見出し画像

2023.12.3発売、1stフルアルバム「シゲオリアン観測」全11曲。セルフライナーノーツ

Another Moonrise

曲のアイデアは数年前からあったけどこれはちょっと俺の音楽性(みんながシゲオリアンのイメージとして思ってる)とは離れてるかな?と思って使ってこなかった。ただ今回のアルバムは「今までとはちょっと違うよ」を見せようとも思っていたんで採用しました。歌詞、タイトルも今までとは違うよ?を表現しました。月って1つじゃん。それは当然のように誰もが知っているし、そうだと信じてる。でも、ひょっとして?本当にそうなの?ジャケットデザインともリンクした、まさにアルバム1曲目に相応しい出来になったんじゃないかな。タイトルが英語、歌詞にも英語を使っているあたりも、今までとは違うよね。今後こうなるとは限らないけど。ちなみにジャケット写真では「もう1つの月」をグリーンで表現しています。自分が撮った写真を合成しています。

俺をシビれさせろ!

ここ数年の俺の活動を知っている人なら間違いなく反応するタイトルですね(笑)。曲は2023年元日に作った。仮タイトルが「元日の190」でした。190はBPM(テンポ)です。俺の曲の中では一番速いかね。ちょっとこのアルバムを作っていく中でどんな方向性にするか迷いがある時期があって、これは方向性と違うという判断で入らない予定だった。でもアルバム曲が出来上がっていく中でアップテンポのものが少なくてちょっと落ち着いちゃったかな?とも思って。ロックテイストが足りないかなと。で、これを入れようと思い立ったんだけどその時点では歌詞がなくてね。歌詞はアルバム中一番最後に書いたことになるんだけど、やっぱりちょっと尖ったというか、毒のあるというか、針に毒塗ってるみたいなとこがないと俺らしくないかなと思って。ロックが好きになったその初期衝動ってやっぱりそういうとこかなと思ったので、信念を包み隠さず書きました。音楽に限らず何に対しても独自性を追求したくなるタイプで、何かに似ているということ、あからさまに何かを真似ることが猛烈に嫌いです。オリジナルが全てです。ドラムのAtsushiがこの曲をとても気に入ってくれてて、歌詞も刺さると言ってくれました。

情熱的に消滅の危機

これもかなり新しめの曲。というか曲はアルバムの中では最新ですね。最近のオシャレ路線というか、そこからもうちょっとファンクっぽい曲をやりたくて作りました。ドラムとベースの腕の見せ所というか、現メンバーのドラムAtsushiとベースいおっちの二人ならやれるだろうというイメージもあって。
曲の一番ラストの歌詞にこのタイトルが出てくるけど、曲を作った時にすでにこの言葉がメロディと一緒に自然に出てきた。リズムや語呂的にピッタリで。タイトルが先にあって歌詞を書こくことになったんだけど、内容はどうしようと悩みに悩んで不倫の歌にしました(笑)。ただ経験がないもんで芸能人の不倫スキャンダルとか、そんなのを思い出しながらですね。俺の場合は歌詞にオチをつけたくなっちゃうんで、最後には消滅というね。歌詞も全体的にリズムを出すことを心がけました。

リメンバーユー

曲のアイデア(頭のアルペジオとか、6/8拍子の捉え方を変えていくこととか)は実は20年以上前からありました。実際に何度か曲にしてみたりバンドで演奏もしたけどどうもしっくりこなくて。でもいつか良い曲にして発表したいと思って温めていた。ようやく形になったね。
歌詞は2023年のお盆の頃に書きました。僕はずっと死ぬのが嫌だなぁと思っていて。できれば永遠に生き続けたいと思っていたんだけど、2019年に祖父が亡くなったことをきっかけに考え方が変わりました。それは初めて身近な家族を亡くした経験だったんだけど、その時に「自分が死んでもおじいちゃんが待ってるじゃないか」と思えるようになった。死後の世界みたいな、そんなものがあるんじゃないかなと。そう思ったら死ぬことは怖くなくなったし(進んで死のうとは思いませんよ!)、祖父の死に対しても悲しい気持ちが和らぎました。だって空の向こうの世界で楽しく暮らしているんだから。タイトルは映画「リメンバーミー」のオマージュですね。内容的にもちょうどそんなことを描いたディズニー・ピクサーの映画です。大切な人を亡くしたことが心に澱んでいる人の、ちょっとした安らぎにでもなってくれたら嬉しいな。

ハコニワ

小学校に上がるか上がらないかの頃、日曜の朝はおじいちゃんと近所を散歩していました。そのルートに箱庭をたくさん展示しているところがあって。盆栽やさんか何かだったのかな?そこで箱庭を見るのが好きでした。小さなスペースに木を植えたり石を配置したり、川を流したり。
現代は病気や、性格や、様々な事情で周囲と打ち解けるのが難しかったり、生きづらいと感じる人が多いように思います。でも、無理に迎合しようとしなくても自分の好きな世界だけを見て生きてたって良いんじゃないかな。
これはすでに弾き語りで歌ってきた曲なんだけど、Bメロのコード進行がちょっと変わってて、いまだに自分でも間違えやすいんだよねぇ。サビのメロディもすごく気に入っています。

Noと言え!

この曲は2016年頃に「Notegram」というバンドで何度かやった曲です。なんかダセェなぁと思ってお蔵入りしていたんだけど、明るめのシンプルな曲が欲しかったし、今ならやれるんじゃないかと思ってこれを引っ張り出してきた。
学生時代に思い描いたような人生を送れる人なんてほんのひと握りで、多くの人が「こんなはずじゃなかった」と思ってるんじゃないかな。それを黙って受け入れて生きていく。でもやっぱり俺は努力や行いが大きく反映されると思ってます。良いことも悪いことも、今の自分があるのは自分の仕業なのだ。俺も音楽でバカ売れして「ロックスター」になるのが夢だった。中学の卒業文集でも、そう書いた。だけどそれは叶わず、音楽からも10年ほど離れていたんだけど。でも今からでも遅くないと思って再開したんです。ゼロからのスタート。もちろん、バカ売れなんてしないかもしれないけど、人生の中で遅いか早いかは問題ではなく「やったか、やらなかったか」が大事だと思ってます。死に際に後悔のないように、今の燻ってる自分に「No!」を突きつけてチャレンジしたっていいと思います。ただ、やっぱりオチを付けたくなるんだよなぁ(笑)。

人生18きっぷ

青春18きっぷというのがあります。JRが春、夏、冬に発行する、全国で使えるフリーパス。学生の休みに合わせているのだろうけど、年齢関係なく使えます。乗れるのは普通列車と快速列車のみなんだけど、安く遠くへ移動できるからこれを使ってここ数年、よく旅をしました。旅と言ってもグルメや観光というより列車での移動がメインで、車窓を眺めたり、知らない街で人々の暮らしぶりに触れるのが大好きなんです。そのことを歌詞にしようと考えたんだけど、この俺の列車旅ってまさに人生みたいだなと。それに気がついた。書いていることは旅の様子そのものなんだけど、まんま人生に当てはまりますよね。新たな出会いがあり別れがあり、トンネルのような暗い時期もあるけど抜ければ陽が差してくる。自分の曲に、自分が励まされるようです。曲はアメリカ西部のカントリーミュージック的な影響だと思います。アメリカのロードムービーみたいなイメージかな。歌詞と曲が見事にマッチしたと自画自賛しています。人生急ぐ旅じゃないんだから、のんびり楽しんで行きましょ!

坂道

先行でシングルとして配信をしていたテイクですが、アルバム用にリミックスしました。他の楽曲と並べた時に差がありすぎないように、ある程度合わせるためですね。もう弾き語りでもバンドでも代表曲の1つになったと思います。レコーディングに参加してくれたアルトサックスの佐々木義暢さんは高校ブラスバンドの先輩、ウッドベースの岸徹至くんはブラスの同級です。地元の懐かしい風景を歌っているので、懐かしいメンツであり、当時漠然と「いつか一緒にやってみたい」と思っていたメンバーでもある2人にお願いしました。キーボードはシゲオリアン流星群のYoshico(通称よっしーです)が弾いています。
坂道の多い街で生まれ育った僕は、坂のある風景が大好きです。実家も坂道の途中にあって、その風景とおじいちゃんの思い出を描いた曲です。実家で暮らしていた頃、まだ10代の頃は俺が出かけようとすると必ず花の水やりとか何かをするふりをして外へ出てきておじいちゃんが見送ってくれた。反抗期の俺はそれが鬱陶しくてね(笑)。でも今となってはその面影を思い浮かべる、実家の前の坂道の風景です。
皆さんも自分の生まれ育った街並み、家族のことを思い浮かべて聴いてみてください。きっと経験があるんじゃないかと思うけど、久しぶりに帰った故郷、実家。その周囲は古い建物が壊されたり、新しい住宅やビルが建ったり、お店が入れ替わったり。あれ、あそこ前は何だったっけ?って思うような変化を遂げていますよね。仕方のないことだけど、ちょっと寂しい。様々なことが変わりゆく中で、変わらない物を探してしまうし、自分はなるべく変わらずにいたいと思いますね。
ここまで並べてきて、おじいちゃんに関係する曲が3曲目ですね(笑)。俺の中の「オリジナリティ」も祖父譲りだと思うんでどれだけ影響を受けたことか。

砂上の楼閣

これも弾き語りライブでは何回か披露してきました。ゆったりしていて跳ねた16ビートにブラスのアレンジが効いてて、「メメシイヤツ」と似たタイプの曲ですね。
砂上の楼閣なんて言葉、知っててもあんまり使わないよね。ある人と話をしていてこの言葉が出た時に「これ歌詞に使おう!」とすぐに思った。「嘘」「社交辞令」「建前」は嫌いですということはよく歌詞の題材にします。それって裏があるんじゃない?自分を良く見せようと思ってない?と考えてしまうのが俺の捻くれたところなんだけど、そういう表面的なことで作り上げた人間関係は結局壊れやすい。もちろんビジネス上とか、世渡りを上手にするためにそういうことが必要な人、必要な場面があるだろうとは思うし、「お世辞」は「嘘」とは少し種類が違うのかもしれないけど、やっぱり俺は心にもないことは言えないのです。嘘は嘘だ。思ってもいないのに「カッコいいね〜!」「凄いね!」言えません。嘘言ってもしょうがないじゃん。この歌詞の皮肉タップリな言い回しが実に俺っぽいなと思います。

ソングフォーユー

これはすでに流星群のライブでもやってて、ここんとこライブのラストの方に演奏する曲になってきています。数少ない、リフのある曲って感じかな?シンプルな曲ですね。
音楽活動を楽しくやれているのは、今の自分があるのは、ライブに集まってくれたり応援してくれる人がいるからこそ。面と向かって感謝の気持ちを伝えるのはちょっと照れくさかったりするので歌にしてみました。

38万キロの彼方へ

ラストにふさわしい壮大な曲ですね。ライブでの再現がかなり難しい気がしています(笑)。後半の展開「そう来るか!」って感じじゃないでしょうか。とても気に入っている曲だし、これは先頭のAnother Moonriseとセットで、アルバムの最後の曲にしようと決めていました。終わり方の余韻もいいしね。アウトロのどんどん転調していくところなんかは結構画期的な展開じゃないでしょうか。
夕方に東の空から登ってきた月って異様に大きく見えるでしょ?でも、それを写真に撮るとあら不思議、見た目より小さいのです。実は月が大きく見えるのは人間の錯覚によるもので、様々な説はあれどメカニズムは完全には解明されていなのです。写真には現実が写っているから、思ったより小さいというわけ。その話から歌詞を展開していきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?