かさぶたの鎧
人は誰だって、
偽りの衣を纏って生きている。
本当の自分を全開で出しても、
自分自身が傷付くことになるし、
そのことで誰かも傷付いて、
誰も得をしないから。
傷付いた心は、痛みを避けるために、
本当の自分を調整しながら出すようになっていく。
そして、それがさらに自らを傷付ける。
そんなことを続けるうちに、
次第に痛みも感じなくなって、
かさぶたができて、傷は隠されていく。
そうやって偽者の鎧が出来上がっていく。
いつの間にか重く感じるようになったその鎧は、肉体と一体化していて脱ぐことも出来ない。
かさぶたを剥ごうとすると、
激痛が走り、皮膚のない肉が露になる。
風が吹いただけでヒリヒリする素の肉体からは、涙のような液体が滲み出している。
気付いたところでどうすることも出来ず、絶望を飲み込みながら、このまま生きていくしかないと覚悟を決める。
鎧を脱ぎ捨て、裸のままで生きれたら、
どんなに軽やかな気持ちなんだろう。
でもそれは、無防備なままで、
命を差し出すようなもの。
本当の逞しさは、
傷付いてもなお、心を開き続けること。
どうやったら、
そんな風に生きられるようになるんだろう。
どうやったら、
そんな風に生きる術を伝えられるんだろう。
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