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中小企業診断士を独学してみて思ったこと(2次試験・解答編)

2次試験の使用したテキストについて書いたけれど、想像以上に長くなってしまったので勉強方法についてはこちらに詳しく書いていこうと思います。
前回書いた2次試験使用テキストについてはこちら。

今回は勉強方法と解答作成の勘所について書いていこうと思います。


勉強方法と解答方法

前回書いた通り、使用テキストは原則ふぞろいの合格答案or答案分析。
ただ事例IVだけは過去問をやりこめばいいというわけではなく、初めて対面する問題にどれだけ機転を利かせて答案を作っていくかが重要なのでそういう意味では1次試験の問題だとか、30日完成だとか、場合によってはイケカコを使って対応力を高めておくのは有りかもしれない。

事例I~IIIは前回書いた通り。試験時間と同じ時間を確保して、与件文を読み、解答用紙に記入。書き終わったらふぞろいでキーワード採点を行い、自身の解答と他の受験者とのズレを確認していく。という流れ。

与件文を破くか破かないか

与件文を破いたほうがいいか、破かない方がいいかについては

与件文は破いたほうがキーワードの抜き出し漏れが少なくなると思う!

僕は不合格だった令和3年度は与件文を半分に破らず、令和4年度は半分に破いた。
最初は、与件文を破くと机のスペースが狭くなったりページが分かりにくくなるリスクがあったため、また、与件文を破く練習をしていなかったので「練習の時と違うことはしない」という理由から破かなかった。

けれど、令和3年事例II・第4問にて冒頭に書かれていた「新しい素材を使った菓子で人気を博す和菓子店」という肝心かなめのキーワードの抜き出し漏れをしてしまった。
その原因が与件文を破かなかったことにより、キーワードの抜粋に手間がかかったことによるものと結論づけたため、令和4年度では破くことにした。

やはり問題文と与件文を並べながら読んでいくと抜き出しの漏れが少なくなったように思う。

(余談だけど、事例IIが終わった後twitterを見ていたら受験者がみんな「和菓子店とのコラボについて書きまくった!」「和菓子店!」「和菓子店とのコラボでOK?!」と書いており、僕は「え、和菓子店って何のこと?どの設問のこと?え?」となったのを今でも鮮明に覚えている・・・)

マーカーの引き方

次にキーワードのチェックの仕方について。

色鉛筆を6色くらい用意して、使えそうなキーワードには最初読む時に鉛筆で下線を引く。問題ごとに色を決めて使えそうなキーワードを各問題ごとに色付けしていき、答案作成をした!

令和3年度は、蛍光ペンを6色くらい持っていったと思う。
強みを赤、弱みを青、機会を黄色、脅威を緑、他使えそうな材料を茶色等他の色で塗って抜粋をするやり方を行ったけど、このやり方は僕には合わなかった。
というのも、問題を解いていく過程で、強みっぽいことが実は弱みだったり弱みっぽいことが実は強みになり得たり(これはあまりなかったかな)、機会っぽくないけど実は機会になり得たり(まさに和菓子店とのコラボ)したからである。
マーカーの色が、逆に考えを固執させて邪魔になった。

また、想像以上に滲んだことも想定外だった。
思った以上に滲むので蛍光ペンをなぞるのが億劫になって、気持ちよく引けなかった。
1次試験と紙質は同じだと思うので、気になる人は引いてみるといいと思う。

というわけで令和4年度では反省点を活かし、蛍光ペン⇒色鉛筆にして、まず最初に与件文を読む時に使えそうなキーワードを鉛筆でマークして、次に
各設問で問われていることをかみ砕いていきながら、設問ごとに色鉛筆で印をつけていくやり方に変えた。

こうしたことで使えそうなキーワードを使えているのか、仮にどのキーワードを使えばいいか分からなくなっても次の設問を解きやすくなったり、似たようなキーワードを何回も使っていないかなど俯瞰しやすくなった。

こんな感じで引いていた。(スキャンサイズずれててすみません)

令和4年度事例I与件文
令和4年度事例I与件文
令和4年度事例I与件文
令和4年度事例I問題文

赤鉛筆でのSとかWは強み・弱みのメモで、消費者との接点=ニーズ収集・タッチポイントを増やすといった効果について直近で漏らしていたのですぐさまメモをしたといった具合。

勉強方法&答案の作成方法

キーワードから事例ごとのトレンドはどうか、自身の解答がズレてないかを見ながら、解答のレイヤーを意識していく!

まずは事例ごとのトレンドについて。

ふぞろいを使ってどう勉強していくかだけど、解答がキーワードから外れていないかを見て行くことがやはり大切。

例えば令和3年度事例I、第2問「なぜ3代目にデザイン部門の統括を任せたと考えるか。」はやはり「事業承継」「後継者育成」「次期社長」といったキーワードを思いつきたい。
事例Iのトレンドとして事業承継が問われ出していることをしっかり頭にいれる必要があった。
実際、令和4年度事例I、第4問・設問2でも事業承継に際しての人材配置や権限委譲について問われているので、どういう流れで事業承継を行っていくのかを組織論として押さえていくべきなんだろうと思う。

また、今後は例えばM&A辺りも押さえたいよねと思ったら令和5年度はもろにM&Aについて聞かれているっぽいですね。

次に解答のレイヤーについて。

解答のレイヤーとは何ぞや?だけど、ふぞろいを使って勉強する中で「問題を深掘りすると更に問題があって、課題の先にも更に課題がある。」ことを理解することが大事なように思った。
ちょっと意味分からないと思うので深掘りしていく。

例えば事例IIIで「(既存事業が納期問題を起こしているが)新事業を成功させるために行うべき施策は何か?」と聞かれた際に、ただ「生産計画を行い納期問題を解決する」だけではなくて

  1. ①5S活動を行い(施策I)

  2. 材料の置き場を明確にし(効果①)

  3. 段取り時間を短縮する。(効果②)

  4. ②月1回行っていた生産計画を(施策II)

  5. 隔週で行うことにより

  6. 製造部門と営業部門で情報共有を密にすることで、(効果①)

  7. 既存事業の納期問題を解決し(効果②)

  8. 新事業を成功させる。(最終目標)(100字)

みたいな感じ。
施策に対して、効果は1つだけでなくて、その施策を行うことで何かが変わって更に何かが変わって、それによって更に何かが変わるから新事業が成功する!という書き方になるように意識した。

実際ふぞろいな合格答案15(令和3年度分)の事例II第2問の解答キーワードと合格答案を見ても

ふぞろいな合格答案15より抜粋

とあり、ターゲット・商品・販売方法について書いたあと、その効果として何が起こるのかを書くようになっていることが分かる。

また、この問題のふぞろいにある合格答案はこんな構造になっていることが分かる。

ふぞろいな合格答案15より抜粋と改変

ちなみにC答案はこんな感じの構造。

ふぞろいな合格答案15より抜粋と改変

特徴的なのが効果②がないところ。
問題文には「ネットを通じ、地元産大豆の魅力を全国に伝えたいと考えている」というヒントがあるので、効果①については思いつくと思う。
けれど企業は営利を目的として活動するわけだから、例えばブランド化していったり、固定客化したりすることで売上向上などに繋げていきたい。つまり効果②について書くようにしたい。
仮に、問題文になくても、「効果について聞かれていないけど、ふぞろいでは効果の記述に対して加点があったケース」が散見されるのでやはり、聞かれたことだけに答えるだけでなくそこから見込まれる「効果」や「変化」は書いた方が良いと思う。

また、各事例ごとにこう来たらこう書いとけ!!みたいな必殺(?)ワードがあることは押さえておきたい。
例えば、事例Iでの「組織活性化」とか、事例IIでの「固定客化」「新規顧客獲得」とか、事例IIIでの「一貫生産体制」のような、このキーワードが来たら取り合えず強みに書いとけ!or取り合えずそれっぽいところにこのフレーズ書いとけ!ってキーワードは過去問を解く過程で押さえていけばいいと思う。

先ほどマーカーについて原本を載せた、令和4年事例Iの再現答案メモを以下に貼っておく。


再現答案メモ①
再現答案メモ①

何書いてるのか、非常に分かりにくく大変恐縮です・・・・。

導出の過程は
問2は”帰属意識が低い”ことが定着率が低い要因であると考えて評価制度や研修といったモラール向上施策⇒それにより人間関係を構築しやすい環境をつくり⇒帰属意識を高める
という方向性にしたこと。
問3は依存度が高くなっている取引先と別の取引先を見つけるというのは急展開な気がして売上の安定を主軸におきつつ、大前提として依存度が高くなりすぎないように注意する方向性にしたこと。
問4-1は最初あれこれ書いていたけど「組織構造について聞かれてるんだから機能別組織か、事業部別組織か、根拠づけてどっちにすると指摘しないとダメじゃね?」と思い直して書き直したこと。
問4-2は後継者育成は時間がかかるから責任者への任命を行いながら徐々に権限委譲をおこなっていき、また、人員配置について聞かれてるし後継者の知見を活かした従業員昇格による後継者にとってのブレーンの構築みたいなイメージで書いたこと。を覚えている。

先ほど書いた通り、下位目標を達成していきそれが上位目標の達成に繋がるような構成にしているつもり。
また、ここを終着点にしよう!というワードに関しては大きく丸で囲ったりしている。

事例Iに関しては、68点だったので方向性としては間違っていなかったと思う。

事例IVの勉強方法

事例I~IIIは10年データブックに収録されている年度は最低1回はやって、直近のは2・3回やった。
もちろん事例IVも何回もやったけれど、事例IVは別のアプローチからの勉強も必要なように思った。

というのも近年NPVとか、意思決定会計とか、言われれば分かるけどこんな聞き方されたら分かんないよ!って出題のされ方が多いように感じたから。
僕は令和3年度事例IVにて、セルフレジ導入・移動式トラックの導入・養殖事業への参入を企てている事例に相対することになるのだが


(僕は試験中、業績揮わないのに新事業だのに参入しすぎやろ!!リスク考えろ!!と叫んでいたのは内緒)


この年もNPVが少し変わった形で出題されていて、全然本領発揮できなかった。
考え方が分かれば、なんで分からなかったのか不思議なくらいなんだけど。

こんなことが無いようにするためにも、例えばテキストを読んで基礎を理解するとか、そういった訓練練習も大事なように思った。

僕の場合は、S-αS-FC=P(利益)というのは頭に入れていたけどこれが
売上-変動費-固定費=利益にスムーズに繋がらなくて解き損ねたことがあった。
なんで分からなかったのか今でも不思議なんだけど数式だけ頭に入れてたから多分こうなったんだと思う。

あと、令和4年度の出題と、昨今の中小企業診断士を取り巻く環境・重要指標を踏まえるとやはり生産性は計算できるようにしておいたほうがいいように思う。
合格した銀行出身の方と「生産性を聞かれて驚いた」という話をしたら、皆さん口を揃えて「来ると思っていたし、言われていた。現場でも頻出。」と言っていたが、僕は令和4年度の試験中、見慣れなさ過ぎて盛大に混乱した。
どうせ実務補習やらで使うので覚えておいて損はないと思う。

また、点数を稼ぐために、分かる部分だけでも書くことを意識してもいいと思う。

例えば、損益分岐点売上高を出す問題があった時、仮に変動費は分かっているけど損益分岐点売上高がいくらなのか分からないor分かったとしても間違っているかもしれない場面で解答欄に
問1:α=0.55よりS'=100,000(千円)
問2:100,000(千円)
と記入するのではなく
問1:α=66,000/120,000=0.55(%)
    S'=FC/1-αより=45,000/1-0.55=100,000(千円)
問2:100,000(千円)

変動比率の計算式を書く・損益分岐点売上高の計算式を書くといった違い。
上は簡単な問題を例にしたけれど、例えば問1で変動比率、問2で損益分岐点売上高を聞かれたけど変動比率でかなり苦戦、損益分岐点売上高なんてどうやって出したらいいか分からない!
なんて時でも損益分岐点売上高の計算式だけは書いてみる。といった具合である。

事例IVは、特に得点調整がされているという噂があったりなかったり、どこまでが採点されているのか分からない科目であり、少しでも多くの情報を解答欄に書くことはもちろん、仮に答えが外れていてもどこかで部分点をもらえるようにしておくことは大事だろう。

昨今の流れ的に、事例IVだけで一発逆転合格をさせまいとするためなのか、会計士や税理士でも難しい問題を盛り込んでくるような気概を感じる。
僕たち独学者が、少しでも合格に近づくためにもやはりできることはやっていくべきだと思う。

ちなみに僕は、令和4年度の事例IVは、問1で今まで聞いてこなかった生産性を聞かれた衝撃で頭が真っ白になり、NPV(外注に出すか、自社で行うかといった原価計算)や、普段あまり見ないプロダクトミックス、くそ難しかった意思決定会計は何一つ解ける気がせず、仕舞には、本来ここなら書けたはずの中古車販売事業の財務的リスクについて「2点指摘せよ」という要求さえ見落としていたが、それでも諦めずに分かってるような分かってないような解答を書いて50点だった。
体感事例IVだけで足切りされてもおかしくない出来栄えだったので、もちろん意外だった。

とはいえ、上記の「分かる部分だけでも書く」ことがどこまで得点につながったか分からないし、試験中は考えることに必死なので書けない気持ちも分かります。

再現答案は作るべきか

これに関しては、僕は作るに越したことはないと思うけど正直作ったメリットはあまり感じられなかった。
令和3年度は2日後に重い腰を上げて作ったが、令和4年度は再現答案を作ったのは2週間後だった。
結果論だけど、合格してたので、その再現答案を使ったのって合格した際に来年の受験者が参考になればという思いでXに公開したのが最初で最後だった。
一つ言えるのは不合格だった時は結構役に立つ。
ふぞろいな合格答案があれば、当時の自分の解答とのずれが分かるからね。

再現答案は過去にXでも貼ったけど、アカウントを変えてしまった時に消えているかと思うので改めてこちらに貼っておきます。
事例I:68点 事例II:59点 事例III:68点でした。

再現答案事例I
再現答案事例II
再現答案事例III

まとめ

ということで今回のまとめになりますが

  1. 与件文は破いたほうがいいと思う!

  2. 蛍光ペンより色鉛筆がおすすめ!

  3. 個人的には最初に鉛筆で気になるワードをマーク⇒各設問事に色鉛筆でマーク!

  4. 勉強方法は特にトレンドや必殺ワードを押さえつつ、レイヤーを意識した答案を意識する!

これらが今回書きたかったことになります。

とはいっても、前も書いた通り僕は令和4年度試験は事例IとIIIこそ70点弱でしたが事例IIは59点、事例IVが50点だったので、合計245点と結構ギリギリで通過した人間ですし、自己流も交じっていますので本当に正しいか、ためになるかは疑問ですが、一応このやり方で合格したという体験記が誰かの役に立てば幸いです。

#中小企業診断士 #独学 #二次試験 #2次試験 #勉強方法 #答案作成

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