少子化の原因についての覚書

自明だと思っていたら、そうでもないらしい。なんか背筋が寒くなったので記しておく。

女性と子供の人権

これらを認めたにも関わらず、制度などが追いついていないから。「少子化の原因は女性と子供の人権」なんて言えるわけがないので、みんな言葉を濁しているのかと思っていた。

根本原因は人権そのものであるが、原因(人権)の解消(無視)で問題を解決してはならない。人権を認めたことによって損なわれた社会的機能は数多くある。問題が多すぎてよくわからない。よくわからないが、それでも発展させねばならない。そうでなくば、人権は人類に早すぎたということになる。

そもそも人権が必要な理由

不幸を減らして体制(平和)を長持ちさせるため。誰かに不幸を押し付けるやり方は社会の不安定化を招きやすいから否としたわけだ。その手段の一つ。

対話の成り立たない相手から強引に不幸を押し付けられて逃げられないなら、相手を殴るしかないと思い込んだりするのはよくわかる。殴られないようするための人権であり、殴らずに済むようにするのが人権だ。

だが、不幸とセットにして一部の人々へ押し付けていた社会的機能もまとめて失われたせいで、かつての常識的経験則が現代に当てはまらなくなった。例えば、

貧乏子沢山とは何か

最近の統計では否定されましたよね。→統計資料

女性と子供の人権を認めないからこそ成り立った、成り上がり術の側面を持つ。女児は売れるし男児は戦力になる。子供ガチャで優秀な男児が出てきたらそいつが豊かにしてくれるし、器量の良い女児なら家と家の繋がりを強化する政略結婚の駒にできる。不細工や不出来なら適当に口減らしすれば良く、嫁も酷使して壊れたら取り替えれば良い。

ほんの一例でしか無いが、重要なのは、人権を認めないことで個人や社会に利があったということ。人権を認める社会は、この利をよく観察して、上回らねばならない。利が多岐に亘るので限定して考えていく。

女性社会という利

井戸端会議に代表される密接な地域コミュニティ。ローカルな互助機能。ムラ社会とか言い方は色々ある。このへんの詳細は家政学の論文とかで沢山語られているので割愛。雑にまとめるなら、家事、保健、衛生、生理、妊娠、出産、子育てなどで起こる問題を人手や財の(無償)融通で解決する機能だ。→論文

限定したのにいっぱいある。

現代日本ではこの機能の多くが代替されるか失われている。女性社会は縮小している。もはや旧女性社会と呼んだほうが良い。

女性の人権。例えば男女雇用機会均等法

女性社会縮小の目立った契機は、このあたりだろうか?1972年?団塊ジュニア世代の生まれた頃。待望されたベビーブームを期待通りには実現できず、未婚晩婚が社会問題として取り上げられ始めた世代。→統計資料

女性が雇用を得てお金を稼ぎやすくなった。労働人口が増えて富の生産力が増した(要出典。データどこ?)。にも関わらず、失われつつあった旧女性社会の機能補填は不十分。配偶者控除による壁とかはその典型例。もう上限無くして結婚者控除にしちゃえよ。

子供の人権。例えば教育

賢い国民が増えれば生産力も上がる。教育の成果で増えた富(要統計)は、十分に教育へ還元されているか?教員不足とか言われてるので明らかに否だ。「教育の恩恵を受けるのが個人なので、コストは受益者負担」とかいう主張は本当にわけがわからない。文明を支える特殊技能者達が野山から勝手に生えてくるとでも思っているのか。あるいは固定された専制的階級社会を作りたいのか。競争で有利になりたいのか。競争相手の教育機会を奪うのが手っ取り早いもんね。

競争的研究費制度とか最悪である。まじめに生徒を教育したら競争相手が増えるのだ。私が指導者側なら、とてもわかりにくい形で手を抜く。

話が逸れた

日本社会は未だに女性と子供(教育制度)から搾取している

かつては雇用を与えるだけで良かったかもしれない。でも、時が経ってしっかり成果を出した(要統計)からには、働く女性の諸問題を解決するために還元せねばならない。

かつては中卒でも良かったかもしれない。今は高卒が当然で、利器を使いこなしている。生活に必須なスマホを国が配ったとしても利益出ると思うよ?(無根拠)

どうすりゃいいの

やるべきこと

生殖器に直接関わる事柄を、まず最優先で支援する。生理、妊娠、中絶、出産、授乳、更年期あたりか?生理の貧困なんて言葉が生まれる時点でアウト。

男の方は、ポルノを規制しないって感じでお願いします。性欲を発散しづらくなったらどこで暴発するかわからん。

旧女社会の機能を無性別化して社会に普及させる。調理とか保健とか、資格や免許として受け継がれてるものがいっぱいありますよね。

家事スキルの普及。栄養学なら私の大好きアプリ「あすけん」が最高にいい仕事してる。そのうち、AIアシステッド資格みたいなのが出てくるんじゃないかな。AIアシストつきなら十分な専門スキルを発揮できるって感じの。

世帯運営のための新しい教養あるいは公共知を作り上げる。新しい利器。新しい環境。効率の良い世帯運営方法は日々更新されているので。

AIにアクセスできる端末の配布を含めた義務教育の拡充。社会人として求められる最低水準が上がっているのだから、それにあわせて公で担う教育水準も上げるべき。このご時世に、最低限の読み書き計算だけをできれば職を得られるなんて子供に言えるか?

ドラえもんの居る世帯と、いない世帯。既に、スマート家電の出現で部分的にそうなっている。巨大な格差の誕生が迫っている。

やってはならないこと

無性別化可能な事柄を女性(男性)限定にしてしまうこと。

極端にダメな架空の例を挙げる。「家事を主に担っているのは女性なので、家事を担う女性に支援金」一見すると女性救済。だが、女性に世帯の家事をやらせたほうが有利になるので実際は女性を家事に縛り付けることになるし、家事をする男性が相対的に不利となる。就労する女性とイクメンを後ろから刺して踏みつけるような悪行。例えば「スマート家電への買い替え支援」とかなら、結果的に多くの女性が恩恵を受けつつも、家事をする全ての人を救済できる。

最近のダメな例は「困難な問題を抱える女性への支援」行政が女性を支援してくれるから民間では女性を後回しにして男性にリソースを注ごうというインセンティブが働く。そもそも困難を抱えているのは女性だけではないため、困難に直面して尚踏ん張っている男性から激しい憎悪を買うことにもなる。弱者男性問題ですね。少なくとも男女セットで支援するという建前ぐらい整えてくれ。

プラス要素

ChatGPTの出現であらゆるスキルの習得ハードルが低くなりつつある。まずは家事を習得しよう!いくら稼いだって、家事を通して生活に変換しなけりゃガラクタを集めてくるのと変わらないぞ!
育休手取り10割とか制度がマシになってきた
学び直しやリカレントと言った新しい学歴やキャリア形成のルート

マイナス要素

前述のダメな例のような制度が男女どちら向けでもいっぱいある
教養、家事や保健の継承がうまくいってないような気がする
専制主義的完全分業の世帯運営と、民主主義的共働き共家事の世帯運営の切り分けができていないことから、共同生活に対するメリットを想像しにくく、実現もしにくい。結婚生活してみて「こんなはずではなかったのに」となる原因の1つ
そもそも夫婦2人だけで子育て世帯を運営するのが無理筋。1世代ぐらいは上手くいっても複数世代で続けるのは困難
晩婚は少子化の一因だが、若いうちに子を育ててから学歴やキャリアを形成する生き方が難しい
家事や育児の経験が評価されにくい

マイナス要素についての諸々

制度は世代交代で

民主主義なので、多くの国民の意識が変わらねば、制度は変わらない。大抵は世代交代で成される。最近は良い感じですよね。

文化教養の継承はChatGPTで

別にChatGPTである必要はないから「AIで」でも良いけど。

友人から「教養がある人は得てして実家が太い」という経験則を示された。教養は豊かさを齎す。太い実家には教養人のいる確率が高い。教養を人に伝えられるのは教養人だが、教養人の持つ教育リソースには限りがある。必然的に、教養人と接する機会の多い人にだけ教養が継承され易くなる。だから、たぶん、この経験則は真。

教養を教養として認識するには、経験に基づく教養を必要とする。科学と疑似科学とニセ科学と詐欺の見分け方とか。親族に1人の教養人がいれば事足りていた時代はとうの昔に終わり、核家族の多い現代では若い夫婦に全てがのしかかる。厳しいよね。

教養の途絶と滅びが約束されているのだ。人権も新しい生活スタイルも日本人には早すぎた。ただ、他(社会主義など)と比べたら滅びがゆっくりなだけで。

というのも、去年までの話。今はAIが大いに補ってくれる。

教養を得るには言葉を習わねばならない。言葉を丁寧に教えてくれる教養人の数はまるで足りているように見えない。読み聞かせとかコストが物凄く高い。人間以外の、言語を高度に操る初めての存在が、きっとたくさん助けてくれる。現状だとたまに適当なこと吐かしやがるけど、それってつまり大半の大人よりマシである。(私見)例えば

乳幼児の世話をワンオペという無理難題

24時間営業。何人でまわしますか?1人でいけると言う方々は、すごい。高度な教養、家事スキルと経済力と体力それと精神力をお持ちなのですね。私なら最低でも大人4人ですかね。

家事スキルも体力も微妙だが経済力はある、とある身内の話。「人を雇え」という私の忠告を無視し、理由も聞かず、挙げ句に両親すら遠ざけ、ワンオペでぼろぼろに。泣きついてきたけど私は完全に無視。両親が頑張った。それでも「私は一人で育児してる」とご主張なさる。知ってた。だから私は本人を無視して、児童虐待を通報する準備と……両親の家事を減らした。奴は私の貢献がどれだけ大きいかを知らんだろう。1人が生活するのに必要な家事の時間を計算して、少し考えればわかることがわからない。そして、私を罵る。無教養とは、そういうもの。

私も重要な教養を継承できていない。こんな人たちとの関わりを断てずに、ずるずると人生を削られながらこんな記事を書いているのがその証拠。

雑に「乳幼児の世話をします。どのような体制を整えれば良いですか?」とGPT-4に訊ねれば、回答にも「サポートの確保」が含まれている。生んだだけで育児スキルや教養をいきなり全て手に入れるようなことはできない。GPT-4のほうがマシである。

世帯の類型例

家父長制と良妻賢母主義のセット。完全分業制で、習得コストも実行コストも管理コストも相応に安い。お互いの領域に口を出さず、自分の領域の最高権威として責任を持つ。専制的世帯運営。もはや少数派の旧い世帯ですね。

共働き共家事。共に働き、共に家事をこなし、補い合う。noteで家事効率化や分担の事例を収集していたら、分担しないほうが良いという記事をいくつも見た。一方がしんどいときはもう一方が家事を多くこなし、2人ともつらければ共働きで稼いだお金を使って外部化する。信頼し合うことが前提の、性善説的関係だからこそ成り立つ。ただし、完全分業に比べると習得コストも管理コストも高い。どちらも家事を習得しておらねばならず、報連相が必須で、管理するためのメタ管理技術(見える化など)も必要とする。高度な教養が要る。

専制主義的共働き共家事。ごく短期的には成り立つが、長期的には破滅する世帯運営の類型。我が家。旧い家庭観を引きずりながら、女性が働いてお金を稼ぐという時流に乗ろうとして失敗したパターン。金を稼いでいる者が一番偉いという家父長制の権威と、それを支えている者が家庭内で一番偉いという良妻賢母主義の権威と、「共働き共家事なんだから上手くいかない原因は自分以外がズルとしている」責任回避・他罰思考などの合体。専制主義的権威と民主主義的連帯責任の悪いとこ取り。本人たちにとっては部分的に良いとこ取り。父母はどちらも責任を他人になすりつけるため、最終的に最も弱い子供のせいとなる。例え配偶者や子供が稼いだり家事を担ったりしても、どちらの領域でも最高権威は常に父母どちらかのまま。稼いだって自由に使うことは認められないし、家事をしたって評価されない。リソースは分配されず、決定権もなく、ただタスクと責任だけは最高権威から一方的に押し付けられる。「上手くいったら上司の手柄。失敗したら部下の責任」最低な組織の出来上がり。

私が思いつくだけで3通り。3つ目以外は好きなほうを選べば良いと思うが、今の御時世で働かない選択をするのは男女ともにリスクが多きすぎる。そして、いざ婚活しようにも、2つのテンプレが混在しているせいで結婚生活を予測しづらく、下手すると3つ目の例を見ているせいで「結婚生活はつらいもの」という苦手意識すらあるかもしれない。私のことですけど。

なんか私的な恨みが漏れ始めたのでそろそろ区切りたい

晩婚

世代の新生サイクルが長くなる晩婚も少子化、というか人口減少の一因である。20歳ぐらいでも大学で学びながら子育てできるような環境、欲しくない?

家事、育児というスキル

かなり高度な管理系のスキルだと思うんですけど、あんまり評価されてない気がするのは、なぜ?

支配されるのも一種の快楽になり得る

私は専制的な世帯運営を完全否定しているわけではない。名君のもとでならば繁栄できるだろう。私は支配も服従も嫌だが。

こんなところかな?妄想こみこみいっぱい吐いてすっきりした。

ChatGPTと、こくごのべんきょうしてくる!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?