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論集『巫・占の異相』が発売となりました

 このたび、弊社初の論集となる『巫・占の異相』が発売されました。
 日文研で行われた共同研究会、通称「占い班」の成果論集ですが、班員でない先生方にも加わっていただき、幅広い分野から11本の論考を寄せていただきました。
 この手の論集は一万円を超える価格となることも多いのですが、弊社では「学生さんでも手が届く価格帯」をモットーにしておりますので、だいぶ頑張りました。
 もちろん、図書館へのリクエストも大歓迎です。
 すでに思った以上の部数を出庫しておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 「版元ドットコム」にて試し読みも公開しております。

「巫術」「占術」は「人類普遍の営み」である

いまだに「迷信」というイメージのつきまとう「巫術」「占術」であるが、その実、古今東西人類普遍の営みであり、そうであるならば学問の対象としての価値は言うまでもない。本書の出発点となった国際日本文化研究センターの共同研究会では、「人類普遍の営み」であることを念頭に、学際的・多角的な検討を掲げ、分野・時代・地域を超えて多くの研究者の参加を得た。加えて、本書を編むにあたっては、共同研究会のメンバーにとどまらず、関連する研究を行っている専門家からも寄稿を得た。中国殷代の甲骨文から始まり、古代・中世の日本列島や琉球、朝鮮のさまざまな占いや巫術を経て、現代の沖縄・横浜中華街の占いに至る11篇の論考により、日本列島を軸とした占術と巫術の空間的・ 歴史的な展開が多面的に浮かび上がる。

目次
まえがき 吉村美香

第1章 古代中国の占術と巫術
●「殷墟卜辞と商の王権」 小南一郎
●「巫・靈・毉・筮」 大形徹

第2章 古代日本の占いとその周辺
●「陰陽道の祭祀、百怪祭をめぐって」 山下克明
●「日本古代の憑依託宣と卜占」 上野勝之
●「祈狩考―古代日本の占いと動物―」 平林章仁

第3章 占術・相術・信仰の受容と展開
●「日本中世初期の都市構造と気脈や地勢を重視する風水思想との関わり
―平清盛の福原・源氏将軍の大倉御所・後鳥羽院の水無瀬離宮―」 豊田裕章
●「大雑書の易をめぐる書林の動き」 奈良場勝
●「琉球の『観音霊籤』」 山里純一

第4章 占いと巫術の現在
●「沖縄シャーマニズムにおける巫術・占術の変容と展開」 塩月亮子
●「横浜中華街における占い店舗の集積と占いの受容」 中町泰子
●「東アジア三国における『霊棋経』の存在様相」 吉村美香

著者一覧

 次は秋も深まった頃、志学社選書の新刊をお届けする予定です。

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