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エセキャンパー

私は、周りからキャンプが好きな人で通っている。もちろん否定はしない。確かに好きだ。しかし、本当のキャンプ好きから見たら、私など完全な「エセキャンパー」。何せ、1年に1回か、多くて2回行く程度。しかも、普通のキャンプ場にしか行かず、ソロキャンプなどは家の庭でしかやったことがない。ギアも中途半端。

なぜ私が「キャンプマニア」と思われているかというと、もう15年くらい前からSピーク社のSさんとは友達で、仕事を通じて親しくさせてもらったのがきっかけなのだが、そのSさんとの付き合いを通して、キャンプギアについてそこそこ詳しくなってしまったからである。その頃に購入した、エントリーモデルのテント「アメニティドーム」と「焚き火台」は今も買い替えることなく使い続けている、と言えば聞こえはいいが、マニアであれば、どんどん新しくリリースされるキャンプギアを買いたしていくのだろうが、そこまで私の食指が動かなかっただけなのだ。

Sさんは、とにかく働く人で、休みの日は釣りにキャンプに出かける完全なアウトドアな人だった。あくまでも仕事上の付き合いではあるけれど、いつのまにかSさんは自由自在に私をイジるようになっていた。欲しいタイミングで、彼は絶妙なイジリをするのだ。私のプライベートなどほとんど知らないクセに、的を射た適切な表現を使う。軽くて、一緒にいて心地が良い人で、用もないのに、Sさんのいる店に立ち寄ることもしばしばあった。

そのSさんが、数年前、心を病んでしまい、しばらく、多分3ヶ月以上もの間、休職されたことがあった。大味で細かいことなど気にもしないおおらかな人だと勝手に思っていたが、そのように見える人ほど、繊細な心の持ち主であることが多い。連絡したくても、そこまでの親密な仲とは思われていないから、自分からの連絡は遠慮をしていた。

再会をしたのは、確かコロナが始まった年2020年の秋だった。いつものSさんだった。あの年、釣り業界やアウトドア業界がコロナバブルとも言える絶好調の売り上げで、店もお客さんでごった返していた。30分以上も接客が続き、ようやく話ができたのを覚えている。今は一緒に仕事をしていないため、また間が空いてしまったが、今週末にでも久々に会いに行こう。

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