2015年11月27日。メルマガ会員に送付させていただいた、コラム

下記は、前回、J1から降格したタイミング(たまたま)で、モンテディオ山形のメルマガ会員に送付させていただいたコラムです。
読み返してみたら、いろいろ状況が変わってるなぁ、とか思いましたが、初心のようなものなので、残しておきたいと思います。

みなさん、こんばんは。
事業推進部コラム、第二弾は横山がお送りします。
私の業務は、主にホームタウン担当ということで、選手やスタッフ、ディーオの派遣関連や地域イベントへの参加、その他食育や棚田などの各種ホームタウン活動、県内35市町村の担当、そして新企画の推進をしています。
今回、私からは「モンテディオ山形というクラブのビジョンと進むべき道」について、書きたいと思います。ちょっと長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。

私は2010年からモンテディオ山形に携わりました。当時、クラブは小林伸二監督のもと、J1昇格当時のメンバーが確実に力をつけながら、田代有三選手や増田誓志選手といった新戦力が融合し、クラブ最高の13位という成績を残すことができた素晴らしいシーズンを送りました。その頃の私の業務は広報。取材の対応などをしながら、クラブのプロモーションをするという仕事でした。練習場で取材対応し、見学に来たみなさんと挨拶を交わすといったコミュニケーションを取っていたことで、今でも試合の時でもたくさんの方に声をかけていただけているのかなと感じています。
さて、シーズンが変わって、2011年。当時一次キャンプ地であったグアムキャンプから帰ってくると、広報から営業兼ホームタウン担当に配置転換されていました。当時の社団法人の予算は12億円。その予算を向上させ、ホームタウン活動を活性化させる。それがミッションでした。
しかし、当時で500社を超えていた支援企業に対し、営業グループの人員は兼務の私を入れて3人といった状況であったこと、県内の大きな企業さんにはアプローチの仕方に差はあれど、すでにそれなりに営業をかけていたこと、既存の支援企業さんたちも、たとえ業績が良くない中でも、なんとか社内をまとめて継続的に支援をしてくれていたことなどから、J1平均の半分ほどである15億円という数字でさえも、目の前が真っ暗になるほど大きなものでした。
そうした中、J2への降格が決まり、クラブはこのJリーグの中で今後どのような立ち位置を目指すべきなのかという選択を下しました。このままの予算で、調子が良ければ昇格争いに関わってくるクラブ、アカデミーに力と資本を投入し、移籍金を得られるような選手を育て売却しやりくりするようなクラブ、そして予算を向上させJ1に定着できるようなクラブです。理事会の出した結論はJ1に定着するクラブにするという方向性でした。
しかし、J1は30億円以上という予算が平均となっている中、モンテディオ山形はJ2時代で10億円、J2でも9番目に位置する予算で戦っているのが現状です。クラブの成績と予算は一概に比例するものではありませんが、この予算の約40%が強化費となると仮定すると、予算の大小が勝敗にもたらす影響について、理解していただけるのではないでしょうか。
そして、その差を埋めるため、クラブは株式会社化という決断を下しました。アビームコンサルティングをパートナーとし、総合運動公園の指定管理をしていた、やまがたスポーツパークと合併することで、総事業費とリソースを増加させ、指定管理事業(自主事業)と新たな新企画から得た事業収益を、株主に配当せずチーム強化費に投入するという事業スキームです。これで、まず20億円を目指そうと始めました。
指定管理事業は費用もかかるため、伸びた分がそのまま強化費に回せるわけではありませんが、その結果、2014シーズンは、分離した公益社団法人と合わせて、約16億円に事業規模が向上し、J1で戦った今シーズンは18億円以上の事業規模にまで拡大しています。
20億円にまで、あと少しだと思いませんか?

2014年、モンテディオ山形はJ1昇格、天皇杯準優勝という結果を残すことができました。天皇杯の決勝戦はNHK山形で放送されましたが、最高瞬間視聴率が47%にまで達したそうです。皆さんが育ててくれたこのクラブは、実に山形県民の半分が見てくれるまでに成長し、県外の山形県人にも「山形の誇り」を感じていただけたのではないかと思います。
しかし、天皇杯は90余年の歴史がある中、山形県では初の決勝進出です。次に決勝に行くのはいつでしょうか?90年後?それでは、みんな亡くなってしまう可能性が高いです。私たちがやっている仕事はそれを20年後、10年後、5年後にすることです。今はまだ高い確率ではないかもしれませんが、J1に昇格し残留する確率を毎年少しでも上げることです。そして、その日々の積み重ねがこのクラブを文化とし、本当の意味での県民の宝としてくれるものだと思っています。
最初に記載しましたが、現在の私の仕事はホームタウン担当です。モンテディオ山形は年間700回以上のホームタウン活動を実施しています。今日、ふれあいフィールドで初めてサッカーに触れ、ディーオに会った子供たちが、10年後、20年後にモンテディオ山形の事を好きでいてくれたら、このクラブが山形にあるという意義があると思いませんか?
2015シーズン、クラブは残念ながらJ2降格となってしまいました。しかし、営業の会費、パートナー収入などは前に降格した2011年からずっと伸び続けています。この営業系の収入と入場料というものが、クラブ経営のベースであり、根底です。
このベースを向上させ、J1に昇格・残留できる確率を高め、クラブを好きになってくれる人を増やすこと。それが、モンテディオ山形というクラブの「生きる道」だと思います。その先に、日本代表選手の輩出やJ1での上位進出、ACLへの出場、CWC出場という世界への道が広がっています。
ただ、この道は人口113万人、上場企業7社の県域で、親会社のないクラブにとっては、並大抵の道ではありません。しかし、スタッフ、選手、フロント、サポーター、パートナー、そして県民が同じ方向を向き、一緒に闘ってくれれば、きっと達成できると思っています。
最後になりますが、2016シーズンへの戦いは、すでに始まっています。昨日、社長の辞任が発表されましたが、そうした中でも私たちは皆様が笑顔になれる未来に向け、1%でもJ1に昇格し、残留するための確率を上げられるように日々を懸命に戦っていきます。
様々な声が上がっていることは承知しておりますが、皆様の支援と声援がクラブの力です。是非、その支援を継続していただき、チームの状況が良い時も苦しい時も、変わらずスタジアムに駆け付け、大きな声援を送っていただければ幸いです。その声援がチームを助け、歓喜を生み出し、未来を拓いてくれると信じています。

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