今時は家で死ぬもはなかなか大変なのだ。

『在宅医療にかかるお金は、大別すると、医療保険が適用になる「医療費」(診察、看護等+お薬代)と介護保険が適用になる「介護費」に大別できる。前掲のやまと診療所で、在宅医療のモデルケース(75歳以上、医療・介護ともに自己負担1割)で試算してもらったところ、定期訪問の場合(*1)で月額1万円程度、看取り間近の場合(*2)でも月額約1万9,000円となった。夜間の往診などを加味しても、看取り期でも月額2~3万円程度で最後を迎えられる。もちろん、これに加えて、要介護度やプランの内容に応じた介護サービスの費用が上乗せされるが、在宅医療に関する部分は、要介護度によって金額が大きく変わるわけではない。~病院の緩和ケア病棟などに入院した場合と比較するとどうだろうか?自宅(在宅医療)の場合、在宅医や訪問看護師などに支払う医療費が中心となるが、定期訪問時はそれほど変わらない。ただ、容態が急変すると、往診料、夜間や深夜、休日などの割り増し料金が発生し、費用は変動する。一方、病院(入院)の場合、食事代や病衣なども含めて、毎日同じ費用が一律でかかってくる。日本医師会の「後期高齢者の死亡前入院医療費の調査・分析(2007年)」によると、終末期(死亡30日以内)の1日当たりの入院医療費単価は、平均約3.18万円となっている。後期高齢者の入院医療費単価(死亡以外の退院も含む)は平均2.15万円で、これと比較すると、1.48倍と割高。しかし、一般的に言われるように、「亡くなる直前の医療費は何百万もかかる」というわけではないらしい。とはいえ、個室を選べば差額ベッド代はかかるし、食べる・食べないに関わらず食事代の一部は徴収される。病院指定の病衣やおむつ代など、雑費の費用も意外にかかってくる。その点では、在宅医療の自由度や節約の幅は広いと言える。また、同じ病院でも通院する場合、医療費は在宅医療よりも割安だ。しかし、高齢になると通院にかかる負担やストレスも大きい。遠方であれば、車のガソリン代やタクシー代などの交通費、家族が付き添っていけない場合のヘルパー等の費用などがかかることを考えておきたい。費用についてのおおまかなイメージとしては、入院するより安いが外来で通院するより高いといったところだろうか。~そして、費用負担がそれほど大きくなくても、在宅医療の期間がどれくらい続くかも大きな問題だ。とくに、在宅看護・在宅介護を担う家族にとっては、長期化すれば身体的な負担も増す。最後の看取りまでの期間は、疾病や年齢によって変わる。~とにかく、死は、だれにでも平等に訪れるものだが、どのように死ぬかは、平等ではないようだ。病院に入院あるいは通院、在宅医療のいずれかを選ぶかは、本人の希望だけでなく、在宅医療の環境の有無、家族の協力などをよく考える必要がある。12月16日から、東京消防庁では、心肺蘇生を望まない終末期患者等を救急搬送する際に、本人と家族の同意など一定の条件を満たせば、蘇生や病院への搬送を中止できる新たなルールの運用を始める。人生の最後をどこでどう迎えるか、それぞれが向き合っておく必要性がありそうだ。』

思い起こせば介護保険が始まる前までは入院する程の病気ではない老人が家で死ぬのは普通だった気がする。制度を作っても利用するのに手続きが煩雑だと「使えない制度」となってしまう。やはり数が多いと致し方ないのだろう。今時は家で死ぬもはなかなか大変なのだ。

「死ぬ場所」がない…! 日本全国で「看取り難民」47万人の衝撃度
看取りたい家族が知っておくべきこと
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68570

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