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IT古典良書を読み解く《第11回》前編「古くて新しいビジネスモデル」

第11回 10Business Models that rocked 2010 |前編
「古くて新しいビジネスモデル」

10 Business Models that rocked 2010

こんにちは。スクラムマスターの伊藤です。
すっかり春を感じるようになった時節ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。密を避けて、スターバックスのテラス席で期間限定のフラペチーノを飲みながら、新しいビジネスモデルについて企画している人もいるかも知れません。(図星の方はコメントお願いします)

今回は古典良書ではなく、古典レポートとでもいいますか。2011年に発表された「10 Business Models that rocked 2010 (2010年に快進撃した10のビジネスモデル)」について紐解きます。

このレポートは10個のサービスについて、そのビジネスモデルについて紹介しています。当時としては、まだ新進気鋭のサービスといったものもあり、時代の移り変わりや先見性が見受けられます。

私は当時、クラウドに特化したビジネスを立ち上げる部署の立ち上げメンバーとして、こういった資料や海外事例を調査していたのですが、一番印象に残り役立ったのがこの資料になります。10年以上前の資料ですが、現在に通じるものもあり、気付きが沢山あると思います。

引用: 10 Business Models That Rocked 2010


《よもやま話》
イタリア人は一日10杯もコーヒーを飲むコーヒー好き。とっても苦いコーヒーが売っているそうです。カフェ文化が発達しすぎて最近までスタバが出店できませんでした。ちなみに留学中のイタリア人の友人情報です。彼はよく授業をさぼってガールズハントに行ってました。


ビジネスモデルとは

快進撃した各ビジネスモデル紹介の前に、ビジネスモデルについて簡単に整理したいと思います。前回、プライシングの話で商品やサービスを提供して対価を得ることがビジネスという話をしましたが、もう少し踏み込むと誰かに何かを提供し、対価を得ることの関係性を明らかにしたものがビジネスモデルといえそうです。

具体例として、民放の地上波放送のビジネスモデルを考えてみましょう。
事業者(テレビ局)は視聴者に無料でTV番組を提供します。そして、その番組内にCM(広告)を放送することでスポンサー(広告主)から対価を得ます。そのCMをみて視聴者が商品などを購入するかもしれません。また、最近は視聴データなども考慮されていると思われます。

図示すると以下のような形になります。

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ちなみにこのアイコンは以下のサイトにあるビジネスモデルキットです。無料で使えますし、アイコンの意味はサイトでご確認ください。

▼参考:ビジネスモデルキットhttps://www.boardofinnovation.com/tools/business-model-kit/


映画は、顧客(観客)から直接対価を得て、映像作品を提供するビジネスモデルですね。このように映像作品を提供するビジネスでも、ビジネスモデルによって登場人物やお金の流れが変わったりします。革新的なビジネスモデルを構築することでビジネスを大成功させることもできるのです。

次節から、10のビジネスモデルを引用元の資料と同じくカウントダウンで紹介していきます。


《よもやま話》
日本では何か合図するときにカウントダウン(3,2、1… スタートなど)することが一般的ですが、アメリカではone, two threeとカウントアップします。これは、写真を取るときの合図に由来しているようで(ちゃんと調べた訳でなく個人の見解です)three(スリー)というと笑顔になるためです。アメリカで写真を取るときに3,2,1…パシャっとすると何で逆なのと怪訝な顔をされます(されました)。ちなみにiPhoneのセルフタイマーなどはさすがにカウントダウン方式でした。


10. PatientsLikeMe

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引用元:https://www.patientslikeme.com/

PatientsLikeMeは直訳すると「私と似た患者」になりますが、自分と似た症状の方と治療方法や体験を共有するサービスで、日々の健康データを管理することもできます。日本語版が無いため知名度は低いですがアメリカでは大変有名なサービスです。

ビジネスモデルは以下の図になります。

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ここでのビジネスモデルはデータ販売です! まだ、ビッグデータという言葉もない時代ですが、許可を得て匿名化したデータを製薬会社に販売することで、収益をあげていました。現在はコミュニティに留まらず健康データを管理するポータルサイトして進化を遂げています。


9. Flattr

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引用元 https://flattr.com/

Flattrはdonation(寄付)のサービスになります。クリエイターなどに簡単な操作で応援(現金で)ができます。

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ここでのビジネスモデルはサブスクリプション + 手数料ビジネスです! ユーザーは毎月3ユーロ(当時は2でしたが)以上を支払い、寄付したいクリエイターやWebサイトなどを応援します(Facebookの「いいね」ボタンな明示的なものもあれば、閲覧することで対象になったりします)。
この寄付プラットフォームを用意することで手数料で収益をあげています。それにしても、このクリエイターを支援する仕組みは投げ銭のようですね。


8. Groupon

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引用元 https://www.groupon.com/

続いてGROUPON(グルーポン)です。こちらは日本でもサービス展開をして話題になったのでご存知の方も多いでしょう。悪い意味で有名になった事件もあり2020年に日本市場から撤退となりました。

GROUPONは共同購入型クーポンという、一定のユーザーが集まると割引が受けられるクーポンを発行するサービスになります。

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グルーポンのビジネスモデルって意外と知らない方がほとんどかも知れませんが、大幅割引が受けられるクーポンを○枚発行(○枚以上 売れたら有効)するという契約を企業と結び、購入者へ向けて宣伝します。

購入者たちは割引を成立させるために、自らクーポンを宣伝してくれたりします。そして、クーポンが有効になると大幅割引で商品が提供され、その収益の50%がグルーポンの収益になります。50%とは高い気がしますが、クライアント数の保証があるため納得して契約することになるのかと思われます。ちなみに日本だけで模倣サービスが230以上になったほど優れたビジネスモデルだった模様。リクルートのポンパレと熾烈な争いをしていました。(こちらも2018年にサービス終了)


7. Spotify

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引用元 https://www.spotify.com/jp/

Spotify(スポティファイ)は音楽のストリーミングサービスです。ここに来て、初の日本語サイトがあるサービスですね。10年以上前からあるサービスですが、日本で使えるようになったのは2016年になってからでした。根底にはJASRAC、レコード会社、アーティストいずれも配信サービスに消極的だったことが挙げられます(Spotifyどころか、iTunesでの販売も遅かった)。

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ビジネスモデルは広告ベースのフリーミアムモデルです。ユーザーは無料で使えますが、音楽生成中に広告が入るようになっています。そして、プレミアム会員(サブスクリプションモデル)になると広告が表示されなくなるなど特典があります。YouTubeもこのビジネスモデルを採用していますし、とても優れたビジネスモデルです。

ちなみにこの記事が書かれた2011年時点では、なんとアメリカではサービス開始前、スウェーデン生まれのSpotifyですが、2010年の時点でiTunesの売上よりもSpotifyの方が高いという現象が既に起きていました。


6. PayWithaTweet

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引用元 https://www.paywithatweet.com/

Paywithatweet(ペイウィスアツイート)はその名の通りPay with a tweet(ツイートでお支払い)するサービスです。

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この図にはmoneyがないです。よって正確にはビジネスモデルではなくマーケティングツールになります。SNS(ツイッター以外でもOK)の価値で支払うことにより、より宣伝効果が期待できます。つまりバズらせるわけですね。価値のあるデジタルコンテンツ(音楽、動画、ドキュメントなど)がツイートすることを条件にダウンロードすることができます。日本語サイトはないですが、日本でも使うことができます。(現在は有料プランもあり)


《よもやま話》
日本のスターバックスは店舗数がドトールを抜いて1位になったそうですが、コーヒー1杯300円以上するのは、ちょっと高い気がしますよね。アメリカではダンキンドーナツ(日本からは既に撤退)など競合との争いもあるからか、$2程度から飲むことができます。まぁ、接客は日本が世界一でしょうが。

後編に続く
ビジネスモデルを10個紹介するといっているのに、まだ半分でだいぶ長くなってきましたのでコーヒーブレイクとしましょう。日本でも有名なサービスが登場する後編に続きます。

IT古典良書を読み解く

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執筆者プロフィール:伊藤 慶紀
大手SIerにて業務用アプリケーションの開発に従事。
ウォーターフォールは何故炎上するのか疑問を感じ、アジャイルに目覚め、
一時期、休職してアメリカに語学留学。
Facebookの勢いを目の当たりにしたのち、帰国後、クラウド関連のサービス・プロダクト企画・立ち上げを行う。
その後、ベンチャーに転職し、個人向けアプリ・WebサービスのPM、社内システム刷新など様々なプロジェクト経験を経てSHIFTに入社。
趣味は将棋、ドライブ、ラーメン、読書など

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