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「これからも関わっていきたいと思える人に出会えた」ゼミ生インタビューvol.3 五味ゆりなさん・岡章太郎さん

自分らしい地域とのかかわり方を模索するオンラインゼミ「滋賀ゼミ2020」。
2020年は、滋賀県の「高島市椋川」と「多賀町」を舞台に8名のゼミ生が参加し、地域に向き合い、アイデアを考えました。

この記事では、ゼミの参加者にインタビューをして、「ゼミを受けて、どう変わったか?」それぞれの視点での気づきを深掘りしていきます。

今回はチームになってアイデアを考えた、五味ゆりなさんと岡章太郎さんにお話をお伺いしました。

第3回目
五味ゆりなさん(25歳)(写真右下)
栃木県出身・東京都在住
現在は総務省で勤務
岡章太郎さん(19歳)(写真左下)
滋賀県草津市出身・石川県金沢市在住
現在は金沢大学で地域創造学類を専攻

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ー今回、滋賀ゼミに参加しようと思ったきっかけは何ですか?

五味さん:
私は、普段東京で総務省で働いていて、地方自治に関わる仕事をしていています。1年目に滋賀県庁に出向したことがきっかけで、滋賀県のファンになりました。出向していた13ヶ月の間に、滋賀県の全ての市町村を回ったんですが、その時に滋賀県の人々や自然に魅了されて。
出向期間が終わってからも、東京にいても滋賀に関わり続けたいなと思った中で、滋賀ゼミを知りました。フィールドワークをしながら滋賀県の地域に入り込めるというところにすごく魅力を感じて、参加を決めました。

ー滋賀県に赴任していた中で、印象に残っている出来事はありましたか?

五味さん:
印象に残っている出来事は沢山あります!私はfacebookで、滋賀県で色々な活動をされている方にメッセージを送っていたのですが、皆さんすごく熱心に滋賀県のことを教えてくださって、それが1番嬉しかったです。13ヶ月の中で滋賀県のことを沢山知れたのは、メッセージに返信をくれた方々のおかげだと思っています。今後もずっと恩返ししていきたいなと思っています。

ー五味さんの真っ直ぐで積極的な姿勢、私も見習いたいです!岡さんは、どういった経緯で滋賀ゼミに参加されたんですか?

岡さん:
僕は今、金沢大学の地域創造学類で、まちづくりを中心に学ぶ分野にいます。その学類の特色として、大学2年生でまちづくりのインターンシップにいくプログラムがあるんですが、昨年はコロナウイルスの関係で中止になってしまって。
今後も、「フィールドワークやインターンシップに行って実際に活動する」ことができない時期が続いてしまうかもしれないと感じたので、滋賀県出身の友達を誘って、滋賀ゼミに応募しました。

ー以前からまちづくりに興味があったんですか?

岡さん:
そうですね、高校生の頃に「大学生になったらどういうことがしたいんだろう?」と考えた時期がありました。語学など色々なことに興味があったのですが、最終的に行き着いたのが「まちづくり」でした。

今までの先入観と、フィールドワークの難しさに向き合いながらのゼミ受講

ーゼミを受講した感想を教えてください。

五味さん:
滋賀県に関わりたい思いはずっとありましたが、どうやって地域に入り込んだらいいか分からなかったんです。1回きりの関わりや観光で滋賀県に行くのは簡単なんですけど、どういう視点を持って地域に入ったら良いのかというのが本当に何もわからない状態でした。
その中で、ゼミで「デザイン思考」を教えてもらって、地域を深掘りする視点を知ることができて、勉強になりました。

岡さん:
僕は、ゼミの参加者の中でも最年少で、まだ大学1年生で経験も少なかったため「自分は滋賀ゼミを通して何ができるかな?」ということを考えながらゼミを受講していました。
デザイン思考やアイデアの考え方を学んだ上でフィールドワークに行ったんですが、いざフィールドワークに行ってみると、「フィールドワークで何かを見つけないといけない!何かを聞き出さなきゃ!」という思いが強くなってしまって、から回りしてしまう場面もありました。

ーデザイン思考を学んだ上で、地域の方とのコミュニケーションで気をつけていたことはありますか?

五味さん:
私は、自分の先入観を崩しながら椋川の皆さんに質問することを意識していました。というのも、椋川の皆さんと話していく中で、自分の中に地域に対する先入観があったことに気がついたんです。
フィールドワークに行くまでは、地域を俯瞰的に捉えることが多かったんです。なので、椋川という地域も「限界集落のひとつ」として捉えていたんですが、椋川の方と1対1で話した時に、自分は地域をone of themで捉えてしまっていたなと気づきました。

ー最終的に、フィールドワークで見つけた気づきからアイデアを作り上げたと思うのですが、アイデアを作り出す時に工夫した点はありましたか?

岡さん:
ゼミ講師の岩嵜さんに細かくプロセスを教えてもらいながらアイデアを作っていきました。まずは、フィールドワークであった事実をまとめて、そこから気づきを出し合って、アイデアを作り出して……という形で、段階を踏みながらゼミを進めてくださったので、とてもやりやすかったです。

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▲フィールドワークの様子

ー2人ともゼミの中で濃密な時間を過ごされたのがとてもよくわかります。ゼミの中で印象に残っている出来事はありますか?

五味さん:
フィールドワークがすごく楽しかったです!実際に地域の人に話を聞いたり、古い写真と地域を見比べたり……地域の生の話を聞けたのは、嬉しかったし楽しかったです。
難しかったところでいうと、「アイデアを具体化する」という工程に苦戦しました。アイデアの核はすぐに出たんですが、どうやって具体化したらいいのかが分からなくて……。今回プレゼンした「山焼きをイベント化する」というのは、実は私が発案したアイデアではなくて、椋川チームのみんなのアイデアからヒントもらったんです。自分1人だけじゃ辿りつけなかったアイデアを作ることができました。

岡さん:
僕は、ゼミ生同士でアイデアや気づきを深掘りすることがとても楽しかったです。フィールドワークに行った後、楽しかったことをみんなに共有したり、ゆっくり時間をとって深める作業がすごく楽しかったです。
あと、五味さんが言っていた山焼きのアイデアは、実は私が提案させていただいていたアイデアだったんです。こういった形で、自分が考えた案が採用されて、実際に今月イベントを実施するところまでいったというのは、自分としてはとても嬉しいなと感じています。

1人ではなく、チームで動いたからこそ実現したアイデア

五味さんと岡さんは、「焚き火×トーク配信」と「山焼き実行委員会」の2つのアイデアを考えました。椋川地域に触れる機会を増やすこと、継続的な活動を行うことに焦点を当て、オンラインとオフライン両方のアプローチを提案しました。

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▲五味さん・岡さんのプレゼンテーション資料

ーもともと2人は別々に行動されていたと思うのですが、チームで発表することになったきっかけはありましたか?

岡さん:
ゼミの後半で、アイデアをどういった形で詰めていきたいかを考える場面があって。僕と五味さんどちらも山の活用について興味を持っていたこともあり、運営の深尾さんから「チームで動くのはどうか?」という提案がありました。

五味さん:
岡さんとは、もともとゼミのグループワークで一緒になることが多くて、そこでも山の話で盛り上がっていたんです。なので、岡さんと打ち解けるのには時間はかかりませんでした。

ー2人でアイデアを考えてみて、いかがしたか?

五味さん:

本当に岡さんに助けられました。仕事が立て込んでいた私に代わって、岡さんがプレゼン資料の骨子も作ってくださって。2人で時間を合わせて作っていくのは大変だったんですが、打ち合わせも毎回気づきだらけでとても楽しかったです。

岡さん:
2人で打ち合わせをする中で内容を深めながら進めていきました。たまに雑談もしながら、和気あいあいと進めることができました。五味さんがリードしてくださったおかでで、自分のやりたいようにやらせてもらった時間がとても多かったと思います。

ーお話を聞いていても、2人の団結力が伝わってきます。それぞれの長所がうまく合わさった感じでしょうか?

五味さん:
岡さんは、とても分析力があるんです。私はどちらかというと、想いや情に重きを置きがちなのですが、岡さんは「どうやったら伝わりやすいのか?」など、細かく分析してくれて。もともと私はアイデアを具体化するのが苦手なので、自分だけじゃ形にできなかったと思いますし、チームで動けたからこそ、今後も滋賀ゼミの皆さんと関わり続けたいと感じました。

岡さん:
五味さんの素晴らしいリード力と情に厚い部分、本当に大尊敬しています。僕は、本当に五味さんに出会えて良かったと思います。僕は、野球などのチームスポーツをやっていたこともあって、みんなで何かを成し遂げる作業がすごく好きなんです。なので、チームでやれたことが、自分のモチベーションにもなっていました。

これからも一緒に関わっていきたい「人」に出会い、地域に関わることができるゼミ

ー今回、ゼミに参加してみて、滋賀県のイメージに何か変化はありましたか?

五味さん:

自分で滋賀県を回っていた時は、若い方や移住されてきた方が中心に活躍されている地域を訪れることが多かったのですが、椋川の地域は少し違って。
椋川では、移住されてきた是永さんだけではなく、椋川集落のまとめ役である井上四郎太夫さんをはじめとするずっと地域に住まれている方々も含めて、地域のあり方や将来のことを考えられていたんですよね。移住者の方と地域の方が一丸となって地域の将来を考えられている、そういった地域は初めてみました。今回のゼミで、椋川の地域に入り込むことができて、より顔の見える地域が増えました。

ー今回、ゼミを通して、自分自身の中で変化はありましたか?

岡さん:
五味さんと関わっていた部分も大きいかなと思うのですが、フィールドワーク後からは、人を知ろうとしたり、自分から動いてみる機会がすごく増えました。
僕は金沢でも色々な活動をしているんですが、自分で動くことで軌道に乗り出したことが沢山あります。思い切って動くことで、いろんな人と繋がれましたし、今度初めてテレビに出る機会ももらえたんです。

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▲岡さんは「Finding ゴミ」という団体で、海岸や街中でのゴミ拾いの活動を行っています。ゴミ問題に実際に触れ、その実態の深刻さを参加者自身の体で実感することを大事にしている団体です。

五味さん:
私は、自分が生きる中で、仕事と家庭以外で、柱を何本も持っておきたいと考えています。これまでだと、NPOボランティアをしたりも。その中で、滋賀県も大きい柱として関わりたいとずっと思っていたんです。
今回のゼミで、自分が地域に関わるというあり方を導いてもらいました。滋賀ゼミに参加したおかげで、自分の柱が1つ増えました。

ーたくさんの学びがあった滋賀ゼミ、どんな人に参加してほしいと思いますか?

岡さん:
「滋賀県に興味がある人」というのはもちろんなのですが、今回参加して得られた大事なものの1つが「人」だったんですよね。
若いうちにこんな素晴らしい方に出会えて、これからも関わりを持って一緒にやらせてもらえることになって、本当に嬉しいです。あと、自分の将来を思い描いた時に「この人たちと一緒にやっていったら面白いんだろうなあ」って感じるんです。
なので、「自分が将来関わっていきたいと思える人と出会いたい人」に参加してもらいたいです。

五味さん:
滋賀ゼミの広告や、webサイトを見た人は全員受講した方がいいと思っています!!!というのも、地域を訪れて純粋に楽しみたい人にとっても、デザインシンキングを学びたい人にとっても、どんなモチベーションを持つ人にとっても面白いゼミだと思うんです。
あえて特筆するのであれば、「地域に観光以外で関わりを持ちたい人」にとってはとても良い経験になると思います。県内外の人がこんなふうに集まる機会はなかなかないので、地域+αで次つなげていきたい人にとってはより素晴らしい場になると思います。

ーありがとうございました!

それぞれの想いを持ちながら、滋賀ゼミに参加された五味さんと岡さん。育った環境や年齢は違っても、2人の想いが重なる部分がうまく作用してこのアイデアが生まれたんだろうなあと感じました。インタビュー中も2人のポジティブな雰囲気が充満していて、チームで動くことの楽しさを教えてもらった気持ちになりました。五味さん、岡さん、ありがとうございました!(インタビュー・テキスト 南 歩実)

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