・台湾より英語は通じないので。中国政府から広告費をもらっているわけではありません。)

■次の旅行地
年始に立て目標通り次はベトナムに行きたい。(そんな目標を立てたのです。)ベトナムは訪日留学生の出身国では第2位であり、親日国でもあるらしいので、やはりベトナムかなと。

それにしても、アジアはこれで韓国(7日間)、中国(4日間)、台湾(5日間)、フィリピン(14日間)、タイ(5日間)に行ったわけだけど、その中で中国、いや上海の経済発展と人の多さは突出していたなと思う。日本はまだしばらくアジア経済圏では存在感があるのだろうけれど、やがては上海、深圳、香港といった中国南部の勢いに押されていくのでは?そして、日本がこれから政治・経済・文化・教育すべての面でうまくいった場合の話だけど(そうなる可能性は残念ながら今のところ高いとは決していえない)、日本はヨーロッパにおける北欧のようなポジションになっていくのではないだろうか?小さいけれど、経済的に豊かで、教育レベルは高く、環境的にクリーンで、美しい景色に恵まれた国。そう考えると、近い将来北欧にも行ってみたい。うーん、時間が足りない。

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