見出し画像

【Day2】 デザインカンファレンス「awwwards Tokyo 2020」 参加レポート

こんにちは!デザイナーの宮坂です。シフトブレインに所属してちょうど1年ほど経ちました。
私がシフトブレインへ入る決めてとなった一つが、世界最大級のデザインアワードであるawwwardsの常連チームであること。デジタルで世界最高峰のクリエイターが集結するこのイベントをとても楽しみにしていました。

実はありがたいことに今回のawwwards Tokyoの特設サイトもGarden Eightさんと一緒に作らせていただきました!裏話をするとこのサイトのイラストの元は私が実際に東京の各所を歩いてロケハンした写真です。イラストの細かい部分にも注目してみてもらえると嬉しいです。

それでは早速弊社デザインディレクターの鈴木が登壇したDay1に続き、Day2の様子を紹介していきます。

DAY1の様子をみたい人はこちらの記事をどうぞ!



Day2 First Half

まず会場に足を踏み入れると、壇上にVRゴーグルをつけた人が...!

画像27

後ろの大きなモニターを見ていると、なんとVR artistのせきぐちあいみさんがライブペインティングをしていました。開始前にも関わらず、多くの人が大注目していました。

休憩時間にも楽しめるコンテンツがあるのはクリエイティブのイベントならではだなと。

さて、Day2も全てのプレゼンテーション素晴らしかったので、タイムテーブル順に全プレゼンの内容で印象に残った部分をそれぞれ紹介していきます!


Genki Imamura. Bees & Honey.

Day2最初のの登壇者はBees & Honey(以下B&H)のCEO、今村さん。
ハワイ大学ご出身ということもあり英語で話されていました。

画像27
画像2

何よりスライドがどれも綺麗で、洗練されていました。
トークの内容はB&Hの長年探し続けたブランディングレシピについてでした。

スクリーンショット 2020-01-31 13.22.29

そのレシピ(Ideology)では、Step1でブランディングするもののRootsを知り、Step2でPesonality、Step3でPreference、そして最後のStep4でStrategic Theoryとそれらを掛け合わせようというもの。今回はB&Hがブランディングを手がけるFILというインテリアブランドを例に話していただきました。
一番印象に残ったのはブランディングというものを考えた時に最後のパートの部分。

Legends don’t start from “Why we do”
(これまでに紹介したレジェンドたちはWhyから始めていない)
Start from “Who am I”
(まずは私は誰なのかというところから考え始めよう)
Design from Ideology
(そしてアイデオロジーからデザインしよう)

本質的なブランディングというものを深く考える良いきっかけになりました。


Georgi Roberts & Asako Tomotani. Monopo.

そして次も日本勢。今回の運営でも弊社と一緒にサポートしてくれていたMonopoのGeorgiとAsakoさん。Day2はDay1より日本メンバーが多い印象でした。

画像28
スクリーンショット 2020-01-31 13.24.40

コンテンツはCrafting Collective Creativity(集合的なクリエイティブを作り出すこと)について。様々なものを集めて新しいものをつくる私たちはバーテンダーのようであると、クリエイティブをカクテルに例えて紹介していました。

画像5

Collective Creativity is
A bunch of individuals, with a stage to act on, involving many people.
(集合的なクリエイティブというのは、たくさんの個人がいてかつその全員が活躍していて、たくさんの人々を巻き込んでいくことです。)

個人が強くなってくる時代の潮流を感じました。


Vitaly Friedman. Smashing Magazine.

次に登壇してくれたのはSmashing MagazineのVitalyでした。

スクリーンショット 2020-01-31 13.27.10
画像28

複数のハイブランドのロゴを並べ、最終的に似通ったものができてしまうという現代のクリエイティブに対する課題を取り上げていました。
慣れているものを作ることにも価値はあるが、もっと面白くて新しいものを提案できるのではないかとVItalyは話していました。

印象に残っているのは、トグルボタンを押すとクマの手がでてきてボタンを戻されてしまうというユニークなUI。個人的にもこういったくすっとするユーモアのあるものが世の中にもっと増えて欲しいなと感じました。

スクリーンショット 2020-01-31 13.28.53


Tadamasa Iguchi. IN FOCUS inc.

Coffee Break☕️をはさんで一発目のスピーカーはIN FOCUSの井口さん。

スクリーンショット 2020-01-31 13.29.49
画像28

違う角度から作られた会社紹介映像を全部で3パターン見せていただきました。
プレゼン内ではリフレーミングという言葉を何度か使われていましたが、目的に応じて構成要素を柔軟に変えて伝えていくことを大切にされているとのことでした。
クリエイティブに関わっていく人は相手によって伝え方もデザインしていかなければいけませんね。とても勉強になりました。


Ita Babayan & Armine Manukyan . Ucraft.

続いてのスピーカーはUcraftのItaとArmine。The art of onboardingというタイトルで話していただきました。

画像11

タイトルだけでは内容が想像つかなかったのですが、メインのテーマはユーザーオンボーディングについてでした。オンボーディングとはサービスやアプリを利用する際に初回の利用で良い体験をしていただき利用定着してもらうためのプロセスのことです。

画像29

オンボーディングを進める上で第一印象が鍵となると伝えてくれましたが、グローバル化が進む中で最適な画面を作るのはとても難しいことだなと感じました。


Claudio Guglieri. Guglieri.com.

続いてCreativityについて話してくれたのはGuglieri.comのClaudioでした。
冒頭から「AIに3600万の人々がAIに仕事を奪われるだろう」というインパクトの大きい数字が出てきて脅威を感じました。。。

スクリーンショット 2020-01-31 13.41.40

私が印象に残っているのは、インスピレーションを得る方法について話されていた中ででてきたHypnagogic(入眠)についての話。人は目覚めているのか寝ているのかわからない状態にクリエイティブな思いつきができるという。

スクリーンショット 2020-01-31 13.41.03

最後に彼が言っていた、

想像力というのはプロセスであって才能ではない
成功というのは情熱を失うことなく続けることである。

という言葉も強く印象に残っています。

画像30


Lunch

私は今半のすき焼き弁当を美味しくいただきました🍱

スクリーンショット 2020-01-31 13.45.00

さて後半戦です!


Day2 Second Half

Marina Fujiwara.

ランチを終えてリフレッシュした後の一発目はまたもや日本勢のコンテンツクリエイターの藤原さん。どんな内容のコンテンツだろう?といろいろ想像していましたが、想像を遥かに超えたおもしろコンテンツでした。

画像31
画像15

彼女が作っているのはUSELESS stuff(無駄なもの)。なんでも藤原さんは日本には無駄なものがたくさんあり、それが昔から大好きなのだそう。彼女が作った無駄なもののムービーは間違いなく会場が一番笑いに包まれた瞬間でした。

彼女は多くのSNSをやっていますが、コンセプトを短く伝える手段として利用しているのがTwitterとInstagram、そのコンテンツの詳細を伝える手段として利用しているのがBlogとYoutubeだそうです。
根底にネガティブな感情のある彼女の無駄なもの集は、とても面白いので是非見てみてください。


Enea Rossi & Camilla Zampolini. Adoratorio.

次に話してくれたのはawwwards常連のAdoratorioスタジオの共同創業者EneaとCamillaのお二人。彼らのクリエイティブはいつも新しく、感動させられるので、私がこの日最も楽しみにしていたプレゼンの一つです。

スクリーンショット 2020-01-31 13.49.48

彼らはクリエイティブを作る上でのHardship(困難さ)というものを議題に話してくれました。

画像17
画像32

いつも完璧なアウトプットをする彼らでもうまくいかないことは多々あるそうで、前回の反省点を次のクライアントで活かしてアップグレードしていっていると語っていました。どの国でもモノづくりをする人は同じ課題や悩みがあるのだなと感じました。
日本でもあまりやっている会社は少ないですが、最終的なアウトプットができあがるために辿った中間成果物をもっとみたいなと個人的に思いました。


Michelle Morrison. Dropbox.

画像18
画像33

次はDropboxのMichelleのプレゼン。The cult of cultureという内容で話してくれました。彼女はDropboxでProducerという役職についているが、Producerの一番のミッションはクリエイティブなプロセスにおいて苦痛を取り除くことだといいます。

スクリーンショット 2020-01-31 13.52.09

彼女のプレゼンテーションではこのスパゲティのような図が印象的です。プロダクトをローンチするまでにクリエイターたちはこのように何度も何度も同じ工程を行き来していると彼女は言います。
Adoratorio Studioの二人の話を聞いたときも同じことを思いましたが、最初から完璧にできることなどないのだなと感じました。

最後に彼女がシェアしてくれたDropboxのデザインをまとめたDropbox Designはとても素晴らしいのでぜひチェックしてみてください。


Marc Wesseling. UltraSuperNew.

Coffee Breakを挟んで次はUltraSuperNewのMarc。 Persuation is an Artというテーマで話してくれました。UltraSuperNewはシンガポールと日本の原宿にもオフィスを構えています。

スクリーンショット 2020-01-31 13.54.08
画像21

彼はブランドを育てるための方法をこのように語っていました。

1. create a lasting brand impression with consumers
(顧客に永続的なブランドの印象を与えること)
2. Infuse the brand promise with digital execution
(デジタル戦略にブランドが顧客に対して約束する価値を吹き込むこと)
3. Attract more brand-interested prospects
(よりブランドに関心のある見込み顧客を引きつけること)
4. Retain more brand-loyal customer
(ブランドのロイヤルカスタマーを維持し続けること)

私はブランドを作ることはあってもそれを成長させる段階には深く関わったことがなかったので、とても面白い内容でした。作ることと同じくらい育てることが大切であり、難しいことだなと感じました。

画像34

Tシャツがかわいい...


Álvaro Arregui. Nuevo.Studio Tokyo.

スクリーンショット 2020-01-31 13.56.28

次に話してくれたのは元ustwoで今はNuevo Studioという自分の会社を持つAlvaro。彼は弊社のメンバーとも仲がいいのでよくオフィスに遊びにきてくれます。

画像35
画像35

そんな彼が話した内容は他のスピーカーとうってかわって、外国人が日本で会社を作ることの難しさについてでした。

スクリーンショット 2020-01-31 13.59.00

オフィスを持つためには住所と電話番号が必要で住所を持つためにはビザが必要で、ビザを取るためには会社が必要で会社を持つためには口座が必要で口座を開設するにはビザが必要で....。
日本にスタジオを開くことは不可能だという話がとても面白かったです。外国人がオフィスを開くことがここまで大変だなんて全く知りませんでした。驚き。


Leta Sobierajski & Wade.

そして今回のawwwards Tokyoを締めくくってくれたのはLetaWadeの二人。個性的なスピーカーが多いなかでも二人は群を抜いて目立っていました。

スクリーンショット 2020-01-31 14.01.01
画像36

彼らの作るものはとてもカラフルで視覚的にもとても面白いです。彼らが一番大切にしていることは、とにかく楽しむことだそう。子供心を大切にしていることがクリエイティブから伝わってきます。

画像26

印象的だったのが、PositiveなものはPositiveなものの中で生成されるという言葉でした。Positiveでいると自然とPositiveになっていくんだという言葉はとても励まされました。彼らの生き方をもっと見習いたいなーと。


How I Feel

今回のカンファレンス参加を通して強く感じたことがあります。それはどんなに素晴らしいものを作る人も皆、アウトプットからは想像できないほどのボツ案を作り出しているということです。そしてその試作の数に比例してより洗練されたクリエイティブを作り出せているということです。私は普段デザイナーをしていて何パターンもデザインを考えますが、この2日間で見たスピーカーたちの試作の数を超えているかと問われると、頷けません。当たり前なことに感じるかもしれませんが、圧倒的に良いクリエイティブを作るのに一番必要なのは、(Claudioが言っていたように)成功するための情熱や想いであり、それを失うことなく続けることなのだと心の底から思い知らされました。

今回この世界的なイベントが東京で開催されたことは、間違いなく私たち日本人が世界に向けて大きく前進できる一つのキッカケであったと私は感じています。

Thank you awwwards. We hope you come to Japan🇯🇵 again!!👋


▼ SHIFTBRAIN GOODS STORE