東京五輪とグラフィックデザイナー vol.3
会社に縛られる事なくもっと楽しくもっと自由に働いてもらう為の手段としてデザインをお伝えしております。
デザイン歴18年以上やって思うロゴデザインについて
今回はロゴマークの機能を紹介させて頂きます。
前回までのお話はこちらを
素早く企業やブランドを認知させる
交通網が発達した現代社会において目的地への移動時間が短縮され、通り過ぎる風景も速さが増しています。その風景に溶け込むロゴマーク(シンボル)が果たす役目とは、素早く移動者や視聴者へ印象を植え付けることです。
パッと見て「ああ〜これは◯◯の会社だ」と認知させる事が重要なのです。
それでは今回は時間と認知について説明していきましょう。
20212年、今年は東京五輪が開催された年です。
そして東京2020のエンブレム発表時に色々と物議を醸し出しましたのを皆さんも覚えていらっしゃると思います。
上記の画像にあるエンブレムは左からオリンピック招致で使用されたエンブレム、中、当初採択されたエンブレム、右、今回使用されたエンブレム。
みなさんはどれが良いでしょうか?
左は桜が日本を象徴してカラフルで綺麗。
中は何の形かわからないし暗い。
右は藍色が日本の色で市松模様が日本ぽい。
という印象があるのではないでしょうか。
やはり絵は色が沢山ある方が綺麗で良い印象を残しますよね
ではこちらをご覧ください。
ここでおさらいですが先ほど、パッと見て「ああ〜これは◯◯の会社だ」と認知させる事が重要なのです。と申しました。
上記の3つでどれに最初目が行きましたか?
天邪鬼をしなければ真ん中ではないでしょうか?
いやいや、真ん中にあるから目がいくのは当然という方もいらっしゃいますでしょう。
では、
真ん中に目が留まり続けましたか?
そしてさらに五輪マークをとると
真ん中のロゴは桜の形がわかりますか?
右は市松模様と断定できますか?
両方とも日本の象徴する特徴が消えました。
では、左は日本を象徴するものを感じないでしょうか?
日の丸の赤い丸、TokyoのTのフォルム。
左のロゴマークをデザインされたアートディレクターの佐野研二郎さん。
その後も別件でパクリ騒動があり彼個人を擁護するつもりはありませんがこの東京2020のロゴにおいてロゴデザインのプロであることは間違いないです。
ロゴマークをデザインする時に必要な労力
あなたがデザインしたロゴマークが使われる場面ってどんな場所でしょうか?
日常の中でロゴマークを目にする場所はビルの壁面だったり雑誌の片隅だったりと小さく見える事が常ですよね。東京五輪エンブレムが発表された時や令和の元号が発表された時の様に画面の向こう側の視聴者へ分かりやすいようにと紙に大きく印刷されたロゴマークを見ることの方が稀です。
見本の状態が日常に存在することの方が少ないのです。
さらに、冒頭で書いたように現代社会では移動に費やす時間が短くなる一方です。一瞬にして小さくても認知をさせるこれがロゴマークが置かれた現実なのです。
それら一つ一つの状況に置いて丁寧に検証を重ねる事がロゴデザインの重要な作業です。
容易に時間が掛かるのはわかりますよね。
何日も、時には何ヶ月もかけて作り上げていくロゴマークなのです。
さて、上記の作業時間を想定した上でクラウド◯ークスや、ラン○ーズ、他サイトで見られる
「ロゴマーク20,000円 修正は無制限」
は成立するでしょうか?
答えはNOですよね。
まともにロゴデザインしたら時給数十円でしょうか。
こんな仕事にプロのデザイナーが参加すると思いますか?
少なくとも本物のロゴデザインの労力を経験したプロは参加出来ないですよね。
これが私が以前ブログで書いた
プロのデザイナーは上記の様なロゴデザインは絶対に引き受けません。
の理由です。
と、今回はここまでです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
今回はロゴマークの機能についてお話しさせて頂きました。
次回はロゴに込める物語とパクリ問題について書かせて頂きますので是非お読み頂けますと嬉しいです。
それでは季節の変わり目でございますので体調にお気をつけください。
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