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司法書士試験記述式3ヶ月攻略法!データ・採点方法・勉強法完全解析

割引あり


はじめに

 今回は司法書士の記述式試験について様々な角度から詳しく説明したいと思います。私は令和四年の司法書士試験において、記述をわずか3ヶ月ほどの時間で何もわからない状態から本試験で48点を取ることができました。ここでは勉強方法だけではなく、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」のであるから、試験委員が一体どんな方法で採点するかを知ることによって、致命的なダメージを防ぐことができます。
 前回の採点方法分析の内容の拡張とともにデータ分析の話も追加説明し、データ分析→採点方法→勉強方法総まとめの順で説明を展開し、つい司法書士試験記述攻略の最強戦術が出来上がりました!

記述採点される前の話

そもそもなぜ択一基準点があるのか

 皆さんはご存知だと思いますが、司法書士試験では、まず択一の基準点を突破しないと、その時点で不合格となり、記述式を採点してくれないです。
 この理由は簡単にいうと、記述の採点人数を絞るためです。

 司法書士試験の合格者数と受験者数は以下の図のように、H25年前で受験生が2万人以上の時代では800から900人ぐらいで、一番多かったH22年では合格者948人(受験者26985人)なってますが、近年は受験者の減少で600人台となります。令和四年では660人も合格しました。合格率も5%台となりました。
 これは相続登記義務化で、司法書士の人手不足が原因で、司法書士会からの要望だと言われます。これから数年もおそらく受験者数がよほど変わらない限り、同じ水準で推移するでしょう。

 以上から、受験者数はピーク時から半分ぐらい減少し、合格者数が三分の一程度減少したとがわかりました。

 これに対し、択一基準点の突破者数の推移は下の図になります。

択一基準点突破者数=記述採点人数

 一応法務省は平成23年から基準点の発表があるようで、どちらという、基準点突破者数はずっと2000人強で推移しており、受験者数と合格者数の激減に合わせて変化がなかったです。おそらくこの人数分の採点は一番法務省にとって都合が良いでしょうか。
 そうすると、単純に数字的に考えると、以前は上位10%以内に入らないと択一基準点突破できないのに、今は上位20%に入れば基準点は突破できます。したがって、択一基準点の突破が容易になるのは、間違いありません。

基準点の推移

 この図でわかるように、択一の基準点は午前の部大体35問中26問前後、午後は24問前後となります。(一問は3点)
 記述はH27年とH30年以外35点以下です。昔では記述基準点が40点を超えることもありますが、最近数年記述の難易度の上昇と基準点が以前より突破しやすかったため、現在では40点を超えることが中々考えられないです。

 記述の基準点突破者数は毎年の採点者数(択一基準点突破者数)の50%ぐらいで1000人台で安定してますので、ここで一々突破人数の列挙することは割愛します。


基準点突破はただの始まり

上乗せ点とは基準点の合計と合格点の差です

 以上のデータでわかるように、平成23年ごろでは択一基準点を突破した2000人の中で900人前後は合格できるのに、現在は600人台となってます。というわけで、昔では基準点突破者の半分近くは合格できるのに、今は3分の2以上が落ちます。
 そして、基準点突破者の人数どちらもあまり変化していないのに合格者が900人台から600人台まで下がったため、平成27年以降上乗せ点が高騰してます。令和三年では過去最高の27.5点となりました。つまり、択一基準点突破しても、合格はまだまだ遠いです。
 令和四年では前述のように合格者数は司法書士の人手不足の影響で660名となって、上乗せ点も若干下がることとなるが、今後はやはり25点程度となるでしょう、20点未満はよほど特段の事情がない限り今の時代ではなかなか考え難いです。
 いずれにしても、必ず合格したい方は基準点ではなく、択一で基準点プラス20点、記述で基準点プラス5点以上を目指しましょう!

択一で上乗せ点を取りましょう

 今回は記述の説明ですが、高まっている上乗せ点をクリアするために、どうしても択一で上乗せ点を取らないといけないです。まず、下の図をご覧ください。
黄色のところは基準点で、浅いオレンジ色は基準点+10点、濃いオレンジ色は+15点、赤いのは+20点です。


 図のように、記述基準点突破者は50%ですが、基準点+10点取れた方は20%、さらに、+15点を取れたのは10%以下で、プラス20点を取れた方は上位数十名程度です。もちろん、択一でほとんど上乗せ点を取れず、記述が55点ぐらいで合格した方がいらしゃいいます。しかし、これは一年目の受験生にとってあまりにも無理です。一年目の受験生で記述50点以上を取れた方は令和四年合格者の中で私が知っている限り、いないです(笑)。
 それに、択一は一問3点であり、配点が非常に高かったです。記述で上乗せ点を稼ぐよりはるかに楽です。
 ですから、絶対合格したい方は択一で上乗せ点7問分(21点)以上取れるように頑張りましょう!(目標として絶対安全の9問分が望ましい)短期で絶対合格の戦略についてこれはベストです。
 本記事は記述をメインに説明したいと思いますが、以上のデータでわかるように、合格のためにまず択一の対策を怠ってはいけません!そうしないと記述でいくら対策しても合格はなかなか難しいでしょう。
 記述は前述のように半分の人が基準点突破できるですので、そこまでハードルが高いとは言えないですが、やはり基準点ギリギリが危ないので、基準点プラス5点程度以上取れるよう頑張りましょう!記述の点数は択一のできがよくない時の保険でもあります

「絶対合格」のイメージ

 以上は色々データを列挙しました。司法書士試験は合格点突破できれば合格できますし、点数は今後の就職などで関係ありませんので、合格点ギリギリで合格しても全く問題ありません。
 しかし、ギリギリの点数だと、択一もう一問、添付書類もう一つを間違ったら落ちかねないです。そうしたらもう一年頑張らないといけません。人間の記憶とモチベには限界があります。勉強期間が長ければ点数が伸びるわけではありません!
 ですから、十中八九の確率で合格できる能力を身につけ、少し余裕を持って合格することが望ましいです。そのためにも、次からは記述の採点方法を分析し、合格の戦術を後付けします!

【追記】記述の配点変更について

 令和6年司法書士試験から記述の配点が70点から140点になりました。これによって、記述対策の重要性と実務家登用試験の色がより一層高まっていたと言えます。
 もっとも、変更されたのは配点だけで、採点方法などは変わらないと考えます。記述の採点方法を把握して、より効率いい勉強ができたらと思います。


記述の採点方法について

 記述の採点は方法について、法務省は一切公開せず(そもそも標準答案も公開してません)採点基準はどうなるか、配点、得点調整や偏差値など関係あるのか、受験生からは全然わからないです。いつもブラックボークスと言われます。そして、ある予備校の先生は知り合いの試験委員の先生に聞くこともありますが、なんと「国家機密」と言われました(笑)
 辰巳の松本先生などが長年分析をして、ある程度は解明されました。しかし、採点レポートはリアリスティックの全講義を購入するか、開示答案提出の謝礼としてもらうか以外の手段はなく、今更入手したくてもなかなか入手できないです。(私も入手しませんが)
 ここからの話は私が聞いた複数の予備校の先生、実務をやる司法書士の先生、さらに複数の合格者などから話の元で整理し、絶対正しいとは保証できませんが、自分自身の経験も合わせて、ほぼ確実に推定できるもの、信頼性の高いものを皆様に紹介したいと思います。

不動産登記で本当にやばいのは枠ずれそのものではない

 最初に不動産登記の勉強から「枠ずれがアウト」など聞いたことはありますか?枠ずれによって、その後の全部の登記がずれてしまい、結局不動産登記全体が低い点数となり、商業登記の点数も良くなければ記述が基準点落ちになりかねないです。
 しかし、本当に大減点となる原因は枠ずれそのものでは無いです!

 司法書士試験はいつも実務家登用試験だと言われます。多少ずれもありますが、記述は実務で申請書を書くのと一緒です。
 例えば、多くの受験生が悩んでいる名義変更登記の場合、名変登記をすべき場合なのにこれを飛ばしてしまうと、申請書の申請人と登記簿の方の記録する権利者の同一性に齟齬が生じてしまうのです。「申請情報の内容である登記義務者登記名義人…の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。」(不動産登記法25条7号)に該当し、登記は却下されます。
 記述で却下されるようなものを書いたら、同じく却下(0点)となってしまいます。
 これに対し、名変登記を省略してもいい場合ですが、あえて名変登記をしても却下されません。ただその分の登録免許税が無駄になってしまいます。
 試験でも同じように「登記不要」を書いてないことと最も安く、かつ一番数が少ない登記申請では無いことで減点で済まされます。
 ですから、もし名変登記をするかどうかを自信がない場合、名変登記をした方が無難です。(この点、①名変登記をすべき場合 ②名変登記を省略可能の場合で分けて考えますと、まず、全部名変登記をした場合、①は満点で②は減点されます。これに対し名変登記しなかった場合は①は0点②は満点となります。)

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