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フィンランドの旅vol.8:中央省庁の意志

フィンランド訪問4日目の最初は、Ministry of Education and Culture(教育文化省)。スピーカーはHenni Axelinさん。

ユースワークの政策

ユースワークに関わる団体には下記のような分類があります。

①national youth organisation
②national youth work organisation
③national youth work centre of expertise

これまでに紹介したアリアンシは②、ヴェルケは③に該当します。

フィンランドのユースワークの年間予算は約77,000,000ユーロで、全国の青年組織の運営費として18,600,000ユーロが割り当てられています。

リサーチの予算もあり、ユースワークに関する統計は、Nuorisotilastot.fi(若者の統計)にまとめられています。

国のユースワークや若者政策は、4年ごとにユースワークに関する情報を各分野を横断して集約し、ガイドラインを設定します。その策定プロセスにおいては、各省庁に限らず、現場のユースワーカーや若者自身の声も吸い上げています。

学校とユースワークの壁の謎

教育文化省は「教育(Education)」と「科学文化(Science and Culture)」の2つの分野に分かれています。

学校教育は「教育(Education)」の方に、ユースワークは「科学文化(Science and Culture)」の方の分野に属しています。

図1

両分野は、それぞれ異なる大臣が所管しており、訪問初日にヘイキが言っていた「学校とユースワークの間には壁がある」という話は、こうした縦割り行政によるものと考えられます。

とは言え、分野を横断した協力はYouthAct(若者法)の原則とされていて、学校とユースワークの間の壁は大きなものではないという認識のようです。

他方、フィンランドの多くの人が現行の教育システムを良いものだと思っているので、ユースワーク側からの提案を全て受け入れるというのは(現状維持バイアスによって)難しいとも言えるようです。

社会的包摂とは

YouthAct(若者法)の目的、その一丁目一番地は

promote the social inclusion of young people and provide them with opportunities for exerting an influence in society;

とのことで、端的に切り取れば「社会的包摂」です。

包摂されている状態って、皆さんはどんなイメージをされますか?

Henniさん曰く、社会的包摂のあるべき姿は、若者が教育やトレーニングを受けているなど「何かをしている状態」をいうとのこと。

加えて

どの若者にも一人の信頼できる友達と大人がいる

ことが大切だと言います。自分が信頼できる人に、自分の気持ちを打ち明けることができる。たしかに、そういう社会関係資本があると、包摂されているのかもしれません。

また、Henniさんたちが今気になっている数値は、若者(15~28歳)の5.4~9%の若者が引きこもり状態になっていると推計されていることで、アウトリーチなど専門特化された施策を講じています。


ポイントは、このあたりかなと思います。

①ユースワークにおいて社会的包摂は一番大切
②近年は引きこもり問題に焦点が当たっている
③セクターの横断・協力が重要である

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