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「東京に居ながらでも、地域に対して何かアクションできる形を生み出したい」滋賀ゼミ運営者インタビュー

自分らしい地域とのかかわり方を模索するオンラインゼミ「滋賀ゼミ2020」。
2020年は、滋賀県の「高島市椋川」と「多賀町」を舞台に8名のゼミ生が参加し、地域に向き合い、アイデアを考えました。

この記事では、ゼミの運営者である中山さん、深尾さんにゼミへの想いをお伺いしました。

中山 郁英さん(34歳)(写真下)
滋賀県長浜市出身、東京、愛知などを経由しUターン
現在は一般社団法人滋賀人理事。また自身で合同会社kei-fuを立ち上げ地域に関わる仕事を行う。
深尾 善弘さん(31歳)(写真左上)
滋賀県近江八幡市出身、別府、東京を経てUターン。
現在は一般社団法人滋賀人代表理事、MOP Labo Shiga Ryuo コミュニティマネージャー、SNACK- HYPHEN-経営。

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ーまずは簡単に自己紹介をお願いできますか?

深尾さん:
5年前Uターンで滋賀県に帰ってきました。今は近江八幡を中心にコミュニティ運営などの仕事をしています。滋賀県が、一度県外に出た人が帰って来やすい街になると楽しいんじゃないかなと思っていて、それの実現に向けて仕事をしています。
今は、住所非公開の密談をするスナックの運営やコミュニティスペースの運営をメインで仕事をしています。

中山さん:
4年前にUターンで滋賀県に帰ってきました。今は長浜市に住んでいて、カフェの運営や地域の資源を活かした商品開発などを行っています。
自分の中のテーマとしてあるのが「行政と民間企業、市民がどうやって協同していくか」という部分で、行政と市民の間に入ったり、場のコーディネートなどを仕事としてやっています。

ー2人とも地域で様々な活動をされていますが、Uターンする前から地域に関わるお仕事をされていたんですか?

深尾さん:
最初に就いた仕事が農業系の出版社で「農業者同士のコミュニティをどうやって活性化するか」をテーマにした本を扱っていました。その後も地域情報のwebサイトに携わっていたので、一応ずっと「地域」という軸にはいたような気がしますね。

自分の最期を考えた時に、滋賀県に帰ることを決めた

ー県外で様々な仕事をする中で、滋賀県に戻ろうと思ったきっかけは何ですか?

深尾さん:
私は東京で働いていたんですが、通勤電車で子どもが大人たちに挟まれているの見た時に「滋賀県に戻りたいな」と考え始めました。将来子どもができたときに「ここ(東京)で育てるのかな自分……」と感じたのは大きかったですね。

ー中山さんはどのようなきっかけでUターンを考えましたか?

中山さん:
もともと地域には全く関係ない仕事をしていました。大学から東京へ出て行ったんですが、その時も「多分滋賀県には帰らないな」って思いながら東京へ行ったんです。
最初に就いた仕事も自動車メーカーで、当時は海外で働きたいと思っていたので、Uターンの思考はなかったんです。

でも、社会人3年目の時、ふと「自分の最期」を考えた時に「死ぬ時は長浜で死のうかな」と思って。せっかくなら、若いうちに滋賀県に帰って、自分が活発に動いて何かやりたいなと思ったのがUターンのきっかけです。

ーUターンを決意してからは、どのような行動をしたんですか?

中山さん:
東京で、滋賀県出身の若者が集まる会を企画しました。それがきっかけになって、色々な地域の人と繋がりましたね。東京で滋賀県出身の人とも繋がりましたし、滋賀県の移住交流関係の事業の職員さんや市役所の職員さんとも繋がって、そこから地域との交流が始まりました。

ー2人は滋賀人として活動されていますが、2人が出会ったきっかけはどこだったんでしょう?

深尾さん:
中山さんが企画した滋賀県出身の若者が集まる会に、私が参加したことがきっかけです。その時に、中山さんからこれから団体(滋賀人)を立ち上げようと思っているということをお聞きしたんです。参加者の中から何人か団体の件で声をかけられて、簡単に釣り上げられたのが私です(笑)。
「あの魚こっち向かって泳いできよるぞ!」ぐらいの勢いで、釣り上げられました(笑)。

ー中山さんは、当時の深尾さんのことを覚えていますか?

中山さん:
その会に参加してくれた人は40人弱ぐらいいたんですが、その中でも、深尾さんは「何かやりたい」意欲というか、アクティブな感じがすごくあったのを覚えています。一緒に何かやったら進みそうな感じというか。そういうことを感じて、深尾さんに声をかけました。

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当時のイベントの様子

滋賀にゆかりのある人が、滋賀に関われるきっかけを作りたい

ー滋賀人では、どのようなお仕事されていますか?

深尾さん:
滋賀県庁さんと一緒に移住や交流事業の仕事をしています。首都圏を中心に、滋賀県出身の人や滋賀にゆかりのある人が、滋賀に関われるきっかけを作ったり、サポートしていこうっていうことで、移住のイベントを企画しています。

ー滋賀ゼミはどのような経緯で開くことになったんでしょうか?

深尾さん:
滋賀県庁から事業を受託した2017年に「滋賀ゼミ」を初めて開催しました。依頼された内容は、「年間2回(夏と冬)、移住を促すイベントをやる」というものでしたが、イベントだけでは単発の取り組みになるので、その間の期間で実験的に「ゼミ」をプラスした形にしてみました。

中山さん:
東京でも滋賀県出身の同窓会みたいなものってあるんですけど、「故郷を遠くから懐かしむ」みたいな雰囲気の会が多いんです。
そういう同窓会よりも、参加してくれた人が、東京に居ながらでも地域に対してアクションができる形の方が意味のある場になるんじゃないかなと感じて、「ゼミ」にしました。

「参加して良かったな」と思ってもらえるようなゼミの設計を

ー2017年の滋賀ゼミで印象に残っていることはありますか?

中山さん:
私の中では反省が多かったです。「ゼミで出てきたアイデアを次にどう繋げていくか」があまり上手に設計できていなかったなと思います。
なので、2020年に滋賀ゼミを開催するにあたって、同じ過ちは繰り返さないようにしたいなとは思っていました。次滋賀ゼミをやるなら、参加してくれた人たちが「参加して良かった」って思ってもらいたいなと考えていました。

ー滋賀ゼミ2020ではどのようなところに力を入れていましたか?

中山さん:
2017年の滋賀ゼミと内容はそこまで変わりはないのですが、今回は、多賀町と椋川という受け入れ先の地域があったというのは大きな違いだと感じています。参加したゼミ生で、受け入れ先の地域をフィールドワークし、その地域で活動してる人達の話を聞いたり。
また、ゼミ生同士でコミュニケーションが取れるようにというところは前よりも気をつけていましたね。

深尾さん:
今回は、ゼミ生の個別のフォローも丁寧にしたかったので、コミュニケーションには力を入れていました。
こまめにゼミ生に連絡をするようにしたり、連絡する時も、僕だけではなく中山さんにもメッセージのグループに入ってもらって、色々な視点からアドバイスを行うようにしていました。

ー今回滋賀ゼミ2020をやってみて、何か印象に残っていることはありますか?

深尾さん:
ゼミ生の皆さんが本当に良い人たちばかりで、それが本当に嬉しかったですね。参加者の岡さんが「滋賀ゼミの皆さんと将来一緒に仕事したいです」って言って下さったのがめっちゃ嬉しかったです。その時まで私も頑張って生きてないと(笑)。

ーそれはすごく嬉しいですね!中山さんはいかがですか?

中山さん:
印象に残っているのは、発表会後の打ち上げですね。今回、コロナウイルスの影響で、最終発表会もオンラインでやることになってしまったんですけど、最終発表会の後にオンラインで打ち上げをしたんです。
打ち上げでは、僕たち運営メンバーだけじゃなくて、参加してくれたゼミ生もみんな楽しそうにしてくれていて、それがすごく嬉しかったです。打ち上げ自体、当初は1時間ぐらいで考えていたんですけど、結局3時間ぐらい話してましたね。

深尾さん:
中山さんの粋な計らいで、打ち上げの時に滋賀県のお菓子とおつまみセットをゼミ生に郵送したんですよ。

中山さん:
はい、小包を送りました。

ーそれはすごく嬉しいプレゼントですね!

中山さん:
お礼って言ったら変かもしれませんが、みんな熱量を持って滋賀ゼミに参加してくれて嬉しかったので、この嬉しさを小包で返したっていう感じです。

たくさんの人の協力があったからこそできた「滋賀ゼミ2020」

ー思いがたくさん詰まってるゼミだったんだな、というのを感じます。滋賀ゼミを通して、何か心の変化はありましたか?

深尾さん:
今回、滋賀県庁の方から大学生の方に声がけしてもらって、滋賀ゼミに大学生が3人参加してくれたんです。今回の滋賀ゼミは「他の人の助けを借りてできた」部分がとても大きかかったなと感じています。

滋賀ゼミの運営として「やり切った感」は自分の中であるんですけど、「自分の力だけでやり切った」と思う割合がかなり少なくて。今までは「いかに自分がやり切るか」みたいなことを考えていましたが、「自分が」というのを考えなくなったというのが自分の中の変化としてあります。

ー中山さんはなにかありましたか?

中山さん:
今回の滋賀ゼミって、いろんな人に助けてもらったなってと思っています。
オンライン配信のやり方もそうですし、こうやってインタビューをしてもらっているのもそうですし、いろんな人の力を借りて成り立っているなと思っていて。
滋賀県にも東京にも他の地域にも、面白い人が沢山いるので、そういう人たちともっと一緒にプロジェクトをやれたらいいんじゃないかなと思いました。

あと、自分が滋賀県に戻ってきた時に、次に繋いでくれた人がいたなあって思うんですよ。なので、これからは、自分でやることもやりつつ、次に何かやろうとしてる人たちのサポートができたらなと思っています。

ー次に滋賀ゼミを開催する時、何か挑戦してみたいものはありますか?

深尾さん:
今までの滋賀ゼミの卒業生を含めて、全員で何かやりたいなと思っています。もし、今回のゼミ生の方で、運営を一緒にやりたいという人がいたら、一緒に運営をやっていきたいなとも思ってます。今、今後どう進めていくかを色々と考えている最中です。

ーすごく楽しみですね!中山さんはなにか挑戦したいことありますか?

中山さん:
もっといろんな人が運営に関わってくれるようになると良いなと思っています。
自分たちの周りには、色々なスキルを持った人たちがいるな思うんですよ。だから、そういう人たちと一緒に運営をしていければ、もっといいものができるんじゃないかなと感じます。
滋賀人として考えても、人との繋がりが1番の資産だなあというふうに常々思っていて。これからも、深尾さんと僕だけじゃなく、いろんな人に頼りになりながらプロジェクトを進めていけたらと思っています。

今回、滋賀ゼミのことだけではなく、Uターンの経緯や滋賀人立ち上げ時のお話まで幅広くお話を伺いました。インタビュー中、「これから滋賀県に帰ってくる人」へ向けたお話が多く、自分中心ではなく、周りにいる人たちを大切にしている姿勢が、とても印象的でした。
私自身も滋賀県出身で、一度県外に出た経験があるのですが、滋賀人の存在のおかげで「滋賀県に帰ってきてよかったな」と、とても感じています。滋賀ゼミ2020の繋がりの輪が、これからもっと広がることを祈っています。
中山さん、深尾さん、ありがとうございました!(インタビュー・テキスト 南 歩実)


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