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司法試験後の企業就活(Update版)

はじめまして!
IT企業の法務で働いているよしだです。

皆様、司法試験お疲れ様でした!!!
これから就職活動の方も多いと思うので、前回記事のアップデート版を書いてみました。

私は、司法試験は2回目の受験の際に、受かっていない前提で、就職活動をしていました。

そこで内定をもらい、司法修習に行かずに、企業に就職することを選びました。

今回は、今の私が戻ったら、どんな風に就職活動するかを書いてみたいと思います。

なお、対象は、司法試験の合否を問わず、企業への就職を考えている方です。

伝えたいこと

徹底的に企業を知る

今やりたいことやなりたい自分と、
将来の自分が思うことは必ずしも一致しない

嘘をつかず、したたかに

就活には終わりがある

まず何からはじめるの?

求人を探すことが大切です。

どんな求人があって、どんな企業があるかを知りましょう。

街弁に興味がある人、刑事弁護をしたい人、企業法務系の事務所に興味がある人、知財に特化してやりたい人、元々インハウスに興味のある人など色んな方がいると思います。

そんな中で、さまざまな事情の中で、企業の法務部への就職を考えてる人がいると思います。

自分の悩みは殺す必要はないので、今の世の中の企業内法務のニーズが何か、どのような規模の会社がどんなポジションを募集しているのかを知ってみましょう。

具体的には、ジュリナビ、アットリーガル、ひまわり求人、企業のHP、ロースクールで主催している説明会、エージェント経由で求人情報を探します。

具体的なサービス名だと、「Wantedly」に掲載されている求人だと、ベンチャー企業も多いです。多くはないですが、社会人歴がなくても話をきいてもらえるところがあるかと思います。

あとは、インハウスロイヤーをしている先輩の会社で求人が出ていないか聞いてみましょう。

ロースクールの講義などで知り合った方やXの中にいるインハウスの方でも、割と気軽に話をしてくれる人はいるので、突撃してみましょう。

どんな会社なら興味が持てそうか、どんな事業なら楽しそうか、企業内法務の仕事内容の概要がどんなものか知ってみましょう。

企業の法務部が何をしているかを知る

次に、法務業務や法務パーソンのマインドセットについて知ってみましょう!

今活躍してる法務パーソンが、どのような目的や想いで仕事しているのかを知り、共感できる部分、そうでない部分、全く分からない部分を整理してみましょう。

私自身、今でも法務担当者として調子に乗らず原点に立ち返られるように、以下に挙げたような本の定期的に読んでいます。

特に「希望の法務」は自分の中ではバイブルで、すごく大切にしている本です。

法務の役割や大切なマインドセットを知る本

今日から法務パーソン(藤井)
法務の日常や役割などの全体像が簡単につかめます!

希望の法務(明司)
もはや哲学!いろんな人のいろんな解釈があっていい本だと思っています。

企業法務のWHYとHOW(竹安)
結構厳しいことも書いてありますが、本質的で法務の役割を理解し、どう行動していくのかを考えるにはすごくいい本です。

Q&A 若手弁護士からの相談199問 特別編―企業法務・キャリアデザイン・Q&A若手弁護士からの相談203問 企業法務・自治体・民事編(dtk・ronnorほか)
上の3つとは少し毛色が違いますが、QA形式で非常にわかりやすく、ひとり法務で悩まれている方には必須かなと。日常よくある悩みからキャリアまで広く書かれており、すごく参考になります。

そのほか、松尾先生の『キャリアデザインのための企業法務入門』、瀧川先生の『スキルアップのための企業法務のセオリー 実務の基礎とルールを学ぶ』、渡邊先生の『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』なども参考になると思います。

私のころは『企業法務入門テキスト――ありのままの法務』しかなく、何回もこれを読みました。そう思うと書籍がかなり充実してきました。

今はオウンドメディアが発展していて、以下のようなサイトで企業法務部の方が登場してくれているので、ウェブサイトを調べてみるだけでも、かなり情報収集できると思います。

Business Lawyers(弁護士ドットコム)

Legal Ops Lab (Hubble)

契約ウォッチ(Legal on Technologies)

すこし古くなってきましたが、国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会の報告書は非常に勉強になるので、ぜひ読んでもらいたいです。

企業選びってどうするの?

ここが1番悩みますよね、、、

興味のある業界、自分の好きなこと、よくみる商品、好きなキャッチコピー、心地よいデザイン、記事に登場する社員さんとか、きっかけは何でもいいんと思うので、「この雰囲気いいなー」という感覚を、ぜひ大切にしてください。

海外に行ってみたいなら、商社!ってなるかもしれませんが、メーカーでもほとんどの会社がグローバルに展開してるので、海外出張のチャンスはあります。

なので、視野を狭めず、どんな国や取引先とビジネスしてるのかな、どんな価値をお客様・ユーザー・社会に提供しているのかな等、商流や提供価値を考えて、企業を選んでいくのが、私はいいと思います。

会社の提供価値に共感できることが、面接での1番のアピールになるはず!

一方、私は就職活動をしていたときは、あまり受けたくないなとか、あまり興味ないかもという会社・業界でも少しでも気になれば受けていました。

これは、受ける会社のこと調べることで、自分がなぜ嫌なのか、興味のあるところとの違いを知るためでした。

正直、試験合否を問わないロースクール生向けの法務部の募集って、そんなに多くない。
なので、少しでも興味を持てば、受けてみて、話を聞いてみる、どんな人が働いているのか知るのがいいと思います。

ロースクール生向けの企業説明会も数が多い訳ではないので、カジュアル面談や選考の過程で、「法務部で働くこと」への理解を深めていくのが、大変だけど1番の近道。

ロースクール生向けの企業説明会は、毎年司法試験後に慶應、上智、京大がやってるはずです。

興味を持った会社は、もちろん迷わず受けてみてくださいね!

英語要件があって、応募に悩むことがあったりもするかもしれません。私は無謀にもチャレンジしていました。

あくまでポテンシャル採用で人柄やどれだけ真面目に成長するかを判断しているので、英語が原因なだけで、面接で落ちることは滅多にないと思います。

なので、迷わず、受けてみてくださいね。

私はあまり「どういうスキルが身につくか」という視点で就職活動はしていませんでした。これを意識したのは転職をするようになってからです。
まだ働いていない状態だと、正直「スキル」ってなにかが想像つかなくて、言語化できなかったのです。

なので、新卒の時には企業の提供価値への共感のほかに、「どういうチャレンジができるか」「どういう人・環境で働けるか」「指導してもらえる/してもらいたいと思える先輩や上司がいるか」を大切にして企業選びをしていました。

よし、履歴書と自己PRを作って応募しよう!

応募しようとすると、履歴書と自己PR(職務経歴書)を作って、企業ごとのエントリーシートに記入しないといけません。

これが、企業ごとでエントリーシートが違ったり、エージェントごとでフォーマットが違ったりして、結構大変...

ここは踏ん張りどころです!

応募してしまえば、あとは面接が続いていくので、勇気を出して応募しましょう。

履歴書は経歴を書くだけなので、あまり悩むことはないかもしれません。

一方で、自己PRや職務経歴書は悩みますよね。
アピールポイントってなんだろうって。

あんまり複雑に考えないようにして、辛い自己分析ループに入らないようにしてくださいね。
(自己分析ってやり始めると止まらないし、自分のことがどんどん嫌いになってしまうこともあるので…)

わたしは、転職活動する際には、今でも以下のポイントで具体的なストーリーを話せるような経験や体験を用意するようにしています。

①失敗したけど、乗り越えられた/糧になった経験
②大好きで、無我夢中で挑戦した経験
③チームで何かを達成した経験
④自分の強みと弱み

すべて企業に入社してからも再現性があります!っていうことを伝えるためのものです。

①は失敗からの「這い上がり力」です。失敗から何を学び、何を糧にして
今頑張っているのか。その時に、どんな課題設定をして、どういう工夫をして乗り越えていったのか。
企業に入ってから失敗することも、ミスすることも絶対にあります。
「私は、こうやって乗り越えたから、また困難に立ち向かっていけます!」のようなイメージです。

②は、無我夢中でやれることに人柄が現れると考えています。
なので、企業のカルチャーと雰囲気とマッチするかどうかの観点で、企業ごとに書きぶりを変えていたりもします。
とはいえ、無我夢中になる点は共通していたりするので、根本的には自分のことをある程度正しく理解してもらうために意識しています。
どんな仕事を任せていくと、楽しく、前向きに、会社生活を送ってもらえるかを面接官は見ていたりもするので、そういう視点で用意していました。

③チームで何かを達成した経験は、企業がチームで成果を出し続ける組織だからこそ、とても大切なポイントです。
部活やバイトなどチームで成果を上げた経験がなければ、家族・友人などとのコミュニケーションで大切にしていることからエピソードを考えてみるのもいいかもしれません。

④これは定番かもしれませんが、自己理解と相手の受けた印象にずれがないようにする趣旨で、①から③までのエピソードとずれがないように用意していました。また、弱みや苦手なところと、どう向き合っているのかも相手に知ってもらえると、相互理解が深まると思っています。

強み・弱みは、以下の書籍を使って見つけてみてもいいかもしれません。

面接準備と面接のポイント

面接準備にあたって大切なことは3つです!
①企業を知る
②企業の提供価値・文化への共感
③過去の体験と企業とのリンク

①ですが、「企業」のことを知るのが、とても大切です。

面接官の立場に立って考えてみても、自分の所属している企業のこと知ってくれていたら、すごくうれしいですよね!

そのために、会社のIR情報(中期経営計画、アニュアルレポート、決算資料、有価証券報告書。株主総会招集通知など)、新卒サイト、プレスリリース、企業ブログ、ニュース記事を調べてみましょう!
製品やサービスを実際調べてみて、使ってみるのもいいと思います。
上でも書きましたが、「商流」や「ユーザー」を想像して調べてみると、いろいろ見えてくるかなと思います。

【ポイント】
・何を大切にしてる会社か。どんな未来や社会を描いているか。
・お客さんは誰か。どんな価値を提供してるか。どんな課題と向き合っているのか。
・市場は伸びているのか。
・どんな課題を持っている会社か。
・社員のブログや経営者の記事であれば、どんな言葉を使ってるか、どんなことを大切にしていそうか。

転職活動するときでも全く同じことをしていました。

XなどのSNSで会社名でを検索すると、今はいろんな情報が取れるので、社員の人柄とかもわかるように思います。

もし会えるなら、社員の方に会ったり、説明会で直接お話を聞いたりがいいと思いますが、なかなか難しいですよね、、、
やはりメディアに出ている情報を整理して、面接で気になる点を逆質問するのがいいかなと思います。

(整理といっても、論証パターンやまとめノートを作らないといけな訳ではないので、気になったらブックマーク・スクショでくらいでいい!)

私は、日本たばこ産業株式会社(JT)に新卒入社したのですが、商材が特殊だったので、面接までに商材の歴史ついての博物館など行ってみたり、グループ会社の冷凍食品を手に取ってみたりしていました。

次に、②企業の提供価値・文化への共感について、企業の活動や大切にしていることへの共感が、あなたの志望動機になると思います。

企業を調べる視点として、上にあげたものを調べれば、

私も、この課題については、すごくそう思う!
わたしも企業に入って、解決したい!そのサポートをしたい!

え!この会社、この商品作ってたん!すご!めちゃ便利なんよなあ。

などなどの共感ポイントあると思います。

その企業にはどんな人が多そうで、企業はどういう風に世の中から見られようと発信していて、どんな人を仲間に迎え入れたいのかを想像できるといいですね。

③過去の体験と企業とのリンクについてですが、
「どうして、企業の事業や取り組みに共感できたのか?」これを考えてみましょう。

きっとあなたが大切にしてきた価値観とマッチしている点があるはずです。

自分が大切にしている価値観・体験・経験と企業への共感ポイントを接続するようにしてみてください。

「自分の体験とかよく分からん、大したこと、何もやってないし。」という人もいるかもしれません。

体験してきたこと、楽しかったこと、学んだこと、読んだ本、親から教えられたこと、友達から学んだこと、部活、学校生活などを振り返って、自分が大切にしてる、譲れないと思ってることを振り返ると、案外、いろんなな自分がいることに気がつくと思います。

それを元に、ぜひ共感ポイントを整理してみてください。

ここまでくれば、もう志望動機の出来上がりです!

本当にお疲れ様でした!

エントリーしましょう!w

私は、何にも共感できない、自分の価値観ともマッチしないなら、そもそもそこで働いていてもしんどいだけなので、そういう会社は受けないようにしていました。

私の軸は企業の提供価値・文化への共感だったので、皆さんそれぞれが自分にしっくりくるフレーズで自分の軸になる部分を語れるようになるいいのかなと思っています。

ぜひ、受けようと思っている会社のことを好きになってみてくださいね。

参考:志望動機の書く順
①なぜ、この企業を選んだか(企業への共感ポイント・解決したい課題)
②自分の経験と共感ポイントの簡単なリンク
③経験の説明(設定した課題とそれに対する行動)
④「こんな社会になっていたらいいな!」という自分の価値観と企業の提供価値との接続(課題解決への取組み方)

志望動機やエントリーシートを書くときには、以下を意識しましょう!
①わかりやすく
②一文を短く
③印象に残るように自分らしい言葉選びをする!
ぜひ社会人の先輩や友人にも添削してもらいましょう!

面接でのポイントですが、「嘘をつかず、したたかに」です!

「嘘をつかず、したたかに。」とはどういうことか。

嘘をつかずとは、そのまま嘘はつかないようにしましょう。
そのまま会社に入っても、嘘をつき続けないといけなくなるので。

ただ、素直になんでも話せばいいという話ではなく、「答えられる範囲、応えたい範囲で回答すればいい。」

あなたには沢山の側面があります。
1人の人に、一つの性格と決まっている訳ではなく、人の中には色んなキャラクターがいると思います。

どんな自分も、自分は自分です。
受けている会社に応じて、嘘のない範囲で、自分のどの側面が会社に適しているのか考えて、エピソードを使い分けて、話をする。
ただ、会社の好きそうな人になることを前面に演じるのではなく、譲れないことや大切にしている考えは、きちんとエピソードに混ぜて伝えておく。
自分を押し殺すことだけはしないように。

次に、したたかにについてです。

したたかとは、粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%BC%B7%E3%81%8B/

こんなことを面接でいう人がいたら、どう思いますか?

私は、御社が第二志望です!
そんなに興味もないので、何も調べてきていません!
経験を積んだら辞めて、独立します!
弁護士になりたいので、働いて受かったら、会社辞めます。
組織で働くの苦手です。
年上が苦手です。年下が苦手です。
よく寝坊してしまったり、遅刻します。
勉強嫌いです。
そのサービス嫌いです。
人とのコミュニケーション苦手です。

このように答えられたら、企業は一緒に働きたいと思ってくれるでしょうか?

面接を受けている以上は、「合格する」ことがゴールです。

自分の達成したいゴールのために、どのように振る舞い、どのような言葉を使い、選考を受けていくのかを徹底的に考えてみてください。

自分の大切にしている部分(本音)と建前をある程度使い分けたり、自分の中で譲れる部分の優先順位を決めて、相手の意向を汲み取り、「したたかになる」のは大切だと思います。

お互いの求めているところを理解し、当たり前のコミュニケーションを大切にするのが大切ですね。

おわりに

司法試験が終わって、事務所就活が終わっている人もいて、焦っている人もいると思います。
司法試験の合否が不安な中で、就職活動している皆さんは本当にすごいです!!!

自分自身すごくしんどかったなーという思い出があります。

私は元々街弁になるつもりで司法試験を受けていました。けど、今はすごく企業法務が楽しいですし、向いているなと思います。

今やりたいことと将来やりたいことは必ずしも一致しないなと思います。

環境次第で、生き方も変わると思いますし、変わって問題ありません。

また、ぜひ、あまり人と比べないようにしてくださいね。

それぞれの人が、今自分が大切だと思うことをやってるだけで、だれも自慢だけをしたいわけでは、きっとないので。

私が新卒の就活していた時は、自分らしく、自分の人生を生きたい、お金を自分で稼いで生きていきたいという目的だけでした。

この考えは、今でも大切にしています。

今就活をしている目的を達成するために、ぜひ期間を区切って、挑戦してみてください。

ただ、もし就活がしんどくなれば、一旦ストップして休んでください。
体調崩したり、精神的につらいなら無理をする必要はないです。

今は、Xにたくさんのインハウスロイヤーの方がいるので、就活でこまっていて、相談したければDMやコメントすればいいと思います!この業界は後輩には優しいので!

司法試験受験生の強みは、勉強ができること、諦めないでやり続けられること、合格のための戦略を立てられることだと思います。
就活には必ず終わりがあります。
今、本当に苦しい思いをして、就活に挑まれてる人は、終わりを信じて、したたかに、自信を持って、挑んで欲しいと思います。

こんなのを書いているの詳細はこちらで。

‐おわり‐


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