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東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~2021/1/1)

みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新型コロナ、東京都の新規陽性者数の解析です。今回は陽性者の絶対数を都の年代別の人口で補正して、標準化しています。

上のグラフは東京都の年代別の7日移動平均のグラフです。20代が突出して増加しているように見えます。20代の陽性者数が多いことは確かなんですが、増加率もそうなんでしょうか。下のグラフはY軸を対数目盛にしたものですが、これを見ると全世代でほぼ同じ率で増加していることがわかります(グラフの傾きがほぼ同じということ)。全世代の同様な増加は新型コロナ感染が蔓延・拡大している状態と考えていいでしょう。第二波(遺伝学的には武漢株→ヨーロッパ株→東京株で第三波)の最初は同じようなグラフの傾きですが、20代以外は絶対数が少なく、繁華街が中心の感染拡大(一部の人の一般的でない行動量の増加によるもの)でしたので抑制しやすかったのか、幸い落ち着きました。その後、完全には減少せずだらだらと続いたあと、冬の到来とともに第三波(遺伝学的には東京株による第三波が終息せずに再燃)となりました。

20代~50代のよく動く世代から小児や高齢者に感染しているのか、あるいは高齢者も結構出歩いているのか、詳細はわかりません。いずれにしても、全般的な行動量の増加によるものと考えられるので、一部の抑制ではなく全体の動きを抑えるべきフェーズになってきたと思われます。幸い、実効性生産数はまだ1.19ですから、今のうちに対処したいところです。

次の図の上のグラフは3月以降の年代別新規陽性者の積み上げグラフです(全体を100%としたグラフ)。第一波は中高年中心、第二波は若い世代が中心とはっきりしていましたが(検査の偏りもあったでしょうが)、最近は各年代の割合が固定しています。下のグラフはここ2か月のみのものですが、割合がほぼ一定です。対象がはっきりすれば、対処もしやすいでしょうが、このように全般的な増加では、そうもいかない印象です。

このような傾向はここ2か月ではっきりしています。GPSによる人の動きからいうと歌舞伎町や六本木ではここ2か月大きな変化はありませんが、例年なら年末は増加する時期でもありますので、一定の抑制はあったかとは思います。ただ減っていないことに、冬などの季節要因が加わって陽性者数を押し上げたのかもしれません。また、人の動きは同じでも、集団で飲み会やパーティーをするなど、行動様式が変化したのが影響したのかもしれません。一度落ち着きそうな時期もあったのですが残念です。

私はあまり厳しい行動抑制はよくないと思っていましたが、今回は「本当に勝負の」2~3週間があってもいいかなと思うようになってきました。法的根拠がしっかりしていればよかったのですが、この間十分な時間があったにもかかわらず、(実際上)何も行われていません。この点、与党も、野党も具体策は出しておらず、同様に責任があると思います。2類か、5類かの議論はありますが、ウイルスの性質が異なるわけですから、今ある法律が必ずしも当てはまるとは限りません。現在の法律にこだわらず、新型コロナに合わせた法律をつくればいいと思います。何か月も前から関係者に提案させていただいたのですが、進展はなかったようです(→国会で議論されるようです)。もうひとつ、これは少し前から思っていたことですが、ある程度以上の規模の民間病院でのコロナ診療の義務化(もちろん十分な補助金とともに)、コロナ対応が難しい小規模病院や開業医によるコロナ対応病院のバックアップ(軽症、中等症のコロナ以外の疾患の対応をすることでコロナ対応病院の負担を減らす)なども検討しておくべきことだと思います。すでにたくさんの地域で地域の事情に応じて医師会が対応を行っているのは心強いことです。県を越えての医療従事者の移動(コロナが少なくて多少余裕がある地域から、逼迫した地域への移動)も柔軟にできるようにするべきでしょう。

行動の抑制はどうするべきか、難しい問題です。飲食店において、営業時間の短縮のみならず、4人以上の会食、予約の禁止、酒類提供の制限、店の面積あたりの客数の制限などはしてもいいかもしれません。デパートは開店時間の短縮よりは、時間あたりの入店制限がいいでしょう。ライブ、スポーツなどは人数を一段階前に減らすとよいかと思います。きちんとデータ解析して、行動制限しなくていいところ(たとえば静かに聞くクラシックのコンサートなどは制限を緩くする、学校は注意したうえで対面授業を続けるなど)を明確にして、少しでも経済活動ができるようにするといいでしょう。入国も、今のように全世界から上陸停止などといいながら一部の国はザルにするのではなく、真の意味で全部をブロックするべきです。入国時の検査を徹底し、可能な限り空港近くのホテルでの2週間隔離とし、信頼できる国内滞在先があって2週間待機する場合も、そこまでの移動は公共交通機関を利用しないことを(要請ではなく)義務付けるべきでしょう。2週間隔離した人には整理券を渡して、それなしでは電車やバスに乗れないようにすればいいと思います。今の日本の状況を見ても、もう要請のみでは人の行動は抑えられないでしょう。

オリンピック?現状では無理でしょうね。少なくとも選手も観客も来訪1か月前にはワクチン接種をすませることを義務付けし、入国後2週間の隔離を徹底しないといけません。PCRの陰性証明は、偽陰性が多いし、そもそも適切なタイミングで行わなければ検出できませんし、あまり意味がありません。早く中止を決めて、オリンピック関係の方に払われている給料などをストップし、準備費用は医療などに回すべきだとも思ってしまいます。

どんな病気でも、状態を把握して、初期にしっかり治療することが大事です。そうすれば治療期間は短くなり、患者さんの負担も減ります。効果が中途半端な治療を小出しにすると、結局は長引いてしまうでしょう。副作用が強く出た薬は即時にやめるべきです。これは感染に対する政策も同じです。今のような、「状況が理解できてない」「始めるのが遅い」「やめるのも遅い」「小出しでちょこちょこ」の政策では、結局経済をはじめとして国民の生活にマイナスになると思うのですが、言い過ぎでしょうか。

以上ですが、あくまで個人的な意見ですので、いろいろご意見はあると思いますが、ご容赦ください。

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