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花とアリス観たら蒼井優と結婚したくなった。

岩井俊二監督の新作の映画が面白そうだけど、映画館行くのはなんだか気が引けるので、他の作品を観てみることにした。

『花とアリス』
結論から言うと凄く良い作品だった。何だろう、危うさともどかしさとオシャレさが同居してる感じ。篠原涼子みたいだ。愛しさと切なさと……あと一つ何だっけか。とにかく凄く良い作品だった。
もともと蒼井優がめっちゃ好きなのもあるかもしれないけど、設定の仕方とか、台詞とか、そもそも画とか。二人称に「キミ」を持ってくるのはセンスかな? それとも時代?

僕が一番好きだったシーンは蒼井優演じる有栖川徹子(アリス)と、平泉成演じる彼女の父親(母とは離婚済み)とのシーン。
以下の台詞は、うなぎ屋で注文を待つ間、父がアリスに入学祝いの万年筆をあげる場面でのもの。この場面にこの映画の全てがある気がする。

父「入学おめでとう。最近の流行とか分かんなくてさ、まぁ定番だけど。俺、学生のころ大概万年筆だったからさ、まぁもらってもなかなか使わないんだけどね。ま、たまに引き出しのなか片付けてるとひょっこり出てきたりして。『あぁそういえばこんなん貰ったな』とか思いつつさ。まぁまた、結局使わないんだけどねぇ……ま、でもなんか見つけるたびに入学シーズン思い出したりするじゃん。そういう意味では、役に立つからさ。ま、お守りって事で。」
アリス「使っても良いの?」
父「うん、そりゃ使うんならどんどん。でもまた、使ったら使ったでスペアのインクすぐ無くなったりしてさ、まーたそれだけ買いに行くの結構面倒だったりしてな。結局、また使わなくなったりするん、だけど。」
アリス「使えないじゃん。」
父「……でもまぁ、せっかく貰ったもんだと思ったら簡単には捨てらん無いからさ、案外しぶとく生き残るわけさ。その点上手くできてんだよぉ、万年筆は。」……(続く)

いや、素晴らしいなぁ。アリスは離婚した母の方で暮らしているから、日常的に父親と接触があるワケじゃない。だからこそ生まれる双方のぎこちなさ。そして娘を思いやる父の気持ちなどなど。本当に多くのものが見て取れる会話だ。一生懸命に万年筆選んでる姿とか、それこそ引き出し整理してたら万年筆出てくる姿とか、浮かびますよね。で、普通プレゼント渡す時って特に父親なんかは「これは使えるものだ」アピールをしがちだけど、今回の凄いのはあえてデメリット出しまくってるってところ。使わないし面倒くさいし、でも思い出すという点では「役に立つ」。この表現の仕方だよな。そしてそれを素直に言うっていう。初めて平泉成がカッコよく見えた瞬間だった。

ごめん、このくだりで終わらそうと思ったんだけどもうワンシーンだけ取り上げさせて。これもまた良いのよ。二人は神社に行ったり、喫茶店に行ったりして時間を過ごす。喫茶店で父はアリスに愛してるは中国語で「ウォーアイニー」というのだと教える。(前のシーンで中国にかかわる出来事があったのだ)というのを踏まえての、次のシーン。
アリスと父が電車に乗っている。別れが近づいているのだ。

アリス「今度いつ?」
父「うん?そうだな……また、電話する。」
アリス「いつ?」
父「また電話するよ。あ、メールするよ。」
アリス「メール? いつ覚えた?」
父「え?最近だ。」
アリス「……やらしい。」
父「なんでよ。(電車が駅に到着する)……じゃあな。そこ空いてるよ座りなさい。」
アリス「ねぇ、なんだっけあの中国語。」
父「ん?」
アリス「ウォウオ?」
父「ウォーアイニー。」
アリス「ウォー、アイニー。」
父「(微笑んで)じゃあな。」
アリス「……パパ。ウォーアイニー。」……(続く)

素晴らし過ぎないか。(ちなみにこのあと父は「ツァイチェン、また会いましょう」的なことを言うのだが、これの前の台詞が聞き取れない。多分中国語言ってるんだと思うんだけど。)
アリスがパパって呼ぶのってここだけなんですよね。それがまたもう、絶妙で。胸を締め付ける。本当にお父さんの事が好きなんだなと思わせるワンシーン。台詞としては少ないけど、表情や間で言葉以上に伝わるものがやっぱりある。

「良い芝居は語らずに、見せる」そんなことが前読んだ本に書いてあった。
その通りなんだなと痛感しました。そしてそれが体現されてる良い映画でした。いやぁでも、やっぱ蒼井優好きだなぁ。「永いお別れ」を観てから急に好きになったんですよね。おでこがツルツルなのと、声低いのと笑い方が渇いてるのが良いです、「ハハッ」みたいな。伝わるかな。
あー、やっぱ蒼井優と結婚したいなぁ。良いなぁ山ちゃん。

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