見出し画像

やめることと続けること

“デジタル法案”骨抜きに? 印鑑業界が反発https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/smp/news/post_172988/

このニュースを聴いて、IT分野で働いてるが故にペーパーレスを望む一方で、和モノ好きとしては伝統文化を残したいという相反する気持ちが複雑な気持ちを生み出していた。

先日、伝統的工芸品展WAZA2019に行き、半日以上かけて各店舗をまわり、美しい作品を見て現場で働く人の話を聞いてきた。

美しくて実用的な品が所狭しと並ぶ一方で、その作る手間隙から決して気軽に買えるものは多くなく、売る側の意見としてはその工夫と苦悩を耳にした。

IT化を進める自分としては、作業の効率化は大正義であり、日本の紙とハンコの文化が成長のブレーキの一員になっていることは疑いようがない。
システムを作る側の立場としてビジネスフローに紙が入ってくるのは大きな足枷であり、自動化を困難にしている。

逆に印鑑を作る側は、100円で買えるような世の中で、ペーパーレス化も進み、おそらくだが年々売上は減少していき、後継者も減りつつあるだろう。
昨年入籍した頃に嫁の印鑑を探していたとき、ちゃんと良いものを作っているところは、数千円で一生モノの良いものを提供していると謳っていた。
盤面も装飾もキレイで数千円くらい良いんじゃないかと思いつつ、やはり安いものと比較してしまうのが現実だった。

今後、印鑑業界の未来はどうなるか考えてみると、衰退の一途であることはほぼ間違い無いだろう。
日本がハンコ文化をビジネスに残したとしても、サイン文化の海外はどんどんシステム化するからだ。
ビジネスで遅れを取り始めたらムダなことは改善するしかない。

では、そうなる前提で生き残る道を探ってみる。
ほかの衰退しきった伝統はどうなったか?
例えば「書道」。

別に書道業界をディスりたいわけでもないし、むしろ好きなことをアピールしていたら、伝統工芸品の熊野の筆をいただいてメチャクチャ喜ぶくらい好きである。

今では筆を使うのは学校の授業かアートくらいしか使う場面がないが、かつては普及していた筆記用具である。
それが鉛筆や万年筆や変わり、今はボールペンなどが主流だがタブレットの普及により電子ペンシルも出てきている。
もはや筆の出番はない。

だがしかし、書道家の武田双雲氏は日本を代表するアーティストであり、世界で活躍している。
伝統を守りつつも新しいことに挑戦しているからだ。
海外での書道の評価はどうか?
よその国から見ればまだまだ浸透しておらず、興味深い日本の伝統文化のひとつである。
伝統工芸品である熊野の筆は、その柔らかい肌触りから、いまや化粧筆として世界的にも有名である。

こうして考えてみると、ビジネスの業界としては衰退するかもしれないが、アートとして、観光文化として、他の文化との融合をして、まだまだ生き残ることができるのである。

ただ、国としてハンコの文化を無くして効率化するだけでは、日本の文化を悪者にしてるみたいであまりにも心が無い。
せめてペーパーレス化とセットで、印鑑業界へ感謝の意を込めて、文化の再発信まで含めてペーパーレス化を進めるのはどうだろうか?

まあ、これは人任せなアイディアなので、自分でできることも考えてみる。

- 印鑑の再活用先を考えてみる
- 一生モノのハンコをつくる(可能ならば自分で彫る)
- ハンコアートを創る
- 稟議システム作りに携わることがもしあれば、電子印鑑も作る

ここまで考えてみて、ようやく複雑な気持ちが和らいだ気がする。

ITを推進しつつ伝統文化を守ることも考えてみる。
考えたら、伝えてみて、動いてみる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?