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【コロナ禍、反対思考のマイノリティ】

雨の降る金曜夜。寒いのか暑いのか、人が多いのか少ないのか、その辺がよくわからないこの頃である。今年いっぱいで撤退の東急ハンズ跡地がどうなるのかとか、駅前建設中の100m級阪急会館ビルの竣工時期が延びたとか、三宮再開発の一部が白紙になったとか、神戸の今はそんな曖昧が目立つ。

コロナ国内感染者数増大に伴い、東京大阪札幌などで飲食店時短営業要請。厳密に言えば生活インフラに必要な食事のできる飲食店に加えて、接待を伴う夜の街、酒類を提供する店にも21時もしくは22時には閉店のお願いとなる方向。今週末から12月中旬、概ね15日から20日間の辛い日々がまた続くのだ。(名古屋の一部地区、茨城にも同様の要請が出た模様)

過去何度もしつこく書いたように、僕の営む「バー」は飲食店には含まれず、生活インフラには必要とされていない夜の街、遊興施設のカテゴリーに入る。21時や22時閉店となれば、なかなか難しい問題が控えている。その時間に終える酒場は不健全、4、5月以来事実上の休業要請だと言えよう。あくまで「お願い」なのでそれぞれの店に委ねられる。とはいえ、まぁ辛い。

この国の気質は真面目で勤勉だとは思う。ただ、マチへ繰り出す人手は、国策GoToトラベル、GoToイートによるディスカウントとクーポン目当てが大半であった。無論、純粋に旅に飢えていた人も多く、外食も気晴らしにもいいタイミングだったのだろう。問題は、国が行ってもいいと言うからと、真面目にルールを守ろうとする気持ちを家に置いてしまい、気の緩みを見せたことであった。タガが外れ、如何にも流されてしまう人もいた。

流行りのアニメなどに見られる、ブームに隠れた愛のない転売も増える。作者や関わった人々の思いなど関係なく、無情な取引は続く。そしてコラボ商品に群がり、その品が何だったのかを詳しく覚えていない広告逆効果は、プロモーションに関わる身の僕の生業からすれば、CMとは何か?ブランドとは?デザインとは?と問いかけもするし、売上げ至上主義に隠れる「記憶に残らない商品」に同情すら芽生えた。売上には貢献したとしてもモノづくりの過程が失せたプロモーションなど、記憶に刻まれない消費でしかない。この国のコマーシャリズムは、ほぼキャンペーン化した。

クリスマス時期や年末年始商戦を避けた施策とはいえ、これから益々、リサイクルショップに大量の厨房機器家具什器が増える。廃業を余儀なくされた店から持ち込まれる数だけテナント募集も目立つ。見通しは明るくない。


…っとまぁ、大多数の意見や考え方はそんな中にあるのだが、僕のネガティブ思考が増幅するかと言えばそうでもない。僕はこれらの話を繁華街を離れた路地裏から眺めている。路地裏は俯瞰であり、足跡も紛れない場所だ。

看板を出さず、宣伝もせず、駅前でも人通りがある路面店でもなく、ましてや表通りから中が見える店でもない。「神戸の仕組みを知らない人間」が始めた店は、神戸の震災の年から今もなお見事に反対思考の場所にいる。

無論、一連の騒動は対岸の火事ではない。神戸にも目の前にそれは見えている。そうなれば身勝手で中途半端な営業をするよりも、未来への姿勢を見せて潔く準じるつもりである。また、オンライン無観客酒場だってできる。
皆が笑ってる時にもがき、皆が苦しい時に笑っていたい。それが性に合う。

開けて人が来ないと嘆くより、閉めて未来を抱くのだ。

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