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依存することと、分かち合うことの狭間で。

15日0時に休業要請を受けて、店を閉めてから一週間が経った。とにかく、身体と感性が鈍ってる。1995年の震災の時には不便だったが、受け入れて前に進もうと思えた。今はスーパーも銀行も開いているし車だって電車だって走ってる。気をつけようと思うのは密集地を避けることとマスクの着用と不自然はあるが、今もあの日に閉めた虚しさだけは拭い去れないままである。営業日を一日たりとも休んだことのない店。できるのにできないジレンマ。

一日置きにはなってしまったが店に向かう。無論開店業務はしないし誰も入れないが、いつもと同じルーティンワークを欠かさないように掃除や準備をする。この騒動がないとやろうと思えなかった、LIVE配信「無観客酒場」もかなりチカラになっている。今は飲みに行けない人、それぞれの場所と交わすことができるというデジタルに、不思議な温かみを感じるのだ。ひとまず5月の6日を目処に隔日「生中継」をやるが、対面の表情を確認しながらの一般営業はまだ先のことかもしれない。大げさに言えばあの震災の時と同じく、止まってしまうと仕様のない不安に駆られそうで怖い。そもそも僕は臆病だ。落ち着きのないのがその証拠であるが、臆病な手探りは続けたい。

現在制度設計中としてはいるが、『兵庫県の休業要請に応じて頂いた事業者の皆様の経営継続支援事業』の概要が発表された。いわゆる支援給付金のことだ。この月末で補正予算案制定後のことなので全て真に受けてはいけないが、休業要請に従った事業者にそれなりの支援があるのは助かる。

我々のカテゴリーは《遊興施設等》【キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、「バー」、個室付浴場業に係る公衆浴場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス等】に含まれる。「社会生活を維持する上で必要な施設」には入らなかったバーに憤り(時代錯誤も甚だしい 緊急事態宣言で判ったBARの曖昧 )を感じてはいたが皮肉にも手当を受けられる。複雑な心境。

そんな中、以前ワインのエチケットデザインの依頼を受けた方より、お気持ちの嬉しいメッセージが届く。飲食店、酒販店向け「新型コロナウイルス対策 ワイン無償提供」の特別な案内、何と送料も全て無料の12本(限定300セット1038万円分だそうだ)が先着申し込みで届くようだ。出処は”あの”三ツ星グループで間違いない。のどから手が出そうになった。しかし、これは他の方に譲ろうと思った。ワインがメインの店ではないし、何よりこれを必要としている人、店がある。無償で受けたものを自分の店で売る行為も、何だか協賛品で稼ぐ店みたいで辛い。もったいないと言われそうなことを目の前にしても自分で生み出したい。できれば、僕だけの足跡の方がいい。

過度の依存は、有事にわかりやすく見え隠れする。マスクを高値で売った人とか、家賃交渉の席に立たなかったとか、不確かな情報を拡散したとか、こっそり自粛や休業を破ってるとか…。そうした情のない事実はいつか騒動が収束を迎えた時に周りに判断されるだろう。それはそれでいい。

分かち合える関係性を築けたのか。
歩み寄れたのか。他を思えたのか。

図らずも訪れる誰かの助けは、意図しないからこそやってくるものだ。

僕には、そんな経験しかない。


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