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日本人の領民的思考

2020年7月2日

宮台真司もラジオで言っていたけど、日本人は組織に依存し組織に忠誠を誓う。しかし組織全体の利益よりも個人の利益を優先する。例えば会社の中で有能で目立つ人間の足を引っ張ったり、新人を苛めたり。。
この日本人病は社会全体にも広がっている。違う組織や集団の共存によって国の発展をはかるべきなのにそうはせず、それらを潰そうとする。
つまり意識が江戸時代の領民のままで、公のことは全てお上がやるので、自分はそれについて考える必要はない。
お上に言われたことに従う以外のところでは、自分の個人的な欲求や感情に極めて忠実に行動するのである。

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日本人、特にネトウヨのような者たちを理解するためには、400年前まで時代をさかのぼる必要があります。

1603年に徳川幕府を開いた徳川家康は、日本を安定的に統治し、徳川の世を末永く維持するために、厳しく緻密な統治システムを構築し、それを日本のすみずみにまで行きわたらせました。
そこでは大多数の人民は「領民」であり、地方の行政官や地主である「領主」に仕える民でした。領民たちにとって最も重要なことは、世の中の秩序を乱さないことです。特に領民たちが政治や統治に関わることに口を出すことは厳しく禁じられていました。

この統治機構のおかげで国内の大きな反乱に会うことなく、徳川幕府は250年以上続きました。
しかし1868年、一部の武士たちが起こしたクーデターにより、徳川幕府はあっけなく瓦解します。長きにわたる独裁により政権が堕落して弱体化していたことと、秩序維持を重視するあまり社会に必要な変革が起こらず日本全体が時代遅れになって世界の潮流から大きく遅れてしまったためです(まるで今の日本のようですね)。

新しく生まれた明治政府により、かつての領民は日本国民となって多くの自由と権利が与えられました。
しかし明治政府にとっても日本全体の安定した統治は大きな課題でした。新しく出来た明治政府には徳川のような権威がないため、国民の反乱を招きやすいと危惧したのです。
そこで明治政府がとった方策は、天皇を徳川に代わる新たな権威とすることでした。天皇は日本の主権者たる君主であり、日本国民は天皇に忠誠を誓う臣民であるとしたのです。
国民にとっては、忠誠を誓う相手が徳川から天皇に代わった訳です。

新政府による日本の統治はうまくいき、それほど大きな紛争や内乱が起こることもなく安定した世が続き、日本は近代化に成功しました。
そしてアジアへの拡大政策をすすめ、立ちはだかる大国ロシアとの戦争にも勝利しました。
しかし1945年にアメリカとの戦争に負け、75年以上続いた天皇を君主とした大日本帝国は終わりました。
戦勝国アメリカにより日本に民主主義がもたらされ、日本国民には民主主義国家の主権者としての自由と権利が与えられました。

ここまで駆け足で400年間の日本の歴史を見てきました。前述したように日本に劇的な変化をもたらしたのは、1868年の明治維新と1945年の敗戦です。そしてその両方が大多数の日本人にとっては、自分たちが主体的に起こしたものではなく、ある時に突然天から降って来たものだったのです。圧政の苦しみも侵略の痛みも知りません。そのため日本人は自由と権利、民主主義に対する理解が極めて乏しいのが実情です。

そして現代においてもなお、江戸時代の領民と同じように、公(おおやけ)のことはお上(かみ)がやることで、自分たちが係わるべきものではない、と考える者たちが多いのです。このような領民的な考えを持つ者たちは、主体的に自分の頭で考えて合理的な答えを出すということが出来ず、権威や権力者の言説に盲従してしまいます。
そして公のことを考えないということは、社会全体の利益を考えず、自分の個人的な欲求や感情を優先してしまうということでもあります。

これらの理由から、領民的日本人は自らの自己評価の低さと劣等感を癒してくれるナショナリズム(国粋主義)に簡単に染まり、それに依存してしまいます。
そして権威や権力者の言うことに盲従し、自らの攻撃本能を満たすために排他的発言や差別発言などを繰返すのです。

実に困ったことであります。



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2020年7月3日
在日外国人の帰化に関して、「国に感謝すべきである」という意見が見られますが、これは多くの日本国民の意識が江戸時代からあまり進歩していないことの現れであると考えます。
彼らの意識の中では、国は主権者であり領主です。そして自分たち国民は、国=領主に仕える領民なのです。国民=領民の自由と権利は国=領主から特別に与えられるものなのです。

彼らにとって帰化という手続きは、領主がよそ者(外国人)を自らの領民として認め、自由と権利を与えたという意味になります。よって帰化をして日本国籍を取得した者に対しては、「国=領主様に感謝すべきである」という発想になる訳です。

当然ですが日本以外のほとんどの先進国では、国の主権者は国民であり、国民は普遍的な自由と権利を持つとされています。
そして帰化というのは、先進国が移民に提供している、ごく一般的なサービスです。「移民と帰化が国と国民にとって有意義なものである」という認識があるので、このサービスが存在しているのです。誰が誰に感謝すべきというたぐいのものではありません。

日本以外の先進国の移民や帰化についての考えは以下のようなものです。
「国の発展と国民の幸福の実現には、国際化と多様化、ヒューマニズムが不可欠である」よって欧米を中心とする先進国では、移民を積極的に受け入れています。
添付した画像は主要国の「移民比率」と「1人あたりGDP」「幸福度」の世界ランキングをまとめたものです。また移民比率と他の2つの指標との関係を相関グラフで表しました。

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先進国の多くの移民比率は概ね10~30%ですが、日本は1.8%、世界ランキングは199ヶ国中137位という低さです。
またグラフから移民比率の高い国ほど、国の豊かさを表す「1人あたりGDP」と「幸福度」が高い傾向があることが分かります。

ネトウヨたちはよく「在日特権を許すな」と言います。元在日の私からしても一体何が特権なのかさっぱり分かりません。しかしウヨたちにとっては、自由と人権は国=領主から頂いた特別な権利なのです。日本国籍を有しない外国人がこれらを享受していることが特権という訳です。先にも書きましたが、現代の先進国を中心とする世界の共通の価値観は「自由と人権は全ての人間が普遍的に持つ権利」です。

しかしながら世界には独裁政権が、人民の自由と権利を管理し、厳しく制限している国もあります。それらの国の移民比率は総じて極めて低いのが特徴です。ウヨたちの考えを実践している彼ら彼女らの理想の国と言えるでしょう。ウヨたちは全員まとめてそれらの国に亡命することを強く勧めます。

(関連)
「ネトウヨを中国に送ろう」https://note.com/shig_matsuoka/n/nd1eb3519ff7d

「日本の移民比率と、豊かさ・幸福度との関係」
https://note.com/shig_matsuoka/n/n2ad4c1a15dde

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2020年7月7日
日本人の礼儀正しさは個人に「徳」が備わっているからではない。自分がいかに社会の秩序を守る良い領民であるかを、お上にアピールしたいだけ。つまり「得」の現れである。
だからお上の目の届かない所では、自分勝手で傍若無人な振る舞いを見せる。
それでも世界一臆病な民族なので外に出しても1人であればおとなしい。しかしこれが団体になると最悪だ。特に酒など飲ませると、さかりのついた野生動物並みにやかましく、迷惑極まりない。昔から海外で日本人団体客の素行の悪さは有名だった。。

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(関連)
「役所の紙書類至上主義と秩序遵守の精神」
https://note.com/shig_matsuoka/n/n4dd410d3e30f