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愛でいたいよな 日記-20231227

・「QuizKnockと学ぼう」チャンネルで、企画作りに関わった新シリーズの動画が公開された。題して「名文推測バトル」。名作文学の一節を、穴埋めクイズの形で自分で書いてみるという企画だ。

・「学ぼう」では以前「読書会LIVE」という企画をやっていて、今回のシリーズはそのリニューアル版、という形になる。読書や本に絡めた企画はやはり続けたいと、河村さんが発起人になってくれた。

・多くの人と一緒に一冊の本の精読ができる、以前の形式も大事なものだと思っている。出演者としても参加することができて嬉しかったし、好きな作品の奥底まで触れることのできる何より良い機会だった。私はある本についてゆっくりと(本だけでなく展覧会や演奏会だったりでもそうだ)時間をかけて考えることが好きだ。一方で、「読書会」というものを生放送の動画としてコンテンツに仕上げる難しさはあるんだろうなと、そんなことも感じていた。

・文学作品について、今回の企画のようにある一節だけを文脈から切り離して抜き出し、クイズとして仕立てることの暴力性についても考える。たとえば、1問目で提示される太宰治作品からの一節。こちらは「名言」のような形でこれだけ切り抜いて取り上げられることも多いものだが、実際読んでみると直後にそれを透かすような流れへと続き、受ける印象が若干異なる。小説の形で受け取らないことには、取りこぼすものだって多い。

・しかし同時に、一文単位でミクロに観察するからこそ見えてくる文章表現の面白さを知ってほしいとも思う。

・短歌や短詩において現れるような、少ない語の繋がりの中だからこそ成立する独特の感触がある。世に無数にあるはずの文章を飛び越えて、まだそんな言葉の組み合わせが残っていたのかと驚かされる瞬間を、私は心待ちにしながら常にいる。よく練られた小説の中にも少なからずそのような「キメ」のような瞬間や一文があって、それに注目できることは嬉しい。

・そして、たったひとつの文章に注目することによって小説全体で成し遂げられていることの、その底知れなさにも気付く。いや、気付けるのか? 何となくそんな気にさせられているだけかもしれない。それでも、ある小説の中で「この文章にはどんな役割があるんだろう?」と考えてみることの面白さを、私は知ってもらいたいと願っている。

・読書会でも今回のようなクイズ企画でも、私たちが届けられるのはあくまで本にまつわる何かであって、読書によって得られる体験そのものではない。そればっかりは実際に本に触れ、読んでもらうほかない。もし今回のような動画が本に触れるきっかけのひとつになってくれるのなら、それ以上に嬉しいことはない。自分に向かってだけ捧げられたような名文は、探せばきっとどこかにある。探すんだ!

・動画で紹介した本は、全て青空文庫でも読めるものだ。長いものもあるが、気になった部分だけ触れるでもいいかもしれない。私は『津軽』に沿って青森の旅程を組んでみたい。(次回以降も企画チームやそのバイトの方が作ってくれた選りすぐりの問題を準備しているので、お楽しみに)

・自分の話。にしてもバストアップの図で映る場合、もこもこのニットは膨れてるように見えちゃってあまり適さないな。普段動画に出ないとこういうことがわからない。来年の目標は「ビジュを安定させる」だ。髪をピンクに染めといておいて何だという話でもあるけれど。

・そういえば髪の色落ちを気にしてピンクシャンプーを使ったら、染めた日よりも余計にビビッドなピンクになってしまった。ピンクシャンプーの実力を完全に舐めていた。鮮やかなピンクは、何の象徴だろうか。プラスのものには違いないだろうという確信はあって、櫛を通す手も気持ち軽いような思いでいる。