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「場づくりから始める地域づくり: 創発を生むプラットフォームのつくり方」に関する私の視点

今回、私が拝読させて頂いた書籍(以後、本書)は「場づくりから始める地域づくり: 創発を生むプラットフォームのつくり方」(2021/7/1)飯盛義徳 (著, 編集), 西村浩 (著), 坂倉杏介 (著), 上田洋平 (著), 伴 英美子 (著)です。

私の視点で感想を述べたいと思います。


地域課題の解決を図るためのファーストステップ

本書では、多種多様な人々が交流したり、意見交換したり、或いは居場所となる「場づくり」の実践例について解き明かされています。また、佐賀市の中心市街地活性化を目指す「わいわい!!コンテナ」、多様な人々が参画し、交流が活発に行われ、地域の課題解決につながるような活動が次々と生まれる「芝の家」、各地でワークショップの開催されている「ふるさと絵屏風」等の事例が紹介されております。

しかしながら、今日はコロナが「収束」した状態であり、決して「終息」ではなくそれは一時休戦状態の様なものです。本書の事例はコロナ禍前からのスタートアップであるため、その後どう変化したのかについては注意深く見る必要があると思いました。

コロナ禍における変化の考察

コロナ禍においては、実際に多様性という言葉に集約されてしまう傾向の中で、いくつもの神話が崩壊し、さらには東京一極集中の問題や人々のつながりの希薄化や非対話性が露呈したのはご承知の通りです。

一方で、リモートワークやオンラインによる仕事や活動等の効率性や拡張性が明らかになり、今までの一般的ならわしないし従来通りの方法が大きく見直されたり、大小問わずDX化・ICT化されたりしたことは大きな恩恵です。

また、家族と共にする時間が増えたり、可処分所得が増えたりしたことは、家庭・個人という地域よりもっと小さい単位に目が向けられたといえ、併せて何らかの受益性も生じたといえます。

ここで更に本書で紹介されている各事例が、先進的にどの地域においても魅力を高めることができ、人々が交流し、課題が解決されていくプラットフォームとして確立されていけば、パンデミック等に左右されない素晴らしい取り組みがどこでもできる言っても良いでしょう。

本書では、各事例に基づいた内容を通じて、地域の住民に対する「私たち事」の実現や参画する者の活動内容と情熱が道標として明確にされています。

「場」について

本書タイトルに入る「場」について「人々が参加し、意識・無意識のうちに相互に観察し、コミュニケーションを行い、相互に理解し、相互に働きかけ合い、共通の体験をする、その状況の枠組み」と書かれています。

続いて、相互作用が生まれる枠組みや空間としての場の重要性を知ることにった。福祉コミュニティやコミュニティカフェ等にみる居場所、すなわちサードプレイスづくりがハード面的な場とソフト面的な場を表しています。

単位的概念で考えてみると、個人や家庭をナノ、ご近所や近隣地域をマイクロ、国家や大規模コミュニティをマクロ、国際的な関係や世界全体をグローバルということが可能です。これに加えてご近所や地域と個人や家庭の中間をメゾとすると、本書での事例やサードプレイスがそれに該当するといえます。メゾ単位は中間であるため、ナノとマイクロとは違う余白が、場づくりには備わっていると考えます。

そこで、事例にある「場」には仕掛けや仕組みが用意されており、多種多様な人々の相互作用を発生させることにより予期しなかった”出来事”(新たな活動・価値)を継続的に発生させている様です。

場を整えて始める地域を築こうとすることは、小さなことより始まりますが、地域が意味するところはより大きな範囲となり、つまりは広域に至ると考えます。これは先述したマクロの単位が該当します。マクロに影響を与えることに至った場合、ソーシャルインパクトを発生させるレベルに醸成された状態になります。

但し、今日までの手法は直近10年程で確立され、汎用性や柔軟性を持っている一方、コロナ禍で新たな課題に直面した様に、特定の事象によって今まで通りにはいかないケースが発生したものと容易に推測できます。

他方、人がつながる仕組みづくりをコミュニティデザインとして地域で実行することは概念、手法、協働方法としては市民権を得てきたと思います。

しかしながら、芝地区(東京都港区)での場づくり・地域づくりは、いわば社会的レイヤーの多重構造と、関係各所を強固に接続した社会的トランスフォーメーションといえ、持続可能性ないしは連続性を持たせることに成功していることを理解しました。

自分で手がけた独自の場づくり

芝の家における多世代の居場所として挙げられた「一軒家」「縁側」「大人数で食事ができるちゃぶ台」についてですが、私は2011年にそれらの要因を排除して「シダレジデンス」(横浜市)なるものを建てました。そうは言っても唯の一軒家であり、個人宅であることに変わりないですが、自宅でワークショップをやったり、独自の社会的な研究をしたり、或いは数多くのゲストをお招きしてコミュニケーションを図りました。

建て替えに際して、元々あった「縁側」「ちゃぶ台」、更には自動車の駐車場までも排除し、私の好きな空間にしてしまったのです。しかし、この場に関係して生まれたものも多数存在し、その体験からしても場づくりからの地域づくりは、良きフェーズの組み方であると考えます。

さて、港区のとある行政職員の方がデベロッパー任せのハード面のあり方について悩む姿を見せていたことが印象深かったです。これは、安い、早い、旨い、でも不健康?的な言ってしまえば「ファースト風土」といえます。地域の健忘症が実は港区のハード面にて先行して顕著に進行しているのではないでしょうか。しかし、だからこそ本書で紹介されている各種事例とその手法は、私たちの活動舞台である港区では重要であり実践する必要があると考えます。

港区での活動はこれから

2022年に多拠点生活をスタートさせ、同時に港区をベースに活動することを前提とした1人任意団体「東京ハーバーズ(Tokyo Harbor-ward society)」を立ち上げました。

今後、こちらの団体を適宜、動かしたいと思います。

さいごに

ここまでお読み頂き、心より感謝申し上げます。名称や横文字が多く難しさを感じられたかもしれません。もし、この投稿が「参考になった」「興味を持った」という方は、フォロー、スキを頂けると嬉しいです。

今後とも幅広く社会活動を展開しているソーシャルフィクサーとして様々な実践と実戦を投稿しますので、お付き合い頂けますと幸いです。

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