Activision買収による影響 CoDを中心に
(この記事は5600字、約15分で読めます)
昨日23時に重大なニュースが飛び込んできました。
Microsoftが Activision Blizard を買収
これは様々な面で話題を呼びました。
まず、買収規模が 697億ドル、日本円7兆8700億円 という規模であり、大規模な案件であること。
次に、買収される側のActivision Blizardは昨年夏からのセクハラ問題などの社内問題が取り沙汰されていたが、昨日の間に社内問題に関する解雇などの処分が発表されたばかりだ。
https://news.livedoor.com/article/detail/21526315/
”火中の栗を拾う”ことになるできごとは、様々なことが考えられます。
そのことについて、明かされている事実は少ないものの、CoDこれからについての影響・予想も書いていこうと思います。
あくまで推測の域をでない話なので、事実と誤認しないよう注意して読んでいただきますよう、お願い致します。
マイクロソフト側の視点
明かされている情報を述べていくと、11月から買収の話があったこと、2023年6月に買収が完了するとのこと。
CEOのBobby Kotick氏はひとまず留任とのこと。
買収完了するまでのの間は、独立しているため、CEOのBobby Kotick氏の進退はそのときまでそのままだろう。
ただ、責任問題があり、また火中の栗を拾うマイクロソフトとしてみれば、再スタートの意味でも彼の処遇問題は最重要事項である。
マイクロソフトの戦略としては、ゲーム関係で買収を進めており、昨年にはスカイリムやFALLOUTシリーズを提供しているゼニマックス・メディアの買収が完了したところだ。(Wikipedia参照)
立ち消えましたが、ゲーマー向けのコミュニケーションアプリであるDiscordの買収話もあったくらいには、注力している。
その点で言えば、今までマインクラフトのMojang、ゼニマックスと比べても規模は桁違いだ。それは、買収金額でも物語っている。
いくら社内問題で落ち目だといっても、従業員数は1万人弱。マイクロソフトと比べて小さくても、一般的には規模は大きく、社内改革が成功しなければ、損するばかりであり、買収が成功しないという問題もある。
有力タイトルと人員だけ引き抜き、他は解体するとなれば、その労力は少なくなる。
その意味で、リストラ(事業・組織改編)は確実であり、買収によるメリットともデメリットともとれる要因だ。
その中で、ゲームのプラットフォーム問題が絡むとより見通しが困難だ。
もちろん、マイクロソフトはゲーム機としてXboxシリーズを展開し、+αでPCでもゲームを展開している。
そのため、有力なソフトコンテンツをXbox・PCで独占すると、ゲームをするためにXboxを購入する、ゲーミングPCを購入する。
そうすれば、ハード面でも必ずマイクロソフトの売り上げが増えることになる。(ゲーミングPCは、PCのOSのほとんどがWindowsという点)
現時点で、Xbox Game PassへのActivision Blizard作品の追加は、ほぼ予測されている。
ただ、発表時点でゲームユーザー向けへの配慮のコメントもされているため、すぐさま独占へ進むとは考えづらい。
ゲームタイトルごとに考えると、
Call of Duty、Overwatch、Diabloについては、マルチプラットフォームで販売されている。
プラットフォームごとのユーザー数を知る方法はないが、PS機のユーザー比率が低ければ独占も十分に考えられる。
ただ、Call of Duty、Overwatchはさらに考える必要がある。それは、どちらもActivisionの下eスポーツとしてプロリーグを持っていることだ。
eスポーツの市場は拡大傾向にあり、eスポーツだけでも収益のチャンスが十分にあるのだ。幅広く収益をあげるためにマルチプラットフォームを維持することは、十分意味のあることだ。
そのため、ゲームプラットフォームの問題は、ゲームタイトルごとの営業戦略次第(利益重視か、売り上げ・ユーザー数重視か)になる。
こればかりは、正解というものはなく、マイクロソフトがどう考えるかという企業判断に委ねられる。
以上、マイクロソフトとしては格好の素材を得た形となり、生かすも殺すもマイクロソフト次第だが、プラスの面は大きい。
もちろん、買収金額に見合っているかは専門家ではないため、わからない。
それでも、過去最大金額の買収、そして世界第3位になるというシグナルはマイクロソフトの本気度が見られる。
少し話は逸れるが、現在世界第2位のソニーは、この日大幅に株価を下げている。お互いに主戦場としている北米市場において、マイクロソフトが強くなり、競争力が下がったとみてマイナスの評価がされたとも言えます。
Activision側の視点
買われる側の視点はいたって単純だ。
まさに、渡りに船 なのだ。
セクハラなどの社内問題により、ゲーム開発に様々な支障が出ている。
overwatchとDiabloの新作は販売延期になっており、販売延期にしなかった、Call of Duty の新作は、調整の粗さが目立っている。
また、overwatchとCoDの両方のプロリーグで、スポンサーが撤退する出来事が発生してしまっている。
ある意味、自浄作用が効かないことを示しているかもしれないが、悪い印象を払拭して再スタートするには最高のパートナーと言える。
上でも話したが、紛いなりにも大企業であり、そんなActivisionを受け入れられる企業の方が少ない。
衰退してしまうよりかは、何かの形で残ろうとした経営判断については評価できる。もちろん、社内問題は擁護のしようがないが。
本題 CoDへの影響
さてここから、本題なのだが、これまでも非常にボリュームがあるのだが、この本題も一筋縄ではいかない話だ。
ひとくちに、CoDといっても、ゲームそのものが現在、キャンペーン、マルチプレイ、ゾンビの3モードを一緒にしたフルプライスソフトとバトロワ系の基本無料のWarzone、中国テンセント主導のmobile の3つの形態がある。
そして、世界(プロ)と日本の視点がある。
全体
まずは全体の話ではあるが、結論から言えば、今後のCoDは現代戦中心の可能性がある。
それは、マイクロソフトが所有するゲームタイトルにHaloがあるからだ。
Haloとは、Xbox・PCで販売されているFPSゲームであり、CoDが今の地位になる前は明らかにHaloの時代だった。現に、CDLの選手には元Haloの選手もおり、現在Opticに在籍のShotzzy選手はまさにそうだ。
また、新作Halo Infiniteが発売され、そちらで遊ぶCoD選手も多いくらいには、北米では確固たるタイトルだ。
ただ、Activisionの買収により、北米における2大FPSゲームをマイクロソフトは手中に収めることになるのだが、当然カニバリゼーション(共食い)は避けたいところだ。
そうなると、空中を跳びながら敵を撃つブースティングのゲームであるHaloに被る形で、CoDは出すことができない。
CoDにも世界観があり、AWからBO4まで(途中のWW2は除く)は近未来ベースでありブーストの時代があった。MWよりリアル志向の現代戦、実銃ベースのテーマが続いている。過去・現代において、ブーストの概念は無理がある。
このことから、ブーストのHalo、現代戦・地上戦のCoDという形が取られる可能性が現実的に高い。
それにともない、リリース間隔も1年ごとという形が崩れる可能性がある。
現在、CoDは3つの開発スタジオの持ち回りで新作を出している。持ち回り制であるため、1年ごとに新作を発売することが可能にはなっている。
ある意味、1年ごとにテーマの変更が可能な仕組みではあるが、近年新しい要素を生み出すのが難しくなりつつあり、新作のレビューで「新鮮な要素がない」「良くも悪くもいつものCoD」という意見も増えつつある。
そのため、近未来に切り替えることも周期的に考えられてもおかしくない段階ではある。ただ、現代戦という縛りが増えてしまうとその手が使えなくなる。
そうなると、余計に「新鮮な要素がない」「良くも悪くもいつものCoD」という意見を増やし、CoDシリーズからユーザーが離れる原因になる。
そのため、開発期間・発売サイクルを伸ばし、現代戦・地上戦のテーマを続けつつもそれに耐えられるコンテンツの質の担保をはかることは、現実的な解決策とも言える。
Warzone
主力の収益源であるWarzoneであるが、おそらくマイクロソフトが買収によって最も欲しかったものだとも言える。
マイクロソフトのラインナップとしてバトロワ系はなく、なおかつ金のなる木であるWarzoneは喉から手が出るほど欲しかったのではないか。
その意味では、マイクロソフトは引き続きWarzone中心のCoDのスタイルを継続すると考えられる。
その点では、PS機は主要なWarzoneプレイヤーのゲームプラットフォームであり、PSプレイヤーを切り捨ててまでXbox独占はできない。
ここから逆算すると、PSへのソフト販売は今の形である限り、継続するとも言える。
ある意味、優れているからこそ、マイクロソフトは下手なことはできないともいえ、リストラの中で、Warzoneにリソースを多く割くことは十分に考えられる。
ここについては、マイクロソフトが勘違いをしない限りは、より良くなると考えて間違いないだろう。
マルチプレイ・ゾンビ・キャンペーン
フルプライスで一緒になっている3つのモードだが、ここは一番予想ができない。
そもそも現時点でもフルプライスで3つのモードが一緒であることが疑問を抱くところである。
まず、ここの解体の可能性があるかどうかで話が変わるのだが、解体されないのであれば、全体で話した変更点以外大幅な変更は考えづらい。
現状、Warzoneの武器レベル上げの立ち位置でもあるマルチプレイなどをXbox独占にするのは変であり、まさにPSプレイヤーはWarzoneで使うためにどこで武器レベルを上げればいいのかということになってしまう。
Warzoneと付随させるために、マルチプレイとゾンビは一緒に扱うことは全くありえる。
ただ、これはマイクロソフトがどう考えるか次第ではあるが、3つのモードの繋がりがあまり見られない、抱き合わせ商法により機会損失が発生していると考えれば、解体はありうる。
そうなると、キャンペーン、ゾンビ、マルチプレイの順にXbox独占の可能性、そもそも開発の終了・打ち切りの可能性が高くなる。
そのようなことも考えれれる以上、質の向上ははっきり言って予測不可能である。
マルチプレイの修正など対応が悪い面が今作非常に多いが、優先度が高くなるとは必ずしもいえないのだ。
CDL
eスポーツのプロリーグであるCDLの扱いだが、基本良くなると考えて間違いない。
これもWarzoneと同様に、現在のマイクロソフトがカバーするゲームタイトルで不足しているeスポーツ分野をOW とともにCoDが担うことになる。
そのため、注力するとは考えられるが、具体的なところは中々予想が難しい。最低限、離れていったスポンサーを引き戻す対応はなされるだろう。
そもそものCDLのフランチャイズ制がどうなるかだが、利益重視であれば、マイクロソフトはまずフランチャイズ制は維持してくる。CWLのような形に戻るかはユーザーの声次第だろう。
Challengersでは、クロスプラットフォームでの大会認められ、CDLはPCパッドが決められたことから、PCが普及しており、ここの点はマイクロソフト側としても追認することになることが予想される。Xboxにするという発想は間違いなくなる。
日本
ある意味ここが一番不透明で、影響を受けるところになる。
上の記事でも問題として話したが、日本の公式大会はソニーが運営しているのだ。
上の記事では、Challengersの運営がActivisionであり、そこの軋轢についても心配したが、今回はそこが最終的にマイクロソフトになるのだ。
余計に拗れる要因でしかないのである。
現に、ソニーが主催しているため、公式大会であるプロ対抗戦はPS機限定となっている。
マイクロソフトとソニーが競合している以上、ソニー独占のところにマイクロソフトの傘下となったActivisionが提携する道理はあるのだろうか。
明確に公式運営方法の転換がなければ、確実にガラパゴス化する。
上の記事を書いたときよりも状況は悪化していると確実に言える。
ソニー側も寝耳に水というところだろうが、上の記事の時点でも打開するにはソニーとActivisionとの話し合い次第とも考えていたが、それが必須の条件になったのだ。
日本の公式大会がガラパゴス化、また頓挫することになれば、日本のCoDは危機的とも言える。
ここの内容については、これ以上は煽るだけになるため、ここまでとします。
Mobile
最後にモバイルですが、しばらくは現状維持といえるでしょう。
如何せん、Activisionはライセンスを付与しているだけであり、実質テンセントのゲームである。そのため、マイクロソフトに変わったところで、ゲーム自体は変わることはない。
むしろ、買収により、明確にマイクロソフトがテンセントの競合になる立ち位置となったため、関係性次第でライセンス打ち切り=アプリの配信停止は考えられる。
以上にはなるが、CoDユーザーからすれば、非常にどうすることもできない苦しい状況に救いの手が来たかのような錯覚をする。
ただ、マイクロソフトも営利企業だ。
誰もどうなるかなどわからない。良かれと思ってマイクロソフトがやったとしても裏目になることもある。
静観するしかないのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
Shiftkey について
noteの内容に共感していただければ、ぜひともサポートを宜しくお願いします。今後の記事投稿の励みになります。