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私が小学校6年生だった時、弟は小学校1年生。不仲だった両親の葛藤に巻き込まれ、私と弟はい…
修哉の退院が、明日に迫っていた。 ソーシャルワーカーに確認すると、修哉の母親は、夫か…
職員食堂の窓から見える木々の緑が、いつの間にか色濃くなっていた。虚ろな啓介の心を置き去…
人捜しは素人には無理だと啓介が気づくのに、それほどの時間はかからなかった。ネットで「た…
姉の名前は、はる。 漢字はわからん。 たぶん、ひらがなの、はる。 たかしま、はる。 …
自室のベッドに寝転がり、啓介は天井の木目を見ている。身の置き場がない。いつにも増して、…
気が重い。 「相沢修哉の担当は、誰か他の人に代わってください」 啓介は、岡崎に直訴しようと何度も試みたが、結局言い出すことができなかった。 リハビリが開始されたのは、カンファレンスの翌日から。修哉は少し首を傾げて車椅子に座り、小野田看護師の介助でリハビリ室までやってきた。 「修哉君、彼ね、島田君。今日からリハビリを担当してもらうけんね。じゃ、島田君、よろしくね」 そう言って、小野田は素っ気なく病棟に戻った。 (ダメじゃ。心細い) 患者たちのクレームが、頭の中でひ
「よう降るのぉ」 病棟の薄暗い廊下で、背中越しに声が聞こえた。啓介は、ほんの少しだけ首…
やがて母は留守がちになり、家の中は荒れ果てた。はるが細々した家事や修哉の世話を担うよう…
日暮れに降り出した雨は、夜八時を過ぎても、街灯の仄暗い光の中に絶え間なく雨筋を浮かび上…