性別問わず他人と社会を作っているヒトビトにとって「報酬系」のコントロールは永遠の課題だ。このブレーキが壊れたと感じた場合は病と思い患者としての治療を受けた方が最悪の事態を回避できると思う。

『生得的な、つまり生まれたままの状態で報酬と感じるものには、食物や、異性との交配がある。自分を生存させるため、あるいは自らの遺伝子を残していくためには、これらの刺激を報酬と感じなくてはならない。つまり、「基本欲求」と呼ばれるものである。言い方を変えれば、こうしたものを報酬ととらえる機能を備えた生物が、進化的に生き残ってきた。しかし、私たちはそうした基本的なもの意外にも、幅広いものを報酬と感じるように学習するシステムをもっている。生活環境にあわせて、動物やヒトは、あらゆるものを報酬としていくことができる。つまり、報酬系とはきわめて学習能力の高い、書き換え可能なシステムなのだ。このシステムを使えば、痛みでさえも報酬ととらえるようにすることが可能となる。~一つは「不確実性」。過去のデータなどに基づいて未来の事象を予測するリスクとは異なり、発生確率が不明で計算することができないこの概念が、報酬の感じ方に大きく寄与する。動物やヒトは、確実に得られると決まっている報酬に対しては、それが実際には大きなものであっても、報酬をあまり大きなものとは感じない。~もう一つの原則として、これも不確実性と関係することではあるが、脳が感じる報酬の大きさは、予想値(=期待値)と実際に得られた報酬との差によって測られるとされる。たとえば、30という報酬を予測していたとき、実際に得られた報酬が60であったら、その誤差30の報酬は、誤差10の報酬よりもドーパミン作動性ニューロンを強く興奮させる。このときに生まれるのが高揚感だ。ここでいう誤差は、「報酬予測誤差」と呼ばれる。脳(前頭前野)は報酬予測誤差を感知して、報酬を感じているということになる。』

私は初めての精通の時に「この快感はコントロールできないとヤバい事になるぞ!」とのある種の恐怖さえ感じた。その後、なんとか犯罪者に成らないで済んだのは克己心というブレーキを手に入れられた証拠だろう。性別問わず他人と社会を作っているヒトビトにとって「報酬系」のコントロールは永遠の課題だ。このブレーキが壊れたと感じた場合は病と思い患者としての治療を受けた方が最悪の事態を回避できると思う。

スマホにSNS──あの「やめられない病」を生む「報酬系」の秘密
人は「報酬」から逃れることはできない
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69752

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