Me before You (邦題:世界一キライなあなたに) を観たよ

Ed Sheeran の Photograph という曲が劇中歌として使われているということで、遅ればせながらAmazon Primeで観ました。
相当前評判が良かったので、非常に期待感が高かったです。しかし予想をいい意味で上回ってきました。

ざっくりあらすじと紹介

カテゴライズは恐らくラブ・ロマンス、ただ扱うテーマは「身体障害」「安楽死」と重めです。イギリスのとある田舎町で貧困に苦しみながらも職を探す若い女の子(ルイーザ)が、交通事故で首から下が麻痺するまでエリート街道まっしぐらだった男(ウィル)の介護の仕事に斡旋される所から物語がスタートします。
主演の女の子はエミリア・クラークで、めちゃくちゃバタ臭い感あるんですがめっちゃ可愛いんですわ。。世の女性があのファッションやると浮き浮きの浮きですね。さすが大女優。
そんなこんなで介護の仕事に斡旋されたルイーザですが、ウィルは過去の自分と今の自分とで相当ギャップを感じておりかなりトゲトゲしてます。周りの誰もが自分を傷つけようとしている、みたいな態度を取ります。ルイーザは周りに愚痴りながらも家のためになんとか仕事を続けます。。ってとこから物語が進展していきます。
あらすじを面白く見せるように書く人ってなんなの、、凄過ぎ。

以下は詳細な私の感想になります。備忘録なので大してまとまった内容ではないですが、これ以降はネタバレになるのでご注意を…

以下、ネタバレ注意

この映画の構成自体は、とてもシンプルだと思いました。ただひたすら「死にたい男を徐々に好きになってしまう女」と「死にたいのに女を幸せにしたい・一緒にいたいと思ってしまう男」の対比を描いていく物語です。ウィルの死、という観点で二人の意見がかち合う事はありません。
裏表や難しい設定なく、序盤から徐々に結ばれていくルイーザとウィルの絆を描いていき、要所要所で思い出を出してくるところは演出がうまいなと思いました。「黄色と黒のタイツ」や「楽しい話してよ、の時の歌の場面」など、後者は涙腺崩壊しました。
演出の対比もわかりやすいのが印象的でしたね。旅先のベッドでのキスシーンは嵐で暴風、最後のベットでのキスシーンは穏やかな天気の中、二人の気持ちのまとまり様をうまく表しているのかなーとか思ったり。
途中でもやっとするとかもなく、かなり気持ちよく見れたなーという感じでした。

ウィルの意思は変わらない

この映画の最大のポイントですよね。。ウィルの立場に立とうとしても立てるものではないですが、すごい苦悩を抱えてると思います。恐らく今までエリート街道・モテ街道まっしぐらだった男が、事故によって彼女を同僚に寝取られ、毎朝起きるたびに昔の自分とのギャップに苦しみ、愛する女性もできてしまった。しかも、その愛する女性は自分に惚れてるわけです。いや、私も思いましたよ。首から下が動かないという事は、抱けないって事だよな、、多分、、、と。ルイーザがどれだけ足掻こうと、それは生きる理由にたりえなかったわけです。ルイーザとの将来を想像した時に、どうしても絶望の方が勝ってしまうのでしょう。「一瞬でも後悔するところを見たくない」とウィルも言ってました。
実際、それは旅行デートの時にウィルから発せられるわけです。でもあのままウィルが事故らなければルイーザと交わることもなかったと。いたたまれな過ぎるな、、と。
ウィルはできる男が故、愛する女性を満足させられないことや介護される自分という過去とのギャップを人一倍強く抱えてしまう。最初からそうでしたが難しい男ですよね…
最後の手紙では、「僕に囚われないでほしい」「自由を買って欲しい」「君の中にいるから」というようなことを言っていて、死んだら自分が愛する事はできないという矛盾に苦悩した文脈が見えてまた泣けてきました。。

ルイーザの成長

これもこの映画のテーマの一つでしょう。
田舎臭くてファッションセンスもあれだけどルックスめっちゃよくて、世の中のことをあんまり知らないけど色々一生懸命でお喋りで謙虚で6年付き合い続ける彼氏がいるほど純粋で、、、元々魅力たくさんのルイーザでしたが、ウィルと関わり始めてからはいっぱい悩みながら成長しつつ、ウィルのことを好きになってしまいます。
まぁパトリックからすれば普通に浮気で、相当可哀想だと思いましたが、その辺はこの映画ではあまり触れられる部分ではありませんでしたね。
ウィルの安楽死を受け入れられず奮闘する様は本当に愛らしいし、途中から介護士の職の枠を超えてしまうあたり、ウィルに対する想いの強さを感じさせましたね。パトリックはもしかしたらこの想いの強さを引き立てるための当て馬だったのかもしれません。
最後は、ウィルの想いを受け入れて一緒にスイスでの最期を見届けることを決めたことも印象的でした。あれだけ手を尽くして、それでも死ぬことを選ばれてしまった無力感は相当だと思います。。最期を見届けるシーンは本当に涙腺崩壊しました。あそこで思い出の歌はずるい。

安楽死について

ディグニタスという団体が作中で出てきましたが、自殺幇助団体の一つらしいですね…自殺の合法化、というところはずっと議論が重ねられているところですが、踏み切るのは難しいのかなとも思います、、「人権」をとるのであれば死ぬ権利は各個人に帰するという解釈もできますが、自殺もある種の殺人ですし、合法化することで安易に「安楽死」の選択が取れるようになってしまうのも問題だと思います。色々と記事を見ている限りでは、作中のウィルの状況では安楽死の許可が自殺幇助団体から降りる事はなさそうですが、よっぽどの事情と覚悟があるのであれば場所を問わず認められる制度があってもいいのかなーと思います。(そこの線引きが難しい、という事なんでしょうが、、)色々と考えさせられました…

まとめ

だらだらと書き連ねましたが、久々にいい映画と巡り合えたので勢い余って2400字も書いてしまいました。キャラクターも魅力的ですし、物語もシンプルでしっかり感情を揺さぶってくるので良い映画でした!

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