持病がある社員がテレワークを気軽にできる文化に成ってほしいものだ。

『政府が働き方改革を推し進める以前から、ビジネスの現場に「定時までに出社する意義」を疑問視する声はあった。しかし現実として、どうしても出勤が必要な職種以外にも、定時に出社せざるを得ない風潮は根強く残っている。その風潮の悪影響は、都市部では「通勤ラッシュ」という形で顕在化している。また、都市部と地方に共通するのが「生活と定時稼働を両立できる仕事がない」という問題だ。さまざまな事情でライフステージが変化し、企業の定める「定時」内の在席が難しくなったとき、最悪の場合は仕事を続けられなくなってしまう。ブイキューブ社長の間下直晃氏はこのような状況に対して「価値を生み出している従業員が働くことを諦めてしまうのは、企業にとっても損失だ」と語る。「自社のナレッジがたまった人材が離職を余儀なくされるのは、もったいないでしょう。今の時代、人材は貴重です。意味のない拘束を無くす、無駄な移動を減らす……そういった『無理をしない』施策を企業がとるだけで、従業員は働くことを諦めずに済みます。企業も採用や教育のコストを何度も払わなくて済むし、個人は負担が減ったぶん、仕事を頑張れる。それが生産性の向上につながります」(同氏)経営者にとっての働き方改革は、人材一人一人の生産性を上げ、企業の生み出す価値を向上させることにあるというわけだ。~間下氏によれば、テレワークの目的は、人材の組織的な階層によって異なる。従業員層にとってのテレワークは、通勤の負担を減らし、業務の生産性を向上させる手段。一方で経営層にとっては、「そこにいる」という状態を実現させるための手段なのだという。「例えば、企業の代表者や組織の責任者が『あいさつに伺います』という状況は、『その人がその場にいること』が価値となる場合です。トップやマネジメント層にとってのテレワークは、いるべきところにいるようにするための手段です。自分がその場にいなくても動く業務にテレワークで対応すれば、自分はどこにでもいられるようになります」(同氏)間下氏は、1日5時間以上はオンライン状態で、さまざま国にいる相手とコミュニケーションをとっている。同氏は自身の働き方について「そのほうが生産的でしょう」と語り、例として世界経済フォーラムがスイスのジュネーブで開催する年次総会、通称「ダボス会議」を挙げた。「大臣クラスの人たちは『そこにいるから何かが動く』という存在です。日本の閣僚がダボス会議に出られないのは、日程が国会に重なるため。それは国益にかなっていません。国会の日程をずらして出席したケースもありますが、それもおかしいでしょう。『ダボスからWeb会議で国会答弁に参加する』など、もっと良い方法は、他にもあるはずです」(間下氏)~ただし、当時は昔ながらの営業スタイルを重んじる風潮は根強く、社内の反対意見も強かったという。そのため、当初は週に1日のみをテレワークデイとした。そのとき間下氏が重視したのは「トップが実行すること」だった。「テレワークが『異端児のやるもの』になってしまっては、定着しません。だから、まずはトップが実行しないと。いくら『テレワークしていいよ』と言われても、偉い人が皆会社に来ていたら、まあ出社しますよね。文化がなければ意味がない。文化は、トップが作るものです」(間下氏)間下氏は同時に、評価制度の策定にも着手した。「目の前にいて、何か仕事していそうな部下を評価するのではなくて、仕事の目的や進捗を見て評価していく。『出社して頑張っていますアピール』をしなくてもきちんと評価されれば、皆、自由に頑張れるんですよね」(同氏)という。ブイキューブがテレワーク制度を策定したのは、2010年。その1年後に、東日本大震災が起きた。震災直後の月曜日に出勤ルートがパンクしたことは記者の記憶にも新しい。「あの頃分かったのが、『普段からやっていれば何かあった時に困らない』ということでした。週1回のテレワークが定着していたのでそのまま1週間テレワークもできたのです」(間下氏)。同社はそれをきっかけに、2011年から社員が常にテレワークできる方向へかじを切った。その後ブイキューブは、2017年に完全無制限テレワーク制度「orangeワークスタイル」を開始。現在、社員は6~21時の間、どの時間にどの場所で稼働しても良い。コアタイムもなく、個人の事情に合わせて時間を調整しながら、自由に働ける。「昔は台風が近づくと、早く帰宅できるよう通知を出したりもしていましたが、最近は通知する必要も無いですね。天気が悪い日の朝なんか、誰も来ませんよ(笑)」(間下氏)多くの企業には、PCやインターネット環境があっても、テレワークは定着していない。従業員が悪天候や体調不良を押して疲労困憊(こんぱい)で出勤する会社と、「今日は雨だから家で仕事しよう」と当たり前のように決められる会社の違いはどこにあるのだろうか。間下氏はそんな疑問に対し「テレワークをきちんと回すには、『文化』『制度』『ツール』『場所』の4つが整っていなければなりません。どれが欠けてもおかしなことになります」と語る。ある企業では、テレワーク中の従業員の姿をカメラで撮影している。間下氏は「ツールだけあって、制度がない状態です。成果を評価できない不安から、おかしな監視をすることになる」と話す。結果が出なかったら、働いていても働いていなくても変わらないのですけれどね」(同氏)と、同氏の意見は辛辣(しんらつ)だ。また、テレワークを導入している企業に多いのが「テレワーカーは二次戦力扱い」という風潮だ。テレワークを選択するとどうしても指示待ちが増え、自発的な稼働が難しくなってしまう。その課題に対しても「評価制度と、文化がないのでしょう。テレワーカーが一次戦力として動ける仕組みが出来上がっていなければ、二次戦力にならざるを得なくなります」と述べる。~完全なテレワークを実現できている企業が少ない現状について、間下氏は「おそらく文化形成ができていないのではないでしょうか。トップが『やるぞ』と決めて、トップ自身がテレワークを始める。それでもちゃんと評価される制度が回っていれば、テレワークを怖がる必要もありません」という。「もちろん、社員同士が対面で話せるならそれが一番です。でも、本人の都合が一番です。来ることが全てに優先されるわけではありません。会えないことで抜けがちなコミュニケーションは、意識してとっていく必要があります。だから、テレワークをする理由がない時は、オフィスに来てほしいとは思っている」と、間下氏は語る。そのためブイキューブは「来たくなるオフィス」をコンセプトにしているという。』

ホワイトカラーの仕事はテレワーク向きなのに文化・制度・ツール・場所の4つの秘訣でツールと場所はそれ程難しい条件ではないのだが、結局、文化と制度が伴わないので中途半端な状況なのだろう。私の様に持病がある社員がテレワークを気軽にできる文化に成ってほしいものだ。

時間も場所も無制限の完全テレワークを実現 経営者の決断と「4つの秘訣」
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1912/16/news108.html

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