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オミクロン株亜種 BA.2はBA.1より重いのか?

新型コロナウイルスのオミクロン株亜種BA.2は感染性の高さが懸念されていますが、重症度はどうなんでしょうか。今いちばん気になることですね。ハムスターへの感染実験でBA.2の方がBA.1より症状が強かったという査読前の論文はありますが、ヒトではどうでしょうか。まだ確信できるデータは出てませんが、期待できる予備的なデータが出始めています。

Clinical severity of Omicron sub-lineage BA.2 compared to BA.1 in South Africa

 この論文はまだpreprintですが、南アフリカにおけるBA.1感染とBA.2感染の重症度を比較しています。2021年12月1日から2022年1月20日の間に診断された患者の重症度を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて評価しています。入院のオッズは、BA.1感染とBA.2感染とで差はありませんでした(aOR 0.96,95%CI 0.85-1.09)。また、入院患者の重症化に関しても差はありませんでした(aOR 0.91,95%CI 0.68-1.22)。

SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 37 25 February 2022

 英国保健安全保障庁(UK Health Security Agency)のwebでの報告です。予備的な調査に基づくもので今後変わる可能性もあります。年齢、再感染状況、性別、民族性、地域の貧困度、ワクチン接種の有無を調整したうえで、BA.2とBA.1の重症度を比較した結果、BA.2感染後の入院リスクがBA.1感染後よりも高くないこと(ハザード比0.87、95%CI 0.75-1.00)を示しています。

Risk assesment of Omicron BA.2

 デンマークのStatens Serum Institut( Statens血清研究所)の報告 です。2021年11月21日から2022年1月21日までの期間の全陽性PCRサンプルの16%を配列決定し(日本でもこういうのやってほしいですね)、それに基づいてBA.1とBA.2を比較しています。性別、年齢、ワクチン接種状況、時期、地域、併存疾患、SARS-CoV-2感染の既往を考慮しても、BA.1とBA.2(合計932人)の入院リスクに差は検出されませんでした。

どれも期待できるデータです。より詳細な解析が出るのを待ちましょう。

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