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感情をめぐる、ファンタジー

最近(でもないですが)、こんな漫画を読みました。

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『クジラの子らは砂上に歌う』梅田阿比

砂がすべてを覆い尽くす世界。
砂の海に浮かぶ巨大な漂泊船‟泥クジラ”で暮らす人々の多くは、感情を発動源とする超能力‟サイミア”を操る短命の種族だった。
「外界から閉ざされた‟泥クジラ”で短い一生を終える―」
その運命を受け入れる少年チャクロは、ある日突然漂着した廃墟船の中で一人の少女と出会う―。
第1巻裏表紙より

ファンタジー漫画です!
ボニータコミックス(秋田書店)ということで、ジャンルは少女漫画になります。

系統でいうと、『進撃の巨人』や『約束のネバーランド』などに代表される、「世界の謎解き明かし系」(そんな言い方するのか分かりませんが)かなと。

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これが、主人公・チャクロたちが生活している漂泊船‟泥クジラ”なんですが、ご覧の通りとにかく独特の世界観なんです。

チャクロは記録係と呼ばれる仕事をしており、感情豊かに、その日船で起こった出来事を毎日手書きで記録しています。感情を発動源とする超能力‟サイミアですが、チャクロは無印を呼ばれる存在のため、この能力を使えません。

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チャクロは、ある日突然漂着した廃墟船の中で一人の少女・リコスと出会うことで、船の外の世界の存在を知ります。

リコスは感情を失った少女。その理由は、、

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人間の感情を食べる魂形(ヌース)と呼ばれる生き物に、リコスも感情を食べられているようです。チャクロの住む泥クジラの外の世界の人たちは、感情が希薄で戦争を続けている。

分かりやすい展開でいえば、「感情を失ったリコスが、豊かな感情をもつチャクロたちを理解していくことで、感情を取り戻していく」みたいなことなんだと思いますが、そういうことじゃないです!(もちろん、大きくはそうした展開ではありますが)

僕が面白いなと思ったのは、登場人物それぞれが生き方を探し求め、己が哲学を貫く「群像劇」だということです。

それは、分かりやすい勧善懲悪ではなく、それぞれの感情の交錯。なので、チャクロたちの敵対勢力のキャラクターたちにも、愛着がもてたり、感情移入できたり。

物語としては、登場人物たちが救われないことが多く、辛い展開が続くことがままあるので、「はやく救われてほしい」と思って、次々にページをめくりました。笑


SF作品なので、あまり書きすぎるとネタバレになっちゃうのでアレですが、僕はこの漫画を読んだとき、すごく面白くて、1~10巻まで一気に読んだことを覚えています。

大阪の枚方市駅前に「枚方T-SITE」があると思うんですが、そこの近くに2年前くらいにできた「GOEN LOUNGE&STAY HIRAKATA」というオシャレ系のゲストハウスがあって、そこに泊まったときに、近くのTSUTAYA(T-SITEですから)で『クジラの子らは砂上に歌う』1~10巻を借りてきて、夜中ずっと読んでました。

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ちなみにですが、『このマンガがすごい!2015』オンナ編で10位にランクインして、2017年にアニメ化、2018年に舞台化もされているそうです。

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